vol.130 『多様化していく納豆の味』

 日本の食文化のシンボルとも言える納豆。毎朝の食卓に必ず並ぶという方も多いのではないでしょうか？そんな納豆ですが、2020年は新型コロナウイルスの蔓延に対して、免疫力を高める食品として数多くのメディアで取り上げられたのを目にしました。一時期は店頭から納豆が欠品になるということもあったようです。
 筆者の私もスーパーで納豆の売場を気にして見る機会が増えましたが、商品を見ていると「しそ」や「梅」、なかには「焼肉」など、たれの味が多様化している印象を受けました。そこで今回は納豆カテゴリー全体と、その中でも多様化された納豆たれの商品を「フレーバー納豆」と定義し、グルーピングした実績をRDS市場データで見てみることにしました。

 まずはコロナ禍で注目を浴びた納豆をRDSスーパー全国で2020年から2021年10月現在まで振り返ってみます。

【図１：RDSスーパー全国　納豆　前年比推移(%)　2020年1月～12月・2021年1月～10月】

 前年比を追っていくと2020年2月～5月を中心に売上を大きく伸ばしていますが、2021年では昨年以上まではいかずに前年割れが目立つ結果となりました。

 次に納豆カテゴリーをMy属性で「フレーバー納豆」と、その他として「定番納豆」の２つにグルーピングして、実績を比較してみます。

 ※納豆カテゴリーから、「しそ」「梅」「昆布」「キムチ」や「〇○タレ」というような、味や風味が商品名称でも差別化された商品を「フレーバー納豆」と、それ以外の商品を「定番納豆」と定義してグルーピング。

【図２：RDSスーパー全国　フレーバー・定番納豆　100店舗当たり販売金額(千円)】

 フレーバー納豆と定番納豆の実績を比較してみたところ、2020年の1年間は上記の推移グラフで見たように納豆全体の売上が前年比約109％と好調で増加しており、フレーバー納豆は約112％と特に好調となっておりました。
 そして2021年1月～10月を見ると、納豆全体が前年割れしている中、フレーバー納豆は約110％と、2020年から更に伸長しております。店頭でフレーバー納豆がよく目につくようになっていた印象は、実績においても表れていました。構成比としては納豆全体を牽引していくほどの大きな影響はないですが、11％から13％と微増しており、今後も伸長していくと納豆全体の活性化に寄与することが期待されます。

 上記でフレーバー納豆が2020年と2021年でも継続して伸長したことが見て取れましたが、コロナ禍に関連して伸びているだけなのか気になります。
 そこで更に1年遡って2019年から2021年10月までの前年比推移を見てみます。

【図３：RDSスーパー全国　フレーバー・定番納豆　前年比推移(%)　2019年1月～12月・2020年1月～12月・2021年1月～10月】

 2019年も見てみると、フレーバー納豆の勢いはコロナ禍前からあったようです。中には3年連続前年越えとなる月もあり、伸長していたフレーバー納豆がコロナ禍で更に活性化したように思います。

 今回伸長具合がわかったフレーバー納豆の中でもどんな商品が受け入れられているのか、最後にSKU単位で見てみます。

【図４：RDSスーパー全国　フレーバー納豆ランキング　2020年11月～2021年10月】

 フレーバー納豆の直近1年間でのランキングを見てみると、1位の「4902106011743ミツカン　金のつぶたれたっぷりたまご醤油　１２０ｇ」が全体の48％の構成比を占めており、前年比も115％と好調なことで、フレーバー納豆を牽引していることが分かります。
 前年を割っている商品もありますが、前年より大きく伸ばしている商品もあり、フレーバー納豆全体の盛り上がりを支えているのかと思います。
 SKU数とその内の新商品数もカウントしてみたところ、

【図５：RDSスーパー全国　フレーバー納豆SKU数・新商品数　2018年～2021年10月】

総SKU数では大きな変動はないものの、新商品の数は年々増加していました。各メーカーが新フレーバーを世に打ち出すことでカテゴリーの活性化を図っているように思います。
 多様化し拡大していくフレーバー納豆を、皆様も気分転換に手に取ってみてはいかがでしょうか？