vol.138 『抹茶ブームはいつまで？』

 皆さん、「抹茶」と言うと、スイーツやお菓子を想像する方も多いと思いますが、昨年コカ・コーラ社から発売した「綾鷹 抹茶ラテ 440ml」を思い浮かべる方も少なくないのではないでしょうか。
この「綾鷹 抹茶ラテ 440ml」は、発売からわずか6日で一時出荷停止といつこともあり、飲料業界ではかなり話題になったこともり、皆さんの記憶にも残っているのではないでしょうか。

発売から大人気だった「綾鷹 抹茶ラテ 440ml」について、発売から出荷再開までの実績推移を見てみます。

図１

2021年3月22日発売され、予想をはるかに超える大人気で需給が追い付かず、翌週の2021年3月28日には一時出荷停止となり、長期間出荷停止の状況でした。
出荷再開の2021年7月26日週には、発売週の倍くらいの実績があがり、出荷再開に向けて努力されたことがうかがえます。

また、「綾鷹 抹茶ラテ 440ml」の出荷再開後にサントリー社から「クラフトボス 抹茶ラテ 500ml」も発売と参戦したことから、この2品についてさらに直近まで調べてみました。

図２

上記の様に「綾鷹 抹茶ラテ 440ml」出荷再開の約3週後8月17日に「クラフトボス 抹茶ラテ 500ml」が発売されました。

両社の抹茶ラテについて発表では、「綾鷹 抹茶ラテ 440ml」発売17日間で出荷本数2,500万本に対し、「クラフトボス 抹茶ラテ 500ml」は発売14日間で出荷本数が2,600万本と、両商品とも大人気だったことがわかります。
発売からの瞬発力は「クラフトボス 抹茶ラテ 500ml」の方が高かったようです。

両商品の戦いでは「クラフトボス 抹茶ラテ 500ml」発売後、約9週間後には実績・構成比共に「綾鷹 抹茶ラテ 440ml」が上回ったことがわかります。
結果としては、消費者の味の好みもありますが、先手の「綾鷹 抹茶ラテ 440ml」を支持する消費者が多い結果となりました。

参考までに記録的な大人気となった両商品、単純計算すると2021年の人口（総務省：約1億2,622万人）の対し、両商品ともわずか2週間ほどで5人に1人が飲用したことになるので、人気の凄さがよくわかります。

そんな昨年、飲料業界を盛り上げた両商品の「抹茶」フレーバーは、果たして食品全体で過去からどのように消費者に支持されていたのか、確認してみます。

図３

食品全体の傾向として、1996年頃をピークに下降傾向です。その要因としては少子高齢化やコンビニエンスストアの出店ラッシュやドラッグストアでの食品比率が高まるなどが要因として考えられますが、「抹茶」に関しては、食品全体の影響もなく過去から上昇傾向であることがわかります。

過去30年間の生鮮を除く食品で商品名に「抹茶」を含む商品を100%とした際のJICFS大分類の売上構成比を見ると「菓子類：54.1%」「飲料・酒類：39.2%」「加工食品：6.7%」と、多くは菓子業界の貢献であることがわかります。
特にチョコレート菓子系で多くの商品が発売され、いくつかのヒット商品によって山を築き、2016年のピークはインバウンドの効果で「抹茶」フレーバーの菓子が大人気となり、店頭でも多くの抹茶フレーバーのお菓子を目にすることも多かったと思います。
その後、徐々に下降気味でコロナ禍でインバウンドの効果は減らす結果となりましたが、まだまだ「抹茶」は健在です。

今回の「抹茶」の様に過去30年から見ても多くの消費者に支持されているフレーバーだと言うことがわかります。

過去30年から見て、消費者に支持されているフレーバーや、今後人気の出そうな上昇傾向のフレーバーやカテゴリなどを参考に商品開発や新たなフレーバーへの参入など検討してみてはいかがでしょうか。