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vol.117 『炭酸水で憂鬱な気分もさっぱりと』

 皆様、2020年も残りわずかとなりましたが、いかがお過ごしでしょうか。
例年なら忘年会シーズン真っ只中かと思いますが、今年はそうは行かず「おうち時間」を過ごす方も多いかと思います。
 飲食業界にとっては大きな打撃を受けていますが、流通業界にも様々な変化がありました。

 このような中で炭酸水が良く売れていることをご存知でしょうか。数年前から炭酸水がトレンドとなっている記憶がありますが、最近になって改めて各業界誌や、他のメディアで炭酸水が好調という記事をよく目にします。

 そこで今回は無糖炭酸水について、水(ミネラルウォーター)を比較対象としてRDS市場データでこの間の動向を確認してみました。

【図1:RDSスーパー全国 水・炭酸水 100店舗当たり販売金額(千円) 2020年1月~2020年10月】

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RDS市場データで見てみても炭酸水は前年比120%と非常に好調でした。同じく水も106%と前年よりも好調です。また構成比を見てみると水が63.5%、炭酸水が36.5%と、今や炭酸水の構成比が1/3を超えていることが分かりました。

 炭酸水というと店頭では大容量というより500mlサイズを良く目にします。そこで次は主となる500mlサイズをピックアップして見てみました。
※水・炭酸水カテゴリーそれぞれで大容量となる1L、1.5L、2Lサイズ等を省いて、999mlまでのサイズを500mlサイズと定義してグルーピング

【図2:RDSスーパー全国 水・炭酸水_500mlサイズ 100店舗当たり販売金額(千円) 2020年1月~2020年10月】

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 500mlサイズに絞って見ても炭酸水は好調ですが、水に関しては前年比97%と不調でした。水に関しては、このコロナ禍では備蓄用としての大容量サイズが好調で、 いわゆる持ち運びサイズとなる500mlサイズは外出制限もあって消費は多くなかったのではないかと考えます。逆にこの間炭酸水が好調だったということは、うち飲み需要へのシフトによる、お酒の割り材として消費されたことが考えられます。また、在宅勤務の中で気分リフレッシュのためにも炭酸水が好まれているということもあるかもしれません。ほかにも炭酸が抜ける前に飲み切ることができる丁度良いサイズとして、500mlサイズが好調とも考えられそうです。
 更に構成比に着目すると、水と炭酸水で逆転が起きていました。炭酸水が55.6%と水と10ポイント以上差をつけています。この逆転はコロナ禍という状況下のみの現象でしょうか。
 数年前にさかのぼって構成比推移を見てみます。

【図3:RDSスーパー全国 水・炭酸水_500mlサイズ構成比推移 100店舗当たり販売数量 2017年1月~2020年10月】

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 2017年1月から500mlサイズの水と炭酸水の販売数量での構成比推移を見ると、初めて逆転現象が起こったのは2018年4月でした。2018年4月に逆転した以降は、だいたい50~56%くらいの構成比で2年程度推移していますが、2020年5月では炭酸水の構成比が一気に約10ポイント上昇し、64%となりました。コロナ禍が追い風となったと考えるのが自然と思われます。5月はゴールデンウィークも自粛期間だったために、おうちでお酒を飲む機会が増加したのではないでしょうか。

 最後に500mlサイズの炭酸水のターニングポイントと言える、2018年4・5月頃と2020年4・5月頃では具体的に何が起きていたのか調べてみます。
 まずは2018年4・5月頃に何が起きたのかランキング推移で商品単位にして見てみます。
※ここでは500mlサイズのグルーピングから、更にPB商品を省いてNB商品でのランキング推移

【図4:RDSスーパー全国 炭酸水_500mlサイズ ランキング推移 100店舗当たり販売金額 2018年1月~2018年5月】

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 このランキング推移では、
 まず「アサヒ ウィルキンソンタンサン PET 500ml」が1位を独走しており、強炭酸水の先駆け商品として大きな支持を得ていることが分かります。
他の商品を見てみると、
3月には「コカコーラ ザ・タンサンストロング 490ml」、
4月には「サントリー 南アルプススパークリング 500ml」が上位に登場しました。
2018年4月のターニングポイントではこの2商品が登場して、マーケットを押し上げたようです。

 次に2020年4・5月のターニングポイントを調べるために、実績を週次単位にして推移を見てみます。

【図5:RDSスーパー全国 水・炭酸水_500mlサイズ構成比推移 100店舗当たり販売数量 2019年12月31日週~2020年6月22日週】

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 構成比の推移にすることで、コロナ禍と言ってもどのタイミングで炭酸水に影響を与えたかを細かく見ることができました。2020年に入って2・3月頃から水と炭酸水の差が現れ始めましたが、大きく節目となったのはまず4月7日にあった緊急事態宣言です。この4月6日週で炭酸水が6割を占めるようになりました。
 そして最も大きく差が開いたタイミングがゴールデンウィークの土日を含む4月27日週でした。やはり自粛期間の中でゴールデンウィークをいかに過ごすかを考えたときに、家でお酒を楽しむために割り材として炭酸水を買う、という消費シーンの増加が想像できます。
 5月25日に緊急事態宣言が解除されましたが、6月に入っても炭酸水の構成比は4月6日週と同等の構成比を保っています。

★追加分析
 水(ミネラルウォーター)と炭酸水の500mlサイズでの比較、という部分では上記のように深堀をしてきましたが、炭酸水について色々と考えていく中で、好調な炭酸水の中でも「強炭酸水」の伸びが特に大きいのではないかという仮説が生まれました。
 そこで+αとして、炭酸水を「強炭酸水」と「その他」に分けて分析してみました。
※炭酸水全体で、商品名称に「強炭酸水」とつく商品グループとその他炭酸水でグルーピング

【図6:RDSスーパー全国 強炭酸水・その他炭酸水 100店舗当たり販売金額(千円) 2020年1月~2020年10月】

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 仮説の通り、強炭酸水に絞って見ると前年比が155%と、その他炭酸水よりも更に好調でした。まだ構成比は大きくはないですが、炭酸水カテゴリー全体に影響を及ぼしています。
今、炭酸水を飲む際にはより刺激を求めるようになっているのかもしれません。
 炭酸水好調の要因は他にもあるかと思いますが、この「強炭酸水」もポイントとなりそうです。

 このように今回は水と炭酸水カテゴリーでの気づきから、変化のあった理由まで深堀することができました。
今回の飲料カテゴリー以外にも、比較してみると大きな変化が起きているカテゴリーがまだまだあると思います。皆様のカテゴリーでも気になったところがあれば、こんな比較をしてみてはいかがでしょうか。


市場POS RDSデータを活用することで、市場動向を把握することができます。
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