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コラム・レポート

vol.49 数字を変えるストーリー

第1四半期

皆さん、こんにちは。初夏の香りのするいい季節となってまいりました。
 しかし我々を取り巻く環境としては、チェーンストア協会の発表によれば、少し前ですが、3月度は、11年の3.11震災の影響の反動等から、衣料品が前年を上回ったものの、食料品、住関品が前年を下回ったことにより、総販売額の前年同月比は、2ヶ月ぶりのマイナスとなったとのことで、中々厳しい状況には変わりないようです。DIY協会でも3月は前年同月比を下回る(94.6)発表となっています。やはり震災の影響は拭い去れないようです。
 とはいっても、四半期、半期で数字を併せていかなくてはならないのがビジネスマンの務め。どうやって数字を回復させるかに知恵を絞りましょう。

数字を変えるストーリー

 数字を変えていくためには、数字を作るための手段や方法を変えなくては何も変化がおきません。つまり、商品や品揃えの見直しが必要ということです。同様に販促や提供方法も再検討が必要でしょう。そしてその裏づけとなるストーリーを作ることも重要だと思います。そしてその結果、どの程度の数字の変化が期待できるのかという期待値のシミュレーションをつけなくてはなりません。
ストーリーとは、

 ①主にターゲット顧客を中心とした消費者の嗜好の変化を把握する。
 ②それに基づきカテゴリー戦略の見直しをする。
 ③続いて商品(品種)構成の見直しをする。

というところから始めてみるべきと考えます。特に日本の人口構成や消費環境や大きく変わりつつありますから、カスタマーインサイトは非常に重要と思います。

 カテゴリー戦略は、当初の全体の数値目標を達成するために、カスタマーインサイトを理解したうえで、カテゴリーごとのポジショニングや戦い方(役割、売上重視、利益重視)を再定義することです。その定義によってスペース構成や販促頻度などいろいろな後工程が左右されます。
 商品構成の見直しは、販売の効果効率を高めるために、カテゴリーを構成する小分類単位でSKU数やスペース構成比、プライスラインなどを見直す作業です。
 まずはエクセルを使って以下のようなマトリックスを作って、SKU数の構成を確認する、売上構成を確認するなど現状を把握した上で、ここからどう変えるかを検討しましょう。

buyer0049_1.jpg 現状把握と新しい仮説に基づいて、

 ④品揃えの見直し
 ⑤プライスラインの再検討
 ⑥重点商品の再設定

をしてみましょう。上記のマトリックスを変えることによって、当然今の品揃えは変えていかなくてはなりません。トレンドに乗っている分類や属性のSKUを増やし品揃えの幅と奥行きを拡大させ、そうでない部分は割り切って削減していくという作業で、同時に競合や市場の平均価格などを加味して、あるべきプライスラインの構成に変更していくことも大切です。オープニングプライスをいくらに設定するのか、プライスポイントをどこにもっていくのか、見直しをかけましょう。

buyer0049_2.jpg そして月度、四半期で重点的に販売していく単品、重点商品を設定し、この商品だけはその市場で圧倒的な販売量を獲得し、売上又は利益の底上げを計画します。
 ここまで決まれば、棚割りはどのように変更すべきか、販促計画(売り方、媒体、スケジュールなど)をどう計画するかは、短時間で判断できるはずです。
 最後に変更前と変更後の数字の変化をシミュレーションして目標値を作成し、店頭での実行計画を作成すればほぼ完璧です。

 このようにストーリーを作って、仮説-実験-検証、プラン(P)-ドゥ(D)-チェック(C)-アクション(A)のサイクルをまわしていけば、必ず数字は変わってくるはずです。品種ごとに特性によって違いはありますが、52週、隔週、月度でチェックしていくことが必要ではないでしょうか。そのためにはぜひシステムの支援が必要ですね。いちいち手作業では変化についていけません。

 とにかく100の議論をするより、1つずつでも現場の課題を早期に解決するほうが重要です。最悪なのは数字が悪い言い訳を見つけるための調査分析に膨大な時間をかけて現状を正当化するようなことです。チェーンシステムで動いている組織小売業では、現場である店舗は、本部からの計画に基づき動くことを命じられていますから、本部や本部担当のお取引先様がやらなくてはならないことは、改善プランと実行計画を提示することです。

 スピードを上げて頑張りましょう!

2012年5月15日 10:45

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