コラム・レポート
vol.50 情報収集・情報活用
盛夏まもなく
皆様、お元気ですか。 昨年よりも入梅が遅れ、本格的な暑さがやってくるにはもう少しかかりそうです。気温に左右される商品を扱っていらっしゃるメーカー、問屋、小売の担当者様には、なかなか微妙な対応が要求されているのではないでしょうか。一番の悩みは在庫の問題でしょう。夏が終わるまでに綺麗に消化できるのか、今からシミュレーションが必要になってきているのではないでしょうか。
また第1四半期も終わり、そろそろ秋冬の商品計画を固めなくてはならない時期かとも思います。第1四半期での成功事例、失敗事例、昨年の秋冬商戦の状況など、集められるものは今のうちに集めておきましょう。
店間格差が問題
次のシーズンの計画を立てるときには前シーズンの振り返りを必ず行います。前のシーズンの反省+今年の環境与件+今年の重点商品+直近の商品、カテゴリーの動向などの情報が無ければ計画は立てられません。私もまずは必ずこれらの情報収集を行います。
しかし毎回頭を痛めるのは、全店統一の企画をやっても、取組に対する店間の格差が激しいことです。例えば、店舗の実力と比較して明らかに実績が低いとか、毎回実施度合いの足並みがそろわないとか、何故その企画が実施できなかったのかの要因を特定するのに頭を悩ませています。またそのチャンスロス度合いを試算するという無駄な作業に時間がかかるとイライラするものです。
そもそも単品の仕入計画は、カテゴリー単位の数値計画と商品計画と販売計画が決まらないと作れません。つまり店単位の展開計画も出来る限り具体的に決めていかないと、精度の高い仕入計画は組み立てられないことになります。しかしながらいくら精度の高い仕入計画を立案しても、現場現実の店舗でバイヤーの思い通りの売場展開ができていなければ、そのとおりに仕入れも発注も起きないし、販売実績も上がってこないということになります。これが計画と営業実績を大きく狂わせる要因となっているのです。
店舗における週別カテゴリー別の売場計画を誰が立案するのか、誰が実施をチェックするのか、それは各企業ごと、組織の役割・権限によって違うでしょう。完全に本部がコントロールできる指示系統を持っている企業であれば、このような問題が発生する心配は少ないのでしょう。またスーパーバイザーやエリアマネジャーが配置され、職務と責任が明確に定義され店舗の指導に当たっている企業であれば本部の意図も伝わりやすいかと思いますが、ある程度店に売場計画の権限が与えられている企業では、なかなか本部の思い通りに売場は出来上がらないようです。勿論地域のお客様を一番良く知っているのは店舗の人々であり、必ずしも本部の計画が地域にフィットしているとは言いがたい場合もあるし、売上の責任を現場である店舗が持っている企業の場合、店長自らが主体となって販売計画を立案することが正となっても仕方がないことだとは思います。しかし店間格差を少しでも回避し効果効率を高めていくためには、やはり計画段階での精度を上げることと、企画の意味を正しく店舗に伝える仕組みを考えなくてはなりません。例えば店舗グループ、店舗パターンを企画に合わせて整理し直す、また企画内容の魅力をアップするなどして店舗が喜んで、無理なく実施できるように企画を仕上げることが必要ではないでしょうか。
店舗グループ、店舗パターンを整理すると言っても、なかなか骨の折れる作業です。要は店舗に立地、売上、商圏情報、サイズ規模、世帯・人口構成などの属性を付与してグルーピングをしていくのですが、さらに自部門、自カテゴリーの全体における売上構成比なども考慮して、自カテゴリーの強い店であるか否かをグルーピングに加味してみる必要もあります。
また魅力ある企画に仕上げるということは、その企画の売上や利益に対する貢献度、競合に対するインパクト、お客様から見ての魅力度合い、何故このタイミングで実施するのかという「旬」を感じる内容、これらがきちんと伝わる企画になっているかどうかです。もっと言えばやらないと損をすると感じるぐらいの企画書であるべきだと思います。
店舗への伝え方も、会議などでバイヤーから店の担当者に説明する機会を持っているところもあれば、今ですとメールなどで済ませてしまう場合もあるのかもしれません。あるいはお取引先様の力を借りて、各店を巡回して担当者に説明して回るという(あまり良い方法とは思いませんが)やり方をしているバイヤーもいるでしょう。しかしどんなやり方をしようと、その企画の意図と重要性、責任数値へのインパクトが理解できなければ、店の担当者の食指は動かないでしょう。
取組に対する店間格差をなくさない限り、次につながる分析も出来ず、計画もブラッシュアップされません。この課題をどうやって克服するか、チームで知恵を絞らなくてはなりません。より効率的に売上を確保していくためには、計画したことを計画通りに実施すること、皆が同じベクトルに向かって努力すること、これに尽きると思います。
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