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コラム・レポート

vol.54 新年度・経営戦略を立案せよ

業界と好調企業

皆様、お元気ですか。 いよいよ新年度も始まり、新しい挑戦が始まります。流通業界においても様々な変化が起こっており、今後の商売のやり方も変革が求められてきているのではないでしょうか。CVS業界においても躍進する企業群と模索を余儀なくされる企業群とがあったり、GMS、SM業態ではM&Aなどのニュースが飛び込んできたり、百貨店業界でも成長と不振があったり、それぞれの業界内において、明暗があるようです。それは業態そのものが良い悪いではなく、各企業の政策と戦略の違いが業績を分けているような様相を呈しています。

円安、原材料高、消費税・・対応に向けての戦略が必要

そんな中、日本の経済では、アベノミクスに始まった様々な施策から日銀のバズーカ砲による急激な円安によって大きな変化が起こっています。特に円は半年前まで80円前後だったのが、今や100円に迫る勢いです。また小麦粉に代表される輸入原料の値上がりも今後大きな影響を与えることになるでしょう。これらは当然我々の扱う商品に大きな影響を与えます。つまり値上げが余儀なくされるということです。過去にも原材料の高騰により値上げをせざる得なくなった品種は多々ありました。そのたびにメーカーさん、問屋さん、小売業の間では色々と葛藤が繰り返されてきました。さて今回はこの難局をどう乗り切っていくのでしょうか。

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今回、過去の状況との違いで一つ言えることは、PB商品の数が以前とは比較できないくらいに増えているということがあります。PBの一番の特徴は生産、流通段階でのコスト削減に注力し低価格を実現するところにありますから、海外のソーシング先を利用するケースが多々あります。つまり円安の影響がもろに出やすいわけです。とはいってもPBはNB商品よりもすぐに売価を上げることは、その性格上難しいので、一時的に小売りの値入率を圧迫し、商品をいったん廃版にしてリニューアルしなくてはならないということが起きるでしょう。

それも、現在契約している数量の消化状況や包材の残数によってはSKUごとにリニューアルのタイミングがずれてくることもあります。それを一企業の内部で調整しながら全体のリニューアルのタイミングを足並みそろえようとすることは至難の業です。いったん販売を休止し、規格を変えて再度販売という流れだけでは済まないように感じます。また今の為替予約と今後の予約価格の差異によってはリニューアルすら難しい商品も出てくるでしょう。いくら過去の実績がある商品でも売れば売るほど利益を引き下げるようなPBでは本末転倒となりますが、それを支持していただいていたお客様にはどのように対処していけばよいのか、それを考えるだけでも頭の痛い問題です。

NB商品についても、小売業がメーカーさんからの要請にそのまま従うということもまず少ないでしょう。自分の店の店頭が一番早く値上げしたという状況は避けたいですし、かといって利益を削って仕入れを続けるという構図も決して好ましいものではありません。メーカーさん、問屋さん、小売りの鬩ぎ合いが繰り広げられるのです。メーカーさんも単純値上げというわけにはいきませんでしょうから、商品のリニューアルと切り替えを準備していると思いますが、流通在庫との兼ね合いや小売りとの力関係によってなかなかスムーズにはいくと思えません。リニューアル後の商品によっては極端な場合、定番カットという無残な結果になるかもしれません。メーカーさんの立場からすれば、納価を上げるとともに小売りが足並みそろえて店頭価格を上げることが一番望ましい状況だと思います。しかし業種業態を超えての競争激化のマーケットではそれも至難の業でしょう。

綺麗ごとにはなりますが、製配販がお互いに、お客様視点でどのように対処するのが一番良いのか、考えるしかないでしょう。お互いに会社のエゴをぶつけ合っていても、たいして良い結果は得られるものではありませんから、あくまでお客様ありきの姿勢で臨むしかないと思います。 ただ長期的に見て、輸出産業が伸び、経済が活性化して国民の所得が伸び、一般消費も活性化する見通しがつくのであれば、全体としては良い方向に向かっていくことになるのですから、この過渡期を耐え忍ぶしかないのかもしれません。

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一方で来年になれば消費税増税も控えています。 こちらも消費環境にとって大きなインパクトです。増税前の駆け込み需要と増税後の消費動向、どのような対応を考えていらっしゃるでしょうか。特に駆け込み需要は間違いなく起こるでしょうから、その時に小売りとしてはどのような対応を、メーカーさんもどのような準備をしておくべきか、もう今から整理しておかないと間に合わなくなるでしょう。それは、セールスの打ち出し方についてもそうですし、物量の確保についても大切ですし、小売り各社の考え方や政策の確認がまず必要です。その準備次第でまた各社の明暗が分かれてしまいます。これはメーカーさんも小売りも同様だと思います。

いずれにしても、取り巻く環境は激変と混乱の2013年という様相を呈しています。どんな変化も見逃さず、敏感に素早く対応することが求められると思います。今までの経験ではなく、これからの研究が役に立つようになると思います。

頑張りましょう。

2013年4月23日 11:30

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