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コラム・レポート

vol.31 販促企画の仕込みと新たな仕掛け

変化激しい中

 皆様、お元気でしょうか? 気温も環境も変化の激しい今日この頃ですが、いかがお過ごしでしょうか。先日まで猛暑続きでしたが、一気に秋の気温となり生活も商売もスイッチの切り替えを余儀なくされています。また経済を取り巻く環境も円高が続き、日銀も「企業マインドや日本経済の先行きに大きな影響を与えることになりかねない」と発表をしているくらいですから本当に困ったものです。
 我々小売業にとっては、輸出に依存している企業が多い日本において、円高による消費の冷え込みは深刻です。それを少しでも下支えするために、「円高還元セール」等を行って少しでも消費を維持しようと必死です。本来ならば長期的にみて効果が出るだろう輸入品のご利益もそれを先取りして売ってしまうわけですから、中期的戦略から見たら本当に正しいプロモーションなのかどうかは少し疑問ではありますが、競合企業が仕掛けてきたら、あるいは先に仕掛けてお客様の関心を自社に向ける努力をしなくてはならないのです。しかし不況により売上を維持することに精いっぱいの状況では、お客様に注目していただける企画であるなら、何でも「有り」なのです。

 「円高還元セール」のように急に決定するセールスは特別ですが、通常、販促企画の仕込みは立ち上がりの13~15週間程度前から検討に入ります。その策定の手順は概ね以下の通りです。
  1.前年実績の確認(品種ごと、重点商品の実績、実施した仕掛けの状況等)
  2.社会行事、季節催事に関する企画の検討(今年の目標、商品の作り込み、展開計画等)
  3.その時期、指数が高まる品種の企画
  4.直近伸びてきている品種を中心とした販促企画
  5.売上を嵩上げするための品種催事
これらを、
  ●担当範囲の目標数値(おそらくは昨年対比で○%といった概要レベルの目標)を決め
  ●それぞれの企画の構成比を考えて
  ●企画ごとの目標値を出し
  ●商品を決め
  ●数量計画に落としていく
buyer0031_1.jpg といった流れになるでしょう。ですからメーカー、問屋の皆様も月々の販促企画を提案する時には、担当の相手先企業で昨年実施の販促企画と直近の伸び率から判断できる全体の目標金額を抑え込んで、自社(皆様の会社)で出来る企画を提案すべきだと思います。その際も上記の1~5の優先順位を考えて、なるべく上位に食い込める企画を前に出して提案すべきではないでしょうか。

新しい仕掛け

 しかしながら、上記のような定石と違う新たな販促の潮流として最近注目されているのは、「電子マネー」であり「ネットスーパー」です。この両者は確実に数値を伸ばしています。

 「電子マネー」を活用したポイントセールスは販売点数を大きく左右します。電子マネーについてはいまさら説明するまでもないと思いますが、ちなみに、「生活に密着した決済手段になりつつあり、消費者の利便性に加え、ポイントやマイルといった特典も見逃せない付加価値」であり、1ヶ月あたりの利用額は「1,000円未満」がトップで23.9%ですが、「10,000円~19,999円」(12.9%)が2位。使い方も消費者によって二極化しているようです。ちなみに平均値は7,431円。昨年より75円の増加ということです。

 「ネットスーパー」は純粋には販促とはいえないかもしれませんが、確実に売上を小売り企業内で伸ばしていることは間違いありません。高齢化や有職主婦の増加が後押しとなり、今の時代の御用聞きになりつつあります。現在はまだ、人件費を始めとした経費がローコスト化できずに積極的な販促手段として活用はされていないようですが、一通りの小売業でネットスーパーが浸透し、運用もこなれてくれば必ず販促の一環としての活用方法が考えられてくるはずです。その時どのような対応ができるかがシェアの獲得に幾分か影響を与えることになるでしょう。ご担当している小売業でのネットスーパーの活動について一度確認をされるべきでしょう。

もう一つの動き

 いまひとつ最近見逃せない動きとしてはPB戦略を見直している小売業が多いということです。つまりPBの中でも優劣がついて、より品質の高いものをPBとして提供する動きが見えてきたことです。
 本来、PBという言葉の定義は、世の中にない商品を小売業が企画して発売する商品のことで、今出回っている商品はSB(ストアブランド)というべき商品、つまりNB商品をトレードオフして作った商品です。PB開発のノウハウが蓄積された小売業で、いよいよ本格的なPB開発が始まったことを意味しているようです。

 しかし一気にたくさんの本当のPBが世に送り出されるわけではないでしょうし、メーカー、問屋の皆さんにもそれに対応する準備期間は、今からなら十分あると思います。ご自分が担当されているカテゴリーのPBが高品質化した時のことを考えて、NBをどのように位置づけ差別化し、より多くの販売につなげていくかを考え始めてよい時期に来ているかもしれません。ポートフォリオやSWOT分析等を活用して、自社製品の良さ、強み、自社製品のセールスポイントを今一度整理しておきましょう。

最近の話題として

 最後に最近の話題として、タバコ増税につながる禁煙の動き、中国への対応(尖閣諸島の問題ではなく元の問題として)、エコと節約などがあります。
buyer0031_2.jpg  タバコと中国は対象となる品種も限られるかもしれませんが、もしご自分の商品が関連する商品であれば、引き続き仕掛けを考えていかなくてはなりません。特にタバコは値上げのタイミングで禁煙する人もいるでしょうが、しばらくは吸い続けて、やはり財布の負担が重いと判断して禁煙に踏み切る人もいるでしょうから、しばらくは網を張っておかなくてはいけません。

 中国の元についてもアメリカが切り上げをするようクレームを出しているくらい強力な通貨となってきていますので、これがアジア圏にどのような影響を与えるか、勉強しておく必要があります。 エコ、節約は既に定着感のあるキーワードですが、本当に商品や販売方法にそれを取り入れて考えているかどうか、見直してみてはいかがですか。最近店頭でエコバッグを利用されているお客様を、本当によく見かけるようになりました。エコの観点に不足している商品や売り方は「無視」される時期が近い将来来るでしょう。節約はもう当然のこととして受け入れなくてはなりません。
 よく見れば近くにチャンスが転がっている場合も多々あります。周囲の変化からニーズ、ウォンツを感じ取って、ぜひ仕事に活かしてください。

2010年9月29日 11:50

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