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vol.139 『RDS30年POS(スーパー業態)から見る「日本茶・麦茶ドリンク」の推移』

 ((株)マーチャンダイジング・オンが2018年4月に(一財)流通システム開発センターからRDS事業を承継してから4年、この度2022年6月に(一財)流通システム開発センター時代から30年にわたって蓄積されてきた市場POSデータを一挙に公開することとなりました。
 30年間の市場POSデータは、もちろん業界初でありこれからの商品開発、ブランド戦略、企業研究、トレンドの把握など活用の領域は大きく広がることかと思っています。
 今回はRDS30年POSデータについて、この30年間で大きく伸びている「日本茶ドリンク」の分析を題材としてお話ししていきたいと思います。

①「お茶ドリンク」カテゴリーの30年間売上推移
 下記のグラフは、1992年~2021年までの30年間の「お茶ドリンク」カテゴリーの売上推移をRDSデータ分析ツール「Supplier Portal」で出力したものです。

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「お茶ドリンク」カテゴリーは、30年前の1992年では烏龍茶を中心とする「中国茶ドリンク」が売上の9割近い構成比を占めているカテゴリーとなっています。

 この時点では「日本茶・麦茶ドリンク」の売上はまだ小さいのですが、すでに現在の4大日本茶ドリンクブランドの1つ伊藤園の「お~いお茶」は発売となっており、30年以上にわたるロングセラー商品となっています。

 1993年にはブレンド茶「アサヒ 十六茶」が発売されています。更に、コカ・コーラから「爽健美茶」が1994年に全国発売されると、新機軸のブレンド茶「その他茶ドリンク」は大きく売上を伸ばします。
 この2品の大ヒットにより「お茶ドリンク」カテゴリーの前年比は137%となり、カテゴリー全体の活性化に大きく寄与していきます。

 また、1996年には今まで規制されていた500mlPETボトルの販売が解禁となっており、「お茶ドリンク」カテゴリー全体は大きく伸びる市場となっていきます。
 そして、2000年にはキリンの「生茶」が発売となり「日本茶・麦茶ドリンク」の市場は「生茶」の発売を機に大きく動き始めることになります。

下記の「お茶ドリンク」カテゴリー30年間の売上構成の推移グラフを見てみると、「日本茶・麦茶ドリンク」の躍進ぶりは顕著です。

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 2001年には「お茶ドリンク」カテゴリー内で、「日本茶・麦茶ドリンク」は「中国茶ドリンク」の売上構成を抜きトップに躍り出て、以降は売上構成が8割近くになるほどに成長しています。次は、なぜこのように「日本茶・麦茶ドリンク」が成長していったのか、ブランド別に見ていきたいと思います。

②「日本茶・麦茶ドリンク」のブランド別推移

「日本茶・麦茶ドリンク」カテゴリーが2000年に大きく伸びたのは、キリンビバレッジの「生茶」が新発売されたことが大きな要因となっています。それまでは日本茶ドリンクと言えば伊藤園の「お~いお茶」がダントツのシェアを誇っていたのですが、「生茶」の2000年の大躍進を受けて大手メーカーの日本茶ドリンク開発競争が勃発し、「日本茶・麦茶ドリンク」は大きく様相が変わっていきます。
下記のグラフは1992年~2021年の30年間での「日本茶」の主要ブランドの売上推移です。※主要ブランドは名称をキーにRDSの「my属性」機能で作成しています

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「日本茶・麦茶ドリンク」は1992年~1999年の間も伸長しているサブカテゴリーでしたが、当初は売上ボリュームも大きくありませんでした。
 そこに、「生茶」がいままではとは違う製法で参入し、TVCMも話題を呼び大きなヒット商品となりました。

「生茶」の大ヒットを受けて「日本茶・麦茶ドリンク」自体も前年比158%となり、「生茶」は「お茶ドリンクカテゴリー」の活性化に大きく貢献していくことになります。

 「生茶」発売の4年後には、「特定保健用食品」に認定された花王の「ヘルシア」、老舗のお茶屋さんとのコラボレーションしたサントリーの「伊右衛門」が相次いで発売となり、こちらも話題を呼ぶ大ヒット商品となっています。
 この2つの新製品の発売によって、2004年「日本茶・麦茶ドリンク」は前年比129%、2005年も前年比122%と更に「お茶ドリンク」カテゴリーの市場全体を押し上げる結果となっています。

 大きく伸びた市場が落ち着いてきたちょうどそのタイミングで、2009年にコカ・コーラから満を持して、今までコンビニエンスストアと自販機だけで販売されていた「綾鷹」がスーパーマーケットでも発売されることになりました。徐々に売上を伸ばしてきた「綾鷹」は2021年には「お茶ドリンク」カテゴリーで売上金額NO.2の上位ブランドに成長しています。
 この30年間で登場した「お~いお茶」「伊右衛門」「綾鷹」「生茶」の4大ブランドは、現在でも「日本茶・麦茶ドリンク」市場を大きく牽引しています。

②「日本茶・麦茶ドリンク」のランキング推移

 下記は「日本茶・麦茶ドリンク」の年間売上ランキング(1位~5位)です。30年間の推移を10年単位で見ていきたいと思います。

【日本茶・麦茶ドリンク】単品別売上ランキング(1992年~2001年)
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 1992年から1997年まではカゴメの「六条麦茶 PET」が1位となっています。すでに発売されていた「お~いお茶」はずっと2位でしたが、1998年には「六条麦茶 PET」を抜いて「お~いお茶」が1位となり、その後1位を保持しています。また、2000年には「生茶」が登場し、2001年には2位に迫ってきています。

【日本茶・麦茶ドリンク】単品別売上ランキング(2002年~2011年)
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 1998年から7年間「お~いお茶」が1位の座に君臨していましたが、2005年にサントリーの「伊右衛門」に首位の座を明け渡してしまいます。
 ところが、翌年の2006年には見事首位奪還したところに「お~いお茶」の底力を感じます。それ以降は「お~いお茶」がずっと1位を確保しており、一方「伊右衛門」の勢いは年々落ちて行っているように思われます。

【【日本茶・麦茶ドリンク】単品別売上ランキング(2012年~2022年1月~6月)
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 2006年に「伊右衛門」から首位を奪還して以来8年間1位の「お~いお茶」でしたが、2014年に「特定保健用食品」の認定を受けた「伊右衛門特茶」に首位を奪われてしまいます。2012年以降は「お~いお茶」「伊右衛門」「綾鷹」の熾烈な競争が繰り広げられますが、「日本茶・麦茶ドリンク」市場は毎年伸び続け活性化していきます。
 2017年に「綾鷹」が湯吞み型ボトルに変更してリニューアルすると、初めて「綾鷹」が1位となります。しかし、翌年には「お~いお茶」が再び首位を奪還します。
 それ以降は「お~いお茶」がずっと1位となっており、2020年に「伊右衛門」が角型ボトルに変更して猛追を見せますが、首位を奪うところまでは行きませんでした。

 そして現在、直近の2022年1月~6月では、「日本茶・麦茶ドリンク」の1位から5位まですべて伊藤園というランキングとなっています。
 名だたる大手飲料メーカーがトップを取るべく挑んできた「日本茶・麦茶ドリンク」ですが、緑茶ドリンクの先駆者、お茶の専門メーカーという伊藤園の牙城はなかなか崩れません。「お~いお茶」には真似のできない特別な魅力があるとしか思えません。その底力には全く感嘆させられます。
 2000年に「生茶」が発売となったことをきっかけに、各社のレベルの高い熾烈な競争があってこそ、「日本茶・麦茶ドリンク」は大きく市場が飛躍し続けているのだと思います。


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