コラム・レポートのアイコン

コラム・レポート

vol.25 春の棚替を確実に

 皆さん、こんにちは。

 さぁ、いよいよ流通業にとっては一年の始まりといえる春夏シーズンがやってきました。毎年のことではありますが、三寒四温の中、なかなか春めいた日が来ないと思えるのですが、実際には過去の平均気温と大して変わらないようで、気持ちだけが先行しているのでしょうか。とはいっても、売り場はもう春の商品で埋め尽くされていなくてはならないので、実際に気温が上昇する日が来るのが待ち遠しいものです。やはり暑い時には暑く、寒い時にはちゃんと寒くなってもらわないと消費も生活習慣もおかしくなってしまうものです。

 さて皆様の担当カテゴリー、担当小売業では既に春夏の品揃え、棚割は最終化されましたでしょうか。もう確定していなくてはならない時期です。今は環境厳しい中ですが、それでも売場の衣替えは適切な時期に行われるべきものです。それによって消費者の目先を変え、改めて(少しでも)需要を喚起して客動員を図ることが大切だと考えます。ですからこの時期には確定版の棚割表が完成していなくてはならないのです。

 こだわりを持って棚割表を作成することは大切なことだと思いますが、我々は常に競争環境の中で仕事をし、消費者の日々の生活に密着してビジネスをしていることを念頭に置いて仕事を進めることも同様に重要であることを再度認識してください。つまり内容とスケジュールを両立させてこそプロの仕事といえるのではないでしょうか。最悪、ある程度割り切ることも必要かと思います。

 また何よりも重要なのは、新しい棚割に基づいてタイムリーに陳列変更が実施されることです。これは(皆さんも痛感されているとは思いますが)当たり前のことでありながらいちばんの難所です。
 店舗は店舗で様々な理由から陳列変更が決められたタイミングで実行できない場合があります。例えば人手の問題、あるいは優先順位の問題、また商品部側の準備、段取りに問題があって、やりたくてもできない場合もあります。しかし先にも記しましたが、陳列変更のタイミングを逸すると、皆様の新製品が店頭に並ばないというだけでなく、競争店にお客様が流れてしまい、その店舗、小売業が商圏での優位性を失うことになり、スタートダッシュから目標に届かないばかりか、3ヵ月後、半年後に大変な結果となって返ってくるかもしれません。

棚替の実行準備

 ではいったいどうすればそのような事態を避けられるでしょう。
 まずは一にも二にも、お取引先様も含みバイヤーサイドの計画性、スケジュール感、準備・段取り・役割分担に尽きると思いますが、これはいまさら言っても修正がききませんので、次のシーズンの棚割作業をする前にはバイヤーとスケジュール、段取りについて3~4ヵ月前に決めておきましょう。

buyer0025_1.jpg

 次に重要なのは、カット商品、終売商品の処分です。新旧棚割の変更時に入れ替わりとなる商品を、いつまでに、どの場所で、幾らで販売し、在庫を消化するかの実行計画をたて、それを棚割表と一緒に店別に発信し進捗を管理することが大切です。
 出来れば主要店舗(例;売上の上位20%を占める店舗)と打ち合わせをし、カット商品の処分と棚替スケジュールについて打ち合わせをやっておくべきかと思います。
 繰り返しになりますが、カット商品、残品の処分が遅れることは百害あって一利なしです。メーカー様にとってもいつまでも旧品が店頭にあって新製品が露出しないというマイナス面もあり、新製品のPOSデータが不透明となって商品の実力と違う評価がされることにもなりかねません。また新製品のTVCMが予定されていれば、店頭に商品が並んでいない場合、その投資対効果は半減以下になるでしょう。
 小売業にとっても値下げロスが増大し、新製品効果による販売点数の増加やシェアの拡大が達成できず競合に負けるという結果を招きます。カテゴリーによってはシーズンの切り替えで大量に新製品が発売されるカテゴリーもありますから、それらのマイナス面を積み上げると多大な損失となります。ついでに言えば、チラシやスポット、催事商品の残品にも同じことが言えますので、在庫をいついつまでにゼロにするという計画は日常的に必要なことです。さらには小売業のバランスシートでも在庫資産が増えることは経営数値を直接悪化させる要因になりますので、不要不振在庫を持っていることは罪悪です。

棚替完了がゴールではなく・・・

 さて、棚替がいったん終わってしまえば、しばらくは落ち着いていられるのかというと、そうではありません。せいぜい2~4週間程度は店頭で発注がうまくいっているか、POPや情報発信ツールが意図したとおりに取り付けられているかなどチェックしつつ、現場の担当者(売場のパートさん等)からヒアリングしてください。良い点、悪い点、改善すべき点、次につながる課題等、必ず有益な情報が収集できるはずです。

 そしてその後が本当の勝負です。POSデータが出そろい、精度も上がってきた時点で実績分析を行い、棚割作成時の仮説と比較し、実際にはどうだったのか、何故ギャップが生じたのか、その要因は何かを特定する検証作業が控えています。検証結果によっては商品改廃や陳列位置の変更、フェーシングの変更を実行しなくてはなりません。

 実績分析の手法には色々とあります。ABC-Z分析、相乗積による優位性の特定、GMROIを使っての優劣等々、カテゴリーや商品の特性に合わせて使い分ければよいでしょう。

 それぞれの方法については、また別の機会に語るとして、ここで重要なのは、棚割の効率アップと改廃実施のタイミングです。なぜなら春の棚割で売場が変わるのは大体3月下旬から4月初旬でしょう。POSデータの精度が高まるのに2~3週間要するとしたら、もうゴールデンウィーク目の前です。一つの商戦期であるGWを勝ち抜くためには、やはり売れ筋商品がきちっと売場に陳列されていることが最低限の必要条件です。メーカー様にとってもピーク時にしっかり売りをとっておけば、後々楽ができます。後から負けを取り返すことの大変さは皆さんも十分認識されているかと思います。
buyer0025_2.jpg  GW期間中に商品改廃による棚替実施というのは非現実的ですから、GW前に一度検証と改廃をやっておきたいものです。その機会を逸したら、GW明けまで待つしかありません。

 相変わらずスーパー、コンビニは連続何ヶ月も前年割れが続いています。客数も減少し、客単価も下がり、喜ばしい情報はほとんどありません。こんなときですから基本に立ち返り、基本を徹底し、やるべきことは大変でもきちんとやりきる姿勢で臨みましょう。

 皆様の努力が実り、ビッグチャンスが到来しますように。

2010年3月29日 09:41

お問い合わせ

    • ご購入前のお問い合わせ   :
    • 03-6908-7878
    • 保守契約に基づくお問い合わせ:
    • 03-6908-7817

受付時間 9:00-18:00
(土日祝日・年末年始・当社休日を除く)

ページトップへ