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コラム・レポート

vol.29 猛暑対策、いかがですか

 皆さん、お元気ですか。 今年は例年にない猛暑でたまりませんね。通勤、外回り、暑さとの闘いです。くれぐれも体調には気を使ってください。我々は体が資本です。

 一方暑けりゃ暑いで、商品の動きも大きく変わってきます。季節の商材が動くのは当たり前ですが、昨年と売れ方が全く違うというのも困ったものです。物量の確保が一番重要ですが、その季節商材を売ることによって昨年の数字を確保できるか否か、単価が上がる商品が売れてくれればそれに越したことはないのですが、単価の低い商品ばかりが動いても売上の嵩上げにはならないので、工夫が必要となります。買い上げ点数を上げ、客単価を維持する方策が重要ということです。ですから単品で売りが稼げる商材は別として、そうでない場合には関連販売できる商品を提案して、少しでも買い上げ点数を上げる努力をしなくてはなりません。

 また季節商材の難しいところは切り上げ時期をいつにするかということです。あまり深追いしすぎると、晩期になって値下げ、在庫過多に陥る危険性が十分にありますので、常に天気や気温の長期予報に気を配って、現在の店頭在庫の状況を把握しておくことが重要です。

スペース効率を考慮に入れて

 さて最近は不景気の影響やGMSを中心とした量販店の不振もあって、新店の出店が極端に少なくなっています。その分、店舗を活性化する意味で、規模の大小はあるものの、売場の改装が増えているのではないでしょうか。売場を改装する際には当然、広がる売り場、狭くなる売り場があると思います。皆様の担当カテゴリーが前者の側なら売上の自然増は期待できるのですが、後者の場合はかなり厳しい戦いとなるでしょう。

 では小売りはどのようにして売場の拡縮を判断しているのでしょうか。
今の時代で重要なのは、販売効率を上げるということです。小売業は様々な効率指標を使っていますが、昔も今も必ずチェックするのは、『坪当たり売上』と『坪当たり荒利』です。つまり小売業はあらかじめ準備された(限られた)スペースの中でいかに高いパフォーマンスを上げられるか、改善を繰り返すことができるかによって業績が変わるわけですから、広さの尺度である一坪当たりで、どれだけ売上、利益を稼ぎだせるかということを重要視するのです。カテゴリーや分類単位で括られた売り場ごとに、例えば100坪を使っているカテゴリーが月間1,000万円売っていれば、坪当たり売上は10万円となるわけです。そしてそのカテゴリーの荒利益率が25%であれば、坪当たり荒利は2.5万円ということです。坪売り10万というのが高いのか低いのかは、勿論品種の特性もあり、衣食住でも基準値が違いますから、それぞれ食品なら食品のグループ間で比較する、あるいは店ごとに比較するという見方が必要となります。

buyer0029_1.jpg  しかし、今のように業績が思わしくない時代では、出来るだけ坪売り、坪荒利を上げるために、少しでも効率よくそれらを稼げる品種が売り場拡大の対象となるわけです。ところがこれらの判断は簡単ではありません。例えば食品のように坪売りは確保できるが、荒利率は低く坪荒利が確保できない、しかも人件費もそこそこかかるという品種もあれば、衣料品や生活用品はその逆に、荒利率は高いが坪売りが低いので店全体の売上向上にはつながらない、など様々な要素を考えながら売場の拡縮を考えなくてはなりません。ですから端的にいえば、坪売りが店全体の平均値より高く、荒利率が高い品種が優先的に拡大される傾向にあると思われます。皆様の担当カテゴリーがそのような範疇に入っているのであればラッキーなのですが、そうでない場合にはどうにか売場を減らされないように、バイヤーを支援していかなくてはなりません。

 しかし、そうは言ってもメーカー、問屋の皆様が、1店舗1店舗の売場面積を把握すること自体至難の業です。よって今担当バイヤーの守備範囲の坪売りがどの程度なのかは中々把握できませんが、坪売りといえどもスペース生産性の一つであることには変わりはないので、皆様に出来ることとして、棚割のゴンドラ1本あたりの売上が今どの程度なのか、あるいは尺当たり売上がどのくらいかはPOSデータの分析を通じて出来るはずです。そこでゴンドラ1本あたりの売上・荒利、尺当たりの売上・荒利をどのようにすれば改善できるか、そういった視線で今一度棚割の見直しを行ってみてはいかがでしょう。その積み重ねが坪売りの改善、坪荒の向上につながるのです。そうです、棚割も生産性を考慮した提案に変えていくべきでしょう。

 ちなみに今まではどのような指標、視点をもって棚割を提案されていたのでしょうか。品揃えの幅と奥行きを重視されていましたか。またはマーケットカバレッジでしょうか。単にPOSデータの上位と新製品の混合でしょうか。以前にも記載したと思いますが、棚割計画を作る前に、品揃え計画があり、商品構成グラフの作成が必要です。その時点で、カニバリーを起こしている商品を絞り込み、不要なプライスラインの商品を削減して、効率を変える計画に変更すべきです。次にそれを具体的な提供方法という形で表現したのが棚割計画になりますが、重点商品や利益商材の陳列位置やフェーシングの取り方によって、棚割の効率も大きく変わってきます。そういった検証やシミュレーションを繰り返して、効率の高い棚割に変更できるとお考えください。

秋冬棚割商戦の準備

 時期的にもそろそろ秋冬のシミュレーションが始まったころではないでしょうか。新製品の導入は別として、それ以外の部分では、効率改善という視点を入れた棚割提案ができるようにぜひ挑戦してみてください。カテゴリーの存続を左右する結果になるかもしれません。
頑張りましょう!

2010年7月29日 16:50

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