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vol.140 『再注目の“米粉”とは?』

 昨今の食料品値上げ問題と、ウクライナ問題など小麦の供給不足で何かと話題になっている米粉ですが、皆さんはどのくらいなじみがありますか?筆者は5年ほど前から米粉製品の消費が増えている気がします。
 きっかけはとても美味しい米粉パンを食べてから何とも言えないもちもちとした食感と風味にハマり、手に取る機会が一気に増えました。ホームベーカリーでもできないかと調べてみると、グルテンが無い為にパン専用粉か、他添加物をブレンドしないと上手く行かない・・等、知れば知るほど奥が深い世界でした。
 そこで今回は頻繁に各種メディアで取り上げられる米粉について、皆さんにも知ってもらいたいという思いも込めつつ調べてみることにしました。

◆米粉とは・・
そもそも米粉とは何か?ですが、皆さんなじみのある白玉粉や餅粉なども米粉の一種です。言われてみればそうですね。米粉には大きくは
 ①うるち米か、もち米か?
 ②熱処理されているか否か?
 ③粒径
 等により10数種類に分かれるそうです。更に小麦粉の代替として利用ができるように専用の品種米が存在しているとの事です。ここでは米粉を小麦粉の代替商品としているものとしてここでは話を進めて行きたいと思います。
        出典:東海農政局Webサイト
        https://www.maff.go.jp/tokai/seisan/shinko/komeko/type.html

◆直近のカテゴリ状況と米粉のポジション
≪粉類・ホームメイドカテゴリ≫
米粉が含まれる“粉・ホームメイド”カテゴリ全体は、周知のとおり2020年のコロナ禍で大きく伸長。2022年直近1月~5月実績では小麦粉・パン粉・片栗粉については前年比100%を超えているが、他サブカテゴリは軒並み前年割れしている状況。コロナ禍で支持されていたホットケーキミックスや製菓材料は特に苦戦していることがうかがえます。

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 しかし、5か月の実績を割り返し、2022年実績を推計し2020年の異常値を除くと“粉カテゴリは横ばい”“ホームメイドは微増”と言った状況で一概に不調とは言えないようです。

≪米粉製品のカテゴリの変遷≫
 このようなカテゴリ状況で“米粉”はどんな状況でしょうか?My属性機能を利用し、米粉製品をグループ化し実績を見てみました。

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米粉を白玉粉等とサブカテゴリ別に区分してみてみると、2022年1月~5月期では粉カテゴリ内の米粉は112.5%と堅調で19年比では147.9%と大きく伸長していることがわかります。SKU数も43品から60品と17品増えており、市場のニーズが反映されているのではないかと思います。

≪参考:粉・ホームメイドカテゴリの米粉製品上位15商品≫

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≪米粉製品の30年変遷≫
 RDSの30年市場データからMy属性機能を使い、各カテゴリの“米粉製品”をグルーピングしての変遷を見てみます。

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原料素材としての米粉(粉類)はこの30年間で構成比は半減という結果でした。想像よりもかなり大きく減少しておりました。
ホームメイキングとパンカテゴリーは1990年後半から徐々に伸長してきております。

調べてみると近年の米粉ブームは2015年にテニスプレイヤーのノバク・ジョコビッチ選手の本で“グルテンフリー”が取り上げられたことにあるようです。この健康法+ダイエット方法が大きな話題となり、先ずはホームメイキング系に反応があり(前年4.3%増)、少し遅れて小麦粉の代名詞のような商材であるパンに影響があったようです(前年26.4%増)。米粉使用パンの店頭露出拡大が更に米粉の認知を広げたのではないのかと思います。

≪参考:米粉パンの上位15商品 2022年1月~5月≫

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◆今後は?
 2020年に政府の大きな働きかけもあり米粉の活用について今後も期待が持てそうです。
    出典:農林水産省
    https://www.maff.go.jp/j/seisan/keikaku/komeko/

しかし、政府主導で後押しがあれば、もっと市場拡大が加速してもいいのではないかと思いますが、小麦粉とはやはり違うものなので、製品化する際に手間がかかりコストの課題や、生産農家では、小麦粉の高騰などでの一過性の需要ではないかなど、慎重になっている・・・等、様々な課題もあるようです。消費者の目線では、小麦粉との価格差というのも要因の様です。

≪直近の小麦粉と米粉の価格差≫
 商品の価格差を特売等の影響を除くため平均売価ではなく、新しくリリースされた“RDSの定番売価レポート”から2022年5月度の実績で小麦粉と米粉の100g当たりの定番売価を見てみました。

◆RDS定番売価レポート
  サンプル企業153社をチェーン毎に店舗の単品実績を調査し、そのチェーンに紐づく店舗の最高値の実績を定番売価とします。その結果をマーチャンダイジング・オン独自のロジックで推計しRDS市場からの定番売価として公開しています。

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100g当たりでは、米粉の方が84.72円と小麦粉より27.62円高く、まだまだ高級感がぬぐえません。

 RDSの定番売価レポートは2021年11月~始まったので、過去の実績は追えませんが、Web等で検索してみると大分価格差が縮んできたようです。この価格差を埋めるべく、業界では日々改善を進めているようです。
 他カテゴリでも主力商品の値上げにより、上位商品や嗜好性の高い商品の価格差が縮小し、購買がスイッチした例もありますので、米粉の消費拡大にも期待が持てるのではないかと考えます。

 以上、米粉の現況をまとめてみました。世界的な食糧難などの問題で、食糧の自国優先が各国加速している中で、米は日本で自給率は約100%の作物です。この危機意識が高まった機会に米粉市場が拡大し、食糧問題も健康問題も少しでも改善していく事を期待します。

   出典:農林水産省
      https://www.maff.go.jp/j/zyukyu/zikyu_ritu/attach/pdf/012-2.pdf


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