vol.29　『こだわりＮＢ商品が好調』

「不況」、「節約」といったキーワードは依然として大きなトレンドですが、どうもそれだけではないという傾向がPOS分析からは見られます。

図1は、プレミアムビールと焼そば（生麺タイプ）の売上金額の前年同月比推移のグラフです。

プレミアムビールは、プレミアムモルツ・エビスの商品を、Plano-POS・PlanogrammerのMy属性機能で抽出しています。
My属性機能を使うと、自由に商品の属性を設定して分析することができます。

図1. プレミアムビールと焼そば（生麺タイプ）の売上金額前年同月比推移（2008年6月～2009年5月　RDSスーパー全国）

昨年から好調な売上が続いていた焼そばですが、安さを武器に好調だった焼きそばも伸びが鈍化しているようです。
直近の5月は前年同月比プラスマイナスゼロでした。
それとは逆に、昨秋まで前年を下回っていたプレミアムビールが昨年11月から前年の水準まで戻り、今年3月のシルクエビスの発売を機に前年を上回って、今年5月には前年同月比115％となっています。

昨秋以降の急速な景気後退で、外食を減らして家飲み派が増えたことで、家で飲むのであれば、美味しいものを飲みたいという人が増えたのではないかと考えられます。
不況の影響で新ジャンルの好調ぶりが目立ちますが、実はその真逆ともいえるプレミアムビールも好調というのは意外です。

先日夕方のスーパーで、サラリーマンと思しき中年の男性が食材と一緒にプレミアムビールを購入しているのを見かけました。
外で飲まない代わりに家ではプレミアムビールを飲むというサラリーマンが増えているのかもしれないですね。

また、図2はエスビー食品の「予約でいっぱいの店の」パスタソースシリーズの商品をMy属性機能で抽出し分析した、売上実績と売上の前年同月比推移のグラフです。

図2.「予約でいっぱいの店の」パスタソースシリーズの売上実績と売上前年比推移（2007年6月～2009年5月　RDSスーパー全国）

同シリーズは景気後退が大きく報道され始めた2008年9月以前は前年同月の売上を10～20％下回っていました。
しかしその後、10月以降は前年を少しずつ上回るようになり、直近の5月は前年同月比121％と約20％も上回りました。

同シリーズは昨秋に特に商品がリニューアルされたわけではありません。
また、スパゲティも売上数量ベースで図2のパスタソースと同じような動きをしており、直近の5月は前年比数量114％と好調でした。

以上のことから、昨秋以降内食化の傾向が進み、それに伴い、「どうせなら美味しいものを食べたい」、「家で食べることを楽しみたい」という消費者が増えたのが好調の理由の1つではないかと思われます。

今回取り上げたプレミアムモルツやエビスなどのプレミアムビールや、有名店のシェフとコラボした「予約でいっぱいの店の」パスタソースシリーズなどの商品は、おそらくＮＢならではの商品といえるでしょう。

ＰＢ商品をはじめとする低価格商品が売れる一方で、こうしたこだわりのＮＢ商品も売れていることから、PB商品とNB商品を掛け合わせて、より美味しく食べるというクロスMDの提案はいかがでしょうか。

（記事中のデータは全て「RDSデータ全国」を使用しております。）

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2009年6月26日 15:50