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vol.143 『新たな視点でチャンスを発見(ビール・RTDの例)』

 2022年5月、RDS市場データに新たなカテゴリー体系として「MD分類」が追加され、新たな切り口で市場データを分析できるようになりました。

 今までRDS市場データでは、「JICFS分類」というカテゴリー体系を採用しておりました。この「JICFS分類」は約40年前の運用開始から、流通業界で変わらず使い続けられていますが、その反面、時代の変化が反映されにくい点もあります。
例えば、「プレミアムビール」が「ビール」カテゴリーに属していたり、「ノンアルコールビール」が「清涼飲料」のカテゴリーに属していたり、などです。

 上記のことからRDS市場データでは市場の分析がしやすいように、時代の変化を加味した定期的な見直しを行ってアップデートしていく「MD分類」を新たなカテゴリー体系として追加しております。
 お店の売場を想像し、消費者視点も組み込んでカテゴリーを区分しております。

 今回はそんな「MD分類」を用いてどんなことが分かるのか、ビール・RTD(Ready To Drink)のカテゴリーを例に分析してみました。

 まず初めに、ビール類とRTDを含めた酒類カテゴリー全体の実績と構成比を2018年から見てみました。

【図1:RDSスーパー全国 酒類 年別実績推移(100店舗あたり金額) 2018年~2022年10月】
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 酒類全体の動きとしては、2020年のコロナ禍での巣ごもり需要で消費が増えたものの、2022年では外出が増えたこともあってその需要も落ち着くことが予想されます。
実際に2022年1月~10月の前年比を見てみると、酒類全体では94.7%となっております。そんな中でRTDカテゴリーに絞ってみると前年比95.8%と、酒類全体の前年比よりも少し高くなっています。

 次に酒類の中でのカテゴリー構成比はどうなっているのか、推移で見てみます。

【図2:RDSスーパー全国 酒類 年別構成比推移(100店舗あたり金額) 2018年~2022年10月】
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構成比の推移を見ると、2018年から今年までにRTDのカテゴリー構成比は約5%増えており、2022年には約17%を占めるようになったことから、お酒の楽しみ方の変化が見てとれます。

 RTDカテゴリーを細分化して動向を詳しく見てみます。

【図3:RDSスーパー全国 RTD 年別構成比推移(金額) 2018年~2022年10月】
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RTDカテゴリーは「高アルコール8%以上」「中アルコール」「低アルコール3%以下」「ハイボール」「小容量・瓶・その他」と区分されます。

直近5年分の構成比をみると、「高アルコール8%以上」が2018年から直近で14%ほど構成比が下降しています。2020年からの2年間では大きく10%ほど下がっています。
一時期は高アルコール度数のブームがありましたが、コロナ禍で身体に気を遣い健康を意識するようになってか、「中アルコール」に落ち着いてきたようです。

上記のようにRTDがアルコール度数別に細分化されたことで、市場データでの実績から消費シーンがイメージできるようになりました。次はその一例を季節指数で見てみます。

【図4:RDSスーパー全国 RTD 販売指数(100店舗あたり金額)  2021年週次】
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まずRTDの「高アルコール8%以上」を見てみると、その季節指数に大きな波はなく、ヘビーユーザーが定期的に購入して消費されていることが伺えます。

RTDの「高アルコール8%以上」の比較として、「低アルコール3%以下」の季節指数も見てみます。こちらは一転、5月のGWや8月のお盆、12月の年末などのいわゆるハレ日となる期間で指数が大きくなります。
高アルコールRTDのヘビーユーザーとは違い、低アルコールRTDは普段お酒を飲まない人がハレ日のイベント等でお酒を一緒に楽しむときに、購入されているのではないでしょうか。

今度はRTDと売場の近いビール類カテゴリーを細分化してみてみます。

【図5 RDSスーパー全国 ビール類 年別構成比推移(100店舗あたり金額) 2018年~2022年10月】
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ビール類の構成比を見てみると、この5年ほどで新ジャンルや発泡酒の構成比は微減し、通常のビール/プレミアム・クラフトビールの構成比が上がっています。
これには2020年に起きた酒税の変更の影響が考えられそうです。2020年10月から、ビール・プレミアム・クラフトビールは減税、新ジャンル・発泡酒は増税となりました。

【図6 RDSスーパー全国 ビール類 年別平均売価推移 2018年~2022年10月】
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ビールやプレミアム・クラフトビールの平均売価が2020年以降で大きく下がっていることから、やはり減税の影響が伺えます。価格が下がったことにより消費者が手に取る機会も増えた、ということが連想できます。

最後に、プレミアム・クラフトビールをMY属性という独自のグルーピング機能でより細分化して見てみます。

【図7 RDSスーパー全国 プレミアム・クラフトビール My属性 年別構成比推移(100店舗あたり金額) 2018年~2022年10月】
My属性定義
・プレミアムモルツ:プレミアム・クラフトビール内でサントリーメーカーかつ、「プレミアムモルツ」などの名称でグルーピング
・ヱビス:プレミアム・クラフトビール内で、サッポロビールメーカーかつ、「ヱビス」などの名称でグルーピング
・スプリングバレー:プレミアム・クラフトビール内で麒麟麦酒メーカーかつ、「スプリングバレー」などの名称でグルーピング
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プレミアム・クラフトビールの代表選手である「プレミアムモルツ」「ヱビス」をグルーピング、そして2020年から台頭してきた「スプリングバレー」、それ以外を「その他プレミアム・クラフトビール類」として見たところ、スプリングバレー+その他プレミアム・クラフトビール類の構成比が、2018年では9.7%だったのに対し、2022年では約27%と3倍ほどになっています。
話題にもなったスプリングバレーの影響が大きいですが、その他プレミアム・クラフトビール類でもRDS市場データの全国スーパーで実績として出現したSKU数と、その内前年比のない新商品にあたるSKU数を見たところ、

【図8 RDSスーパー全国 My属性・その他プレミアム・クラフトビール類 年別出現SKU数 2018年~2022年10月】
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2021年以降でSKU数も新商品も大きく増えてきていることが分かります。新商品と共にクラフトビール類が活性化していることが伺えます。

今回の酒類に限らず、切り口を変えてデータを見てみることで、得られる発見がたくさんありそうです。皆様も普段の分析とは別の視点でデータを見て、新たなチャンスを探してみてはいかがでしょうか?


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