コラム・レポート
vol.55 差別化戦略
猛暑一段落
皆様、お元気ですか。 ようやく猛暑も一段落し涼しい風も吹き始めましたが、今年の猛暑はいささか生活にもビジネスにも厳しいものがありましたが、経産省の7月の商業販売統計速報によると、商業販売額は39兆150億円で前年同月比1.3%増だったようです。しっかりと猛暑対策ができた企業には追い風だったのでしょうか。しかし内訳を見てみますと、小売業は11兆7430億円で0.3%減、そのうち大型小売店販売額は1兆7124億円(0.7%減)、百貨店は6041億円(2.7%減)、スーパーは1兆1084億円(0.4%増)で、卸売業は27兆2720億円(2.1%増)だったようです。小売りがいまいちで、卸が伸びるという少し不思議な状況ですが、小売り各社のバックヤードに在庫が溢れかえっているということでしょうか。最近好調を維持しているコンビニは、9014億円(4.8%増、商品販売額とサービス売上高の合算)だったようです。業界的にはこのような数字になっているようですが、流通関連のニュースを拾ってみますと、企業ごとに業績は様々で、一概に良い悪いとは言えないようです。
強みとなる差別化を作るために
今、お客様から評価をされている店舗には共通した部分があると思います。それは何かに特化したウリとなるくくりをもっていることです。さらにはその特化した部分が店舗や取扱商品全体のイメージとなってお客さまに安心感を与え、強みとなっている企業が健闘しているようです。
例えばホームセンター業界のN社様は、以前からPBに集中したマーチャンダイジングをし、業界の中でも突出した利益率を維持しています。同様にベーシックカジュアル・アパレルのF社様もSPA型のマーチャンダイジングによりお客様から圧倒的な支持を得ていると同時に高い利益率を実現しています。
差別化となる強みを作るためには、当然相当な努力が必要です。またその会社、経営者の考え方も大きく影響します。しかしNBのコモディティグッズを扱うメーカー、問屋、小売りにとって差別化はなかなか難しいものです。強みとなる違いを何に、どこに求めるか、永遠の課題です。あるいはNB商品を扱いながら他社他店と違う提供価値を作り出すには何をすべきなのか、大変難しい課題です。単に場当たり的に価格を下げ、集客するだけでは継続的にお客様の支持を得ることはできませんし、企業としての体力も持ちません。EDLPが出来る仕組みを構築しなくてはなりません。つまり、求められる荒利益率が低く設定できるような販管費、イニシャルコストや家賃、人件費などをローコスト化する仕組み、また良品の流通にかかるコストを、メーカーさん、問屋さんも納得するシステムで低く抑える等、インフラの整備が不可欠です。もし他社が簡単には真似のできないそれらの仕組みを持つことができればそれは大きな差別化であり強みとなるでしょう。
しかし、提供価値は価格だけではありません。何かのカテゴリーの品揃えの幅、深さが他社を圧倒している、また提供方法に特別な工夫がされている等で差別化を図る方法もあります。カテゴリーマネジメントで言うところのデスティネーションカテゴリーを作るということです。最近はカテゴリーマネジメントも少々トーンダウンしている様子ですが、基礎的な部分は今でも十分活用すべきではないかと思います。
それでは、我が担当カテゴリーをデスティネーションカテゴリーとするためには、何をしたらよいのでしょうか。それは時流に合わせ、お客様のニーズ、ウォンツを真剣に分析して品揃えや提供方法の改革を図り、新しい収益構造を見出していくことではないかと思います。と口で言うのは簡単ですが、いざ実際にやってみたら、なかなか一人ではできません。お客様の声を聞き、それを整理、集約し分析し、そこから仮説を導き出し、新しい品揃えと提供方法を考え、実験店舗を決めて実行に移す、しかもそれをある程度のスピードを持って進めなくてはならないということを考えると、プロジェクトやチームを結成する必要があります。各プロセスやパーツごとに、その分野に長けているメンバーを募ってことにあたらなくてはなりません。特に協力的な、あるいは主導的な小売業者の存在は不可欠です。また同業者を巻き込む必要もあるかもしれません。しかし、何もせずに世の中が変わるのを待っているだけでは、何も変革はおきません。まずは活性化のプランを作ってみることが重要です。そして共感してくれる仲間を見つけましょう。とにかく行動し実行に移すことが大切です。そうすれば何を変えなくてはならないかが見えてくるはずです。
例えば、売場面積(規模)の拡大が必要なのか、品揃えの幅を拡大する、考え方やくくり方を変える必要があるのか、店頭の販売員の再教育が必要なのか。これらすべてが必要ならばどの順番でやっていくのか優先順位をつけなくてはなりません。半年、1年、2年かかるかもしれませんが、ゴールと成果を明確にしたプランならば必ず共感し協力してくれる人が現れるでしょうし、どこを目指しているのか、今自分たちの立ち位置はどこなのかがはっきりわかり、行動の修正にも役立ちます。
まずは皆さん、計画立案から始めましょう。行動あるのみです。 頑張ってください。
2013年9月25日 15:14お問い合わせ
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