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コラム・レポート

vol.38 店舗対応の重要性

皆さん、お元気ですか。 震災の傷跡深く、原発問題もいまだ解決せず、不安な要素が山積されている状態ですが、皆様の業務にはどのような影響が出ていますでしょうか。
今回の震災により東北エリアでは、店舗の閉鎖、本部の移転など、事業の継続にかなりの影響が出ている会社もございます。しかしながら営業が継続できる店舗では、地域のお客様の生活を守るために懸命の努力をしていることも事実でございます。一時期の物流事情の悪さも徐々に回復に向かい、商品供給もかなり安定してきたようですが、一方では深刻な被害を受けた地域ではいまだ避難所生活が続いており、小売業者として、ご不自由されている方々に心の行き届いたサービスがお届けできているか否か、不安に感じます。
そんな中、復興に向け準備を始めたエリア、深刻な被災を免れたエリア、今回の震災の影響を受けていないエリアでは、それぞれ通常の生活への回帰が少しずつ進んでいるようです。
とはいっても、震災前の生活に完全に戻れるかといえば必ずしもそうではなく、今年は自粛、節約、省エネ、安・近・短などをキーワードとして商品や売場作りを考える必要があるのではないでしょうか。さらには震災の教訓を得て、以前の生活に戻っていくのではなく、新しい生活スタイルを模索しながら、これまでは想定していなかった需要やシーンが発生してくるのではないかと考えています。つまり以前の贅沢三昧、便利三昧の生活を見直し、消費や時間の使い方に新しいスタイルで行動が始まるのではないかということです。

またエリアごとに、消費活動も変化が生じるでしょう。特に被災の影響がほとんどない中部以西は、今後の日本を支えていくという観点からも、より活性化が必要でしょう。 あるいは原発の影響のみならず、被災・避難された方々の受け入れが考えられる南関東および関東近辺では、従来の売れ筋とは違う商品の動きが活発化するはずです。皆様がお取り扱いになっている商品でも、エリアごと、店舗ごとに売り方、売場作りを変化させなくてはならないのでは、と思います。

エリアごと、店舗ごとの対応を考えるにあたっては、店舗や対象カテゴリーを取り巻く環境を改めて認識しておくことが重要です。商圏情報や競合店などのポートフォリオを作成して、その店のポジショニングを明確にしておきましょう。お客様からどのような期待をされている店舗なのか、またターゲットとすべき競争店舗はどこなのか、右のチャートのように、例えば店舗規模、売上規模、商圏の広さ等の評価軸でエリアの店舗をプロットして、 buyer0038_1.jpg ご自身が担当されている店のポジショニングを客観的に把握したうえで打ち手や成長戦略を描かなくてはいけません。つまり戦うべき相手を間違えて、その店舗に期待されていない戦術を打ち出しても失敗する可能性が高く、①まずもってやらなくてはならないこと ②長期的に取り組まなくてはならないこと ③当面は無視すべきこと などを整理して行動に移すことが大切だと思います。

同様に、皆様が担当されている商品、カテゴリーがその店舗の中でどのような位置づけにあり、どのような戦い方を期待されているかも把握しておけば、より打ち手が明確に立案できるでしょう。売上規模や利益率、坪効率や人時効率など、評価軸を多角的に見て担当カテゴリーのポジショニングを明確にしてみてはいかがでしょうか。
マーチャンダイジングは限られたスペースで効果効率を最大化することが使命です。売上や客数を牽引するカテゴリー、利益を期待されているカテゴリー、それぞれの店舗タイプ、フォーマットや競争環境を加味したエリアにおいて異なって当然です。同じ小売チェーン内でもまったく同一の店舗というのは稀ではないでしょうか。企画商品や全国キャンペーンなどは別にして、地域特性や競合環境に応じて売場作りを変化させていく対応が必要な場合もあります。
buyer0038_2.jpg 右のグラフのように(売上規模の違いはありますが)同じタイプの店舗でも商品構成や客層、環境の違いによって、売上、利益はカテゴリーごとに差異が出ております。
店全体の売上に対して、皆様が担当されているカテゴリーの売上構成比はどれくらいか? 店舗間格差が見受けられるようなら、何故そうなっているのかを分析し対応を変えるようにしましょう。
スペース効率という観点では、カテゴリーごとのゴンドラ1本あたりの売上を把握しておくことも大切です。それを複数の店舗で比較して、平均値を下回っている店舗では、何がその要因になっているのかを調査しましょう。

この震災以降、日本の消費生活は様々な点で今までと違う動き方をするでしょう。特にこの夏は節約志向、省エネなどをキーワードとした売り方、販促は重要と考えています。お客様も当然、それらの意識は高まってくると思われます。ですからこの春以降の52週マーチャンダイジングそのものを大幅に見直して対応しないと、お客様から支持をいただけないのではないでしょうか。なおかつ被災を免れた地域では、日本そのものを元気にするためのマーチャンダイジング活動を活発化しないと、全体的にダメになってしまうような気がします。

しんどい環境になりましたが、精一杯がんばりましょう。

2011年5月27日 11:00

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