コラム・レポート
vol.53 2013年のマーチャンダイジング
2013年、そして今後
皆様、こんにちは。 2013年の滑り出しはいかがでしょうか。2012年は不況、デフレにあおられ、思うように業績を上げることができなかった取り組みや仕掛けが多かったのではないでしょうか。2013年に入り、政権が変わり、日本経済再生に向けた緊急経済対策が発表され、円安基調に変わったり、景気回復に向けて若干の動きが出てきたようには見受けられますが、我々のような流通業界でそのご利益を享受できるのは、まだ少し先になりそうな感じです。
一方、2014年に控えた消費税の増税や、商品の原材料にあたる様々な輸入品の値上げなど、国内の消費回復の足を引っ張る要素が散見され、なかなか安心できる状態ではないようです。
買い物環境の大きな変化
そうした状況の中、2013年の位置づけとしては、消費税増税を見据えた景気の閉塞感を前提として、従来のマーチャンダイジングの何をどのように変えていくのかを策定し、実験する年ではないかと考えています。
2012年元気のよかった、あるいは台頭してきた業態としては、ドラッグストア、ディスカウントストア、それとネット通販でした。ドラッグストア、ディスカウントストアに共通していることは、イニシャルコスト、ランニングコストを低く抑え、15%前後の販管費に下支えされた、低粗利、低価格の政策が今のデフレにあいまって、客数を伸ばし売り上げを伸ばすということになりました。ディスカウントを志向するチェーンストアとしては至って当たり前の方程式ですが、今までの王者であるGMSやSM企業は、店舗の規模が大きくなったことと、人件費率が高まってきたことによって、販管費率を低く抑えることができず、求める粗利益率も必然的に高くなってきてしまったことにより、ドラッグストアやディスカウントストアに対する価格競争力を失ってしまった結果となっています。
デフレと消費の閉塞感によって、今後の流通の主役をこれらディスカウント企業がとって代わることを前提として、今後の戦略を組み立てていくのか、あるいは彼らにはできない、つまり消費者にとって喜ばしい付加価値を創造して新しい商品の提供方法、販売方法を模索し、新たな競争環境を創造していくのか、小売りもメーカー、卸もハンドルを切る判断を迫られていると考えるべきでしょう。
メーカーさんにとっては、ブランドの価値、商品の価値を正しく評価して売ってくれる小売業と取り組みをしたいと考えるのは当然ですが、それが好結果を生まなくては、絵に描いた餅に終わってしまいます。メーカーさんも売り上げの低下から、経費の削減、営業の縮小均衡と負のスパイラルに入ってしまいます。
小売業も、今ある経営資産(人、物、金)をいきなり捨て去り、低い販管費で経営できる企業にいきなり生まれ変わることは不可能で、反対に経営的立場からすれば、販管費を下げる努力をしつつも、今手元にある経営資産を有効活用しながら、新しい価値、他社との差別化を図っていくことを、当面の対策として進めるしかありません。つまりGMSなら、コストに見合った価値、お客様にご納得いただける価値を提供できる商品と販売方法で対処していくしかないと思います。それは、一つはPB戦略の更なる強化かもしれません。売価と商品の内容を比較すれば、PBの優位性はNBを上回る場合がほとんどです。昨年、PBの市場規模も2兆円を超えたと聞いております。
あるいは、今までも取り組みはしてきましたが中途半端に終わっていることとして、その商品の使用法や機能について様々な情報を発信したり、なるほどと思えるような「コト」を提供したり、ただ買い物するだけでなく、楽しく買い物ができる環境を整えるという試みも今一度組み立てなおすこともあるでしょう。
また一方、新しいカテゴリーを創造し提案し、客数の増加を狙う場合もあるでしょう。今までの商品分類を、いったんぶち壊し、お客様視点で商品や仕入れも売り場のくくりも新しく作り直し、新しい提供価値を創出する場合もあるかもしれません。あるいは特定の品種にフォーカスして、圧倒的優勢を保てる、真のデスティネーションカテゴリーとする場合もあるかもしれません。
しかし、ネット通販というチャネルへの対応、もしくは活用というのは、今までにない取り組み方法を考えるべきではないでしょうか。最近では、リアルの店舗で商品の実物を確認、品定めし、買うのはネットでという消費者も増えてきているようです。すでにネットというチャネルは大きなお客様との接点と言わざるを得ません。さらにはシニア人口の増加、単身世帯の増加、共稼ぎ夫婦の増加など、実際の店舗に行って買い物をする時間や労力を惜しむ消費者が増えていることも事実ですし、メーカー・卸・小売りともにその対応は、大急ぎで考え構築しなくてはなりません。大手の小売業で、ネットの販売チャネルの仕組みをすでに持っているところとは、リアルとバーチャルの店舗のコラボを考えた企画が必要で、トータルで販売点数を伸長させる方向で取り組みをしていきましょう。たとえばネットで購入した場合の特典とリアル店舗でしか享受できないメリットを使い分けて、または並行して、その時期その期間の重点商品の売り込み方を変えていくような総合的な企画の立案が今後は重要です。
いずれにしても、今までの競争環境や消費環境と、これからのそれとは大きく様変わりしていくことは必至です。従来のメーカーさん、問屋さんの提案型営業も、その中身を見直して、取り組みを進めている小売業がどのような土俵に立って戦っているかを再度理解したうえで、コラボレーションしていくことが大切になると思います。
過去の成功体験にとらわれず、新しい戦い方の提案をいち早く見つけられるよう、
皆さん、頑張りましょう。
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