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コラム・レポート

vol.56 変化をチャンスに

2014年は始まりの年

皆様、お元気ですか。 2014年が明けました。今年は昨年と比べてどのような年になるでしょうか。ご周知のとおり消費税増税があります。またTPPの課題もあります。かたや食の安心安全の問題も次から次へと起こってきます。また我々流通業界のみならず、グローバル化の推進やネットとリアルの融合、オムニチャネルへの対応等新しい世界への対応も考えなくてはなりません。あるいはビッグデータの活用が差別化や優位性につながることも世間をにぎわせています。明るい話題としては、ソチオリンピック、ブラジルワールドカップ、2020年の日本開催オリンピックに向けての準備などはどのように経済に影響するのでしょうか。本当に今年一年は今後の日本の消費環境を大きく変えるターニングポイントの年になるような気がします。

消費税増税の商戦を戦い抜く

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さて、今年4月はいよいよ消費税が5%から8%に増税となります。その為3月には駆け込み需要が発生するであろうといわれ、小売り各社とも様々な仕掛けを投じてくることになります。競合他社にお客様を奪われないよう早め早めに手を打ってくるでしょう。ある調査によれば、1997年の増税時よりも駆け込み需要は1.7倍にも膨れ上がるといわれています。増税の影響を受けやすい高単価商品だけでなく、消耗品、コモディティグッズも買いだめ、家庭内在庫の買いこみが発生するでしょう。

この駆け込み需要に対して、流通業として大切なのは、通常時と違う現象にどのように、計画的に対応していくかです。例えば物流、我々の担当カテゴリーのみならず、あらゆる商品、業界でモノが大量に動くので、物流のパニックは避けられないと想定されます。当初計画のモノが未納、遅納されることも考えられます。事前にどのような手を打つか、また発生した場合にはどのように対処すべきか、しっかり論議をしておく必要があります。また万が一必需品が3月末に品切れしてしまった場合はどうでしょう。お客様の心理としては、3月中に買い物できれば5%の税負担で済むものが、4月1日以降にご購入となった場合、8%の税負担となるので、故意でないとしても、品切れによるお客様からのクレームの発生リスクというものも考えながら対処していかなくてはなりません。

これはつまり、商品系の部署だけで対処できることではなく、営業系、オペレーション系の部署との連携なくしてはスムーズに対応できないということを意味しています。 商品系は、少々荒療治にはなるかもしれませんが、重点商品を明確にして、それを品切れさせないためにその周辺の商品を一時的に定番からカットし、十分な店頭在庫が持てるようにフェーシングを拡大した棚割を作成しなくてはなりません。重点商品も全体として最優先する商品と各カテゴリーにおける重点商品とをどのように売っていくのか営業に明示しなくてはなりません。ゆえに改めてPOS分析、ABC分析、マトリックスの見直しなどを短期間に行う必要があります。

営業系では、重点商品をどこで、どのように販売するのか、催事場で大陳するのか、エンドを使うのか、ゴンドラの中でフリースペースを作るのか、計画した商品の計画した数量を品切れなく確実に売りこなす方法論を検討しなくてはなりません。特に売価の比較がしやすいコモディティグッズや3月という季節指数を鑑みた季節商品等、集客に貢献する商品の事前の計画が本当に重要となります。 オペレーション面では、これらに対応する売場変更を店別カテゴリー別にきめ細かくスケジュールに落とし込まなければなりません。または発注に関する注意点を明確にし、指導していくことも重要です。

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一方、4月1日以降、消費は2極化されるといわれています。それは節約志向と付加価値志向です。お客様のウォンツとシーズを満たす商品、つまり憧れ商品、ハイエンド商品にはお客様はある程度お金を出してくれると考えられています。またニーズを満たす消費頻度、購買頻度の高い食品、日用消耗品は極力EDLP化していくことが必要かと思います。
 それを実現しようとすると、同じ店舗の中で両方に対応していくことは中々難しいかと思います。一番いけないのは中途半端になってしまうことです。2極化なのに中道を行ってしまってはお客様からの期待にはこたえられないのではないでしょうか。ではどう対応していくべきか。それは自社の各店舗、各カテゴリーのおかれているポジションを今一度精査し、どっちの土俵で勝負をするかを見極めることです。お取引先様も店舗のポジション、客先企業の戦略を良く理解し、提案内容や商品を使い分けるべきだと思います。あいまいな対応は命取りになる可能性が高いと思った方が良いかもしれません。ですから、品ぞろえや販売方法を改革する覚悟で真剣に取り組まなくてはならないのです。

今回の増税は前回と消費環境も違い、人口減、高齢化等、社会的な変化もあります。ひょっとしたら流通業界に大きな地殻変動を起こす影響のある消費税増税になる可能性もあります。しかし我々はビジネスマンとしてなんとか生き残っていかなくてはならないのです。変化はチャンス、という言葉があります。この機会をうまく利用して、今までやりたくてもなかなかできなかったことに、あえてチャレンジすることも必要かもしれませんし、チャレンジするチャンスかもしれません。 このタイミングを前向きに、ポジティブに考え、消費税商戦を勝ち抜いていきましょう。

2014年1月29日 09:15

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