vol.152『意外な組み合わせ？「あんバター」』

 突然ですが、皆さんは「あんバター」の商品を食べたことがありますか？筆者は数年前にコメダ珈琲のモーニングで初めて口にしました。あんこの素朴な甘さとバターの塩気が絶妙で、予想外に合う組み合わせだなと感動したのを覚えています。それから数年経ち、近年ではスーパーの店頭やSNS上でも「あんバター」という文字が見受けられるようになった気がします。
 そこで、今回はRDS市場データを活用し、「あんバター」商品について調べてみることにしました。

 まず、「あんバター」の売り上げを調べる前に、純粋な「あんこ」の売り上げはどうなのかを調べてみることにしました。あんこというと、ご家庭で消費する場合は、それ単品で食べるというより菓子類を手作りする際の材料としての側面が大きいかと思います。まず、「あんバター」の売り上げを調べる前に、純粋な「あんこ」の売り上げはどうなのかを調べてみることにしました。あんこというと、ご家庭で消費する場合は、それ単品で食べるというより菓子類を手作りする際の材料としての側面が大きいかと思います。
弊社独自の分類体系「MD分類」を利用し、ホームメイド用品のあんこの売り上げを見てみました。。

 コロナ前の2019年実績と2022年を比較すると、ほぼすべてのホームメイドカテゴリーは実績が伸びています。しかし、コロナ禍による巣ごもりの影響があってか、2020年~2021年と売り上げが増えたため、前年実績で見ると2022年にはほとんどのカテゴリーが昨年を割ってしまっています。あんこも同様に調子があまり上がっておらず、ホームメイキング材料としてのあんこはコロナ禍での伸びを維持しきれていない印象を受けました。

【図1　RDSスーパー全国　MD分類「ホームメイド」カテゴリー　売上金額・前年比】

 次に、あんこが使われている食品全体の売り上げと、あんこにバターを掛け合わせた「あんバター」をの売り上げを比較してみました。
※下記表の「あんこ」は、嗜好飲料・嗜好食品、菓子、パン、フルーツ・デザート ビン缶詰パウチ、バター・マーガリンカテゴリーのうち、名称に「あんこ(餡子)」「あん(餡)」という単語が含まれている商品でグルーピングしました。また、「あんバター」は名称に「あん(餡)バター」「あんこ(餡子)バター」という単語が含まれている商品でグルーピングしました。

【図2　RDSスーパー全国　MD分類「嗜好飲料・嗜好食品」「菓子」「パン」「フルーツ・デザート ビン缶詰パウチ」「バター・マーガリン」カテゴリー　売上金額・前年比】

先ほど図１でお見せした製菓材としてのあんこの売り上げは伸び悩んでいましたが、あんこ系の食品の実績は直近4年間伸び続けています。また、あんバター系食品に関しては、売上金額自体はまだ少ないものの、前年比を見ると異常値に近い伸びがみられました。

 あんバター系食品の直近４年間の商品数も分析してみたところ、商品数・新商品数は年々増加しており、2019年から2022年にかけて総商品数は凡そ10倍にもなっています。

【図３　RDSスーパー全国　MD分類「嗜好飲料・嗜好食品」「菓子」「パン」「フルーツ・デザート ビン缶詰パウチ」「バター・マーガリン」カテゴリー　総SKU数と新商品数の内訳】

特に商品数が倍増した2022年は、2月8日にTBS系列の番組「マツコの知らない世界」にてあんバターが取り上げられました。RDSサプライヤーポータルの日別データで分析すると、放送翌日の9日にあんバターの金額実績が大きな山を作っていたことから、影響度が伺えます。

【図４　RDSスーパー全国　「あんバター」　金額実績推移(2022/2/1~2022/2/14)　(単位：千円)】

この2022年2月9日に売れていた商品の内訳を、単品ランキングで確認してみました。

【図５　RDSスーパー全国　「あんバター」商品　2022年2月9日単品ランキング　(単位：円)】

上位10位には菓子パン(緑)が4品ランクインしているのですが、これは「マツコの知らない世界」では主にあんバタートーストが紹介されていたことが要因なのではないかと考えられます。また、あんバター(黄色)も同様に、ご自宅であんバタートーストを作ってみようと思った消費者が購入したのではないかと推察します。他にも、番組内であんバターどら焼きが紹介されていたこともあり、あんバターどら焼き(オレンジ)が2品ランクインしていると思われます。

 今年になってもあんバターの勢いはいまだ続いており、2023/1/2のいま売れランキングにはモンテールの「あんバターロール」が1位にランクインしています。期間限定品だったという事もありますが、売れ行きが良かった事がうかがえます。

【図６　Twitter　RDS POS_MDON【公式】(＠Rds_Mdon)　2022年1月4日の投稿】

 このように、あんことバターといった一見関連性のないカテゴリーであっても、弊社のRDS市場データであれば横並びにして分析することが可能です。皆様もぜひ、あんバターの次に来るかもしれない意外な組み合わせを探してみてはいかがでしょうか？