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vol.155『こめ油の伸長』

国産原材料の食用油であるこめ油が伸長している

昨年から継続的に生活に身近なものの値上げが続いています。中でも値上がり幅が高い食用油について掘り下げます。

【ポイント】
 1、食用油は食品の中でも価格上昇が大きく消費者の買い控えが起きている
 2、食用油の中でも国産原材料で製造できるこめ油が伸びている
 3、メーカーはこの数年でこめ油の新商品を積極的に出している

まずは消費者物価指数から食料全体と食用油の価格上昇をみます。
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食料全体は、2023年に入ってから110.7と大きく上昇しています。
しかし、食用油は163.9とわずか2年ほどで1.6倍になったことが分かります。

RDS全国スーパーのデータで食用油の売上実績をみます。
trend155_2.png 食用油は、消費者物価指数(表1)は急上昇しており、数量で3年連続で前年割れをしている点も合わせて鑑みると買い控えが起きているのではと言えます

その食用油のサブカテゴリー別の実績を見ます。
trend155_3.png コロナ前2019年と2023年(1月-6月)を比較すると、大きく変わったのは、オリーブ油-5.8%とこめ油+4.5%です。
特にこめ油はカテゴリー内で売上構成比を3.5%⇒7.9%と2.3倍に増やしました。

こめ油はなぜこんなに伸びたのでしょうか?
こめ油の原材料は米ぬかです。玄米を精米するときに発生する米ぬかから、油を抽出・精製して作られる植物油です。日本の主食である米を原料にしているため、国産で製造できます。昨年からの為替変動を受けにくい原材料であり、確保が容易であるのがこめ油です。
一方、国内で流通するオリーブ油はほぼ輸入ですので急激な円安の影響を大きく受けました。また、オリーブの主産地であるイタリアで天候不順により生産量が前年の約7割程度になるなど供給がひっ迫していることも要因の一つかもしれません。

次にこめ油のランキング商品を4年前と比較しながら変化を見ます。
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この4年でこめ油の売上出現SKU数は2019年28 ⇒ 2023年50とおよそ2倍になりました。
1位「築野食品 こめ油 ペット 1.5kg」を見ると、売価上昇率は4.3%で食用油全体の価格上昇率からすると非常に小さく収まっていると言えます。また売上金額はおよそ3倍になりました。
色付けは、食用油2022年年間売上金額1位日清オイリオグループと2位J-オイルミルズの商品です。ともに出現商品数は2019年では1SKUでしたが、2023年は3SKUに増えています。
食用油メーカーは、この数年でこめ油の容量等を変えるなどして多くの商品を発売していることが分かります。

世界情勢はまだ安定はしないような雲行き。このため、国産原料で生産できるこめ油の供給は今後も増えていくと考えられます。
値上げは避けられない、また消費者の買い控えが起きている苦しい局面でも各メーカーの工夫を垣間見ることが出来るデータ分析となりました。


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