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vol.24 『バター・チーズ、再び値上げ』

 先日2月23日に雪印乳業からバター・チーズを再び値上げするとの発表がありました。3月1日から原料である国内の生乳価格が8%程度引き上げられるのに伴う値上げとのことです。「北海道バター200g」が350円から365円へ、「北海道100チーズ200g」が380円から400円へ値上げされます。(いづれも希望小売価格ベースで)

 今回で2008年以降バターは2度目、チーズは3度目の値上げになります。これまでの値上げに伴う平均売価と売上金額と数量の前年比の推移を見てみると次のグラフのようになります。(図1・2)バターは2008年6月が価格のピークで、それ以降も数量は前年比を大きく下回りました。価格を上げたことで売上金額は前年比前後といった状況です(図1)。他方で、チーズは価格のピークを昨年の12月に迎えた後も特に落ち込む気配はなく、直近の12か月間では価格の段階的な上昇により売上金額は7月を除く全ての月で前年を上回っています(図2)。この12か月間での価格の幅はチーズは37円でしたが数量もそれほど落ち込みが無いことから、チーズに対する消費者の需要の高さがうかがえます。

図1. 2008年2月~2009年1月 バターの売上数量と前年比の推移(RDSスーパー全国POSデータより)

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図2. 2008年2月~2009年1月 チーズの売上数量と前年比の推移(RDSスーパー全国POSデータより)

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 RDS年収別POSで分析してみると、全てのクラスでバターは減少しています。年収300万未満のクラスではバターに加えてチーズも買い控える傾向が見られますが、それ以外のクラスでは値上げにも関わらずチーズの数量は伸びています。(図3)

図3. 2008年11月~2009年1月 年収別売上数量実績(RDS年収別POSデータより)

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 RDS商圏POSで分析してみると、全年齢世帯でバターは減少しています。チーズの方はシルバーで減少していますが、ファミリーと単身若年では数量を伸ばしています。(図4)

図4. 2008年11月~2009年1月 年齢世帯別売上数量実績(RDS商圏POSデータより)

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 これまで雪印が値上げを発表後、他の大手乳業メーカーも値上げに踏み切ってきた経緯から、今回もおそらく他メーカーも値上げする公算が大きいと思われます。こうした値上げ商品がある一方で、他方では明治乳業が輸入原料使用しているプロセスチーズの価格を3月1日から引き下げることを発表しています(世界的な景気の後退により新興国での需要が一転して減少したこと、また、干ばつの影響で減少していたオセアニアの生乳生産量が回復傾向にあることにより、逼迫していた需給が緩和したことが理由に挙げられています)。これまでの値上げから一転、チーズ需要の刺激策となるのでしょうか、他メーカーも値下げを行うのでしょうか。
 これから行楽シーズンを迎えるにあたって価格戦略のみならず、乳製品の購買意欲が比較的高いファミリーや単身若年層へ向けて乳製品と相性の良いパンやパスタとのクロスMDを積極的に提案を一考してみるのも良いかもしれません。

2009年2月27日 12:18

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