vol.121 『皆さんは、健康維持派？それとも免疫力Up派？』

 昨年はコロナ禍の中、生活や仕事も様々な変化が起こり、その対応で小売業様もメーカー様や卸売業様もとても大変な状況が続いていると思います。
私生活でも、在宅や様々なところでの自粛と重なり、いい反面おうち時間が長くなり“体調管理”“体力温存”等健康管理に関心を持つ機会も多くなった事かと思います。最近の売れ行き商品やカテゴリーで見ても、免疫強化を意識させる商品や健康維持系の物は好調なので、もう少し踏み込んで実績を見てみることにしました。

まずは、健康やコロナ対策を連想する「健康維持系食品」と「免疫力Up系商品」の状況を、摂取のしやすい「飲料」で確認してみました。

＜前提＞　※JICFSカテゴリー：食品の「飲料・酒類」に絞り込み
・健康維持系食品：商品名に「ビタミン」「？日分」「スムージー」「プロテイン」を含む商品
・免疫力Up系食品：商品名に「ヨーグルト」「乳酸菌」「カテキン」が含まれる商品
※上記の商品をPlano-POS my属性機能を使用して商品群をグループ化

昨年1年間の累計実績で見てみると、「健康維持食品」と「免疫力Up商品」は
各メディアなどで免疫！！！と露出が多く出ている事もあり、実績のボリュームも圧倒的に高い事が見受けられました。しかし、よく見てみると前年伸長では、健康維持系は110.7%と好調で、免疫力Up系は96.3%と昨年1年間で見ると前年を下回る結果となりました。
免疫力アップ系は、昨年1年ヨーグルト（前年比106.1%）や納豆（前年比108.9%）に集中して飲料までの波及効果はなかったと考えられます。
個人的には健康維持系は免疫力Up系には勝てないと思っていたので本当にびっくりです。

次に好調な「健康維持系食品」をブレイクダウンして「ビタミン系」「野菜系」「プロテイン系」「カテキン系」と別けて実績を見てみます。

「健康維持系食品」を4つの分類に別けてみると、「プロテイン系」が189.5%と大きく伸長しており、「野菜系」も前年をクリアしていることがわかりましたが、RDSスーパー全国の食品全体での前年平均は105.8%となっているので、「野菜系」は前年を上回っていたとしても食品全体（前年比105.8%）からすると、絶好調とは言えないかもしれません。
また、「ビタミン系」「カテキン系」は昨年1年間を通してはあまり伸びなかったようです。
「プロテイン系」が189.5%と好調な理由として考えられるのは、いままでは筋肉自慢のマッチョなイメージのプロテインでしたが、昨年は年齢性別問わずダイエットや健康と言ったブームもあり、さらにおうち時間で家でトレーニングする方も多くなったこと、各メーカー様も摂取しやすいように味のバラエティを販売したりという事が、この好調な理由として言えるのではないでしょうか。

まず、驚きの伸長「プロテイン系」から全国昨年1年間のランキングを見てみましょう。
※純粋なパウダー系のプロテインは除く

※上位30位

明治ザバスシリーズが上位を独占していることがわかります。1位の商品は前年比378.9%と絶好調で、その他上位商品も20年に発売された商品、特に脂肪ゼロの商品はお客様からの支持が高いようです。

続いて、昨年前年を上回ることができなかった「カテキン系」のランキングを見てみます。

※上位30位

カテキン系は、上位に昨年の新製品が多く見受けられます。これは昨年カテキン系が話題となった効果でしょうか。

カテキン系も、プロテイン系と同様に上位に昨年の新製品が多く見受けられますが、その新商品数は、プロテイン系24アイテム中12アイテム（新商品比率50%）に対しカテキン系30アイテム中7アイテム（新商品比率23.3%）と新商品数もカテキン系の方が少なく、さらにプロテイン系ほど新商品の好調度合いが高くない事がわかります。

このプロテイン系のアップトレンドがこのまま持続するようなら、プロテイン系飲料というカテゴリー自体が活性化したことになります。
「新たに活性化したカテゴリー」、特に自社の優位カテゴリー創造ができ、売上アップにつながると思います。

今後も「新たに活性化したカテゴリー」の動向を観ていきたいと思います。