vol.132 『話題のオートミール、いつから人気？』

 突然ですが、皆さんは朝食に何を食べますか？パン派、御飯派、中には朝食は食べない派などいらっしゃる事かと思います。筆者の私はというと、シリアル派です。家にはフレークとグラノーラが常備されていて、その日の気分で決めています。
 そこでシリアルをスーパーに買いに行くと最近非常に目にする機会が多くなったのが「オートミール」です。シリアルのコーナーの視認性の高い位置に必ずと言っていいほど置いてある気がします。
 今回RDS市場データを使ってこの「オートミール」について市場の動向を見ていきたいと思いますが、その前にご存じでない方もいらっしゃるかと思いますので、まずは簡単にご紹介します。

「オートミール」…
オーツ麦を脱穀し、調理しやすく加工したもの。栄養豊富で低糖質のため、お米の代わりとなる主食としてダイエットや生活習慣病の予防などで注目されています。白米よりもカロリーが低く、食物繊維、カルシウム、鉄分、タンパク質などが多く含まれていてバランスよく栄養素が摂取できる食材です。

 それでは、「オートミール」が属するシリアルのカテゴリー全体から動向を見ていきたいと思います。

【図１，シリアル全体市場動向】

＊分析条件…JICFS分類（シリアル）を使用し、下記名称でMｙ属性を設定
 グラノーラ…商品名に「グラノーラ」「グラ」などを含む商品
 オートミール…商品名に「オートミール」を含む商品
 オールブラン…商品名に「オールブラン」「ブラン」を含む商品
 ミューズリー…商品名に「ミューズリー」を含む商品

 シリアル全体で1年間（2020年12月～2021年11月）を見ると全国で前年99.2％に対して、「オートミール」は230.0％と大きく伸長しており今年いかに注目されたかが分かります。
 また直近で3ヶ月（2021年9月～11月）で見ても257.7％と、それが一過性ではなく今もなお売れ続けているのが分かりました。
 しかしながら、「グラノーラ」「フレーク類」については前年比を割れている傾向があり、「オートミール」や「オールブラン」が牽引しカテゴリーとしての前年比を何とか100％前後まで押し上げている様相です。

次にこれらの構成比を見ていきましょう。
【図２，シリアル全体構成比比較（全国） ＊20年12月～21年11月】

 「オートミール」は、6月頃からシリアル全体に占める構成比も前月比＋5.8ポイントと大きく上がり、その分「グラノーラ」や「フレーク」のシェアを奪う格好となりました。また6月単月では「オールブラン」のシェアも前月比＋2.1ポイントと一時的に上がりましたが、「オートミール」ほど継続的で顕著な伸長とはなっていないのが現状の様です。

 では更に週別の販売指数を見る事で、「オートミール」がいつ頃から売れ始めたのか販売動向を追っていきたいと思います。

【図３，「オートミール」販売指数（週別）　＊20年10月26日週～21年10月2５日週】
 

※画像をクリックすると大きな画像が別ウィンドウで開きます

 

 週別データで販売動向を追っていくと明らかに6月7日週に大きな山があり、この週を境に全国でも首都圏でも全体の平均値100.0（緑線）を越えている傾向が見られます。

 RDS市場データは日別データまで見ることができるので、6月7日週に何があったのか、更に真相に迫ってみたいと思います。

【図４，「オートミール」実績推移（日別）（全国）　＊6月1日～21日】

 状況を確認しやすい様に6月1日～6月21日までの21日間の日別データで確認したところ、6月7日、8日の2日間で実績が集中しておりました。

 筆者としても気になったので、該当の6月7日、8日に何があったのか確認したところ、
「NHK　あさイチ」にて
7日「大注目！“発酵性食物繊維”で持続可能な腸活を！」
8日「クイズとくもり　お手軽レシピ教えます！オートミールＳＰ」
   引用元：https://www.nhk.jp/p/asaichi/ts/KV93JMQRY8/list/
と2日間連続で「オートミール」に関連した発酵性食物繊維特集を組んで放送されていた事が分かりました。
 もちろんこの放送だけが原因だと断定することはできませんが、一因とはなっていると考えられます。昨今のプロモーションはマスメディアよりもSNSの方が有効などと聞く機会が増えましたが、依然マスメディアの影響力の高さに驚かされました。

 それではこの6月7日週に最も売れたシリアルの商品は何かを商品ランキングで見ていきたいと思います。

【図５，シリアル商品ランキング（TOP２０）　＊6月７日週】

 やはり人気のグラノーラがランキング上位に多く入り込んでいましたが、TOP３の中に「オートミール」が2品も入るといった快挙が起こりました。しかも、「日本食品製造　プレミアムピュアオートミール　300g」は、シリアルカテゴリーの横綱商品「カルビー　フルグラ　800ｇ」をおさえての1位というのには驚きました。
 またシリアルカテゴリーで多数の商品を要する「日本ケロッグ」においても「オートミール」の商品が同メーカー商品内でＴＯＰに来るなど改めて、「オートミール」の注目度の高さがうかがえます。

 この様にRDS市場データでは日別・商品別まで実績を追うことができ、タイムリーな時事情報が市場のPOSデータにどのように反映されるかを見ることができます。
 今回RDS市場データで「オートミール」の需要の高さやその一因としてマスメディアの影響力があるのではないかという状況が再確認できました。

 筆者の私も最近お腹周りが気になり始めてきましたので、2022年こそはダイエットをしていきたいと思っています。
 皆さんも2022年の抱負にダイエットを挙げておられる方がいらっしゃいましたら「オートミール」も候補に挙げてみてはいかがでしょうか。