コラム・レポート
vol.48 計画の組み立て方
期の初めの忙しい時期
皆様、お元気ですか。もう3月も中旬を過ぎていますが、なかなか春めいてきませんね。1、2日暖かくなったかと思うと、また寒くなったり雨が降ったりで、服装も売り場も衣替えのタイミングが難しく悩ましい気候です。また昨年の震災の影響と震災直後の特需とかあり、営業数値も例年と比較することが大変困難な状況にあることと思います。
そしてこの時期、小売業もメーカーさんも問屋さんも期が変わり、人事異動が起こる季節でもあり、引き継ぎや予算の修正などで仕事もてんやわんやではないでしょうか。特に組織が変わって新体制になった部署では、日々の実務をどうこなしていくのかを考えるのに、また新たな目標を設定すること自体に時間を取られているのではないでしょうか。過去に事例のない、雲をつかむようなミッションを背負った部隊は本当に大変だと思います。ゴールの設定だけでも、何となく時間だけが過ぎてしまって、具体的な成果が残らない日々が続きもやもやしているのではないでしょうか。
とはいっても、毎日目の前で商品が動き、先々の計画立案に追われる我々流通業は、なかなか立ち止まって考える時間を持てないのが実態です。ですが、何の計画もないところでいきなり行動しても、思うような結果は残せません。忙しい中でもしっかり商品計画、数値計画を組み立てられるように、時間の使い方を工夫したいものです。
計画立案にあたっての考え方
計画を組み立てるとき、皆様はどのようなステップで考えていらっしゃるでしょうか。私の身の回りでは、計画の立て方は、上位から下位に向かって目標をブレークダウンしていくトップダウン方式と、販売を予定する商品の計画数量を積み上げて全体の数字を作り上げていくボトムアップ方式を使う場合と二通りあるようです。どちらにもメリット、デメリットはあり、どちらが正解ということはありません。一番良いのは両方を組み合わせて整合性を取ることでしょう。
トップダウン方式の良いところは、一つに、計画に全体感が持てること、つまり複数の大きな商品カテゴリーの目標値(売り上げ、利益、在庫等)をその下の中分類、小分類に分解していくので、全体と個々の単位の位相あわせができることが挙げられます。また計画自体が鳥瞰図的な内容をもっているため、ストーリー性を持たせることができることもメリットと考えられますし、抜け漏れがなく計画を作ることができます。もし上位の目標値をブレークダウンしていく途中で、既存の品種、カテゴリーだけでは数字を埋め合わせできないことに気が付けば、新しい品揃え、売り場、売り方を導入しなくてはならないことに気が付きます。そこから新たな発想の取り組みも生まれてくるのです。
一方、ボトムアップ方式では、商品、単品から入っていくので、計画がより具体的、現実的になります。言い方を変えれば実行可能な計画になりやすい発想法だと思います。したがって自ずと無理のない数量、金額での計画となりますので、リスクを最小限にとどめることもできるでしょう。あるいは商品や売り場を想起しながら計画を立てられるので、説明する相手にもイメージを共有しやすい(共感を得やすい)計画になると思われます。よって行動に移しやすい計画になるとも思われます。
しかし私は個人的には、ボトムアップ方式より、トップダウン方式のほうを重視すべきではないかと思います。その理由は、新しいことに挑戦する、既存の発想を打ち破るためには、まずロマンのある大きな数字(商品が変わる、品揃えが変わる、売り場が変わる)を立てて、そのために何を追加しなくてはならないか、何をやめなくてはならないか、品種やスペースの構成を変化させることを考える必要が発生するので、今までにない売り場や売り上げを生み出す可能性を秘めていると思うからです。そうすることで常にチャレンジングな姿勢でマーチャンダイジングをすることができるように感じるからです。
但し、勿論机上の空論だけを語っていても、現実化することはできませんから、そこでいわゆる定番、鉄板といわれる品種、商品についてはボトムアップで数字を組み立ててみて、ある程度トップダウンの数字が現実味をもっているかをチェックすることは忘れてはいけません。
つまり商品計画を作るときとか目標数値を立てるときには、上位から下位を見る、下位から上位を見る、または外部環境を加味して客観的に観察してみて、多面的にチェックを加えていくことが大切だということです。結果として理論的に整合性がとれている計画であり、かつチャレンジングな数字も含まれている計画となることが一番望ましいわけです。
あとは時間と手数の問題です。これが皆様にとっても悩みの種ではないでしょうか。理想はわかってもなかなか計画作成に割く時間がない、やるべきことはわかっていても、データ収集やデータの分析、作表、資料作りなど手数が多くてやりきれないなど、みんな同じような悩みを抱えています。今はそういった悩みを解決するためのシステムも進化して、かなり使いやすくなっているものが多く世の中に出回っていますので、会社のシステム部門やマーケティング部門の人たちの協力を得て、ソフトウェアを購入してもらうのも一つの手段だと思います。それによって計画の精度が上がり、計画の実施率が上がって、効果効率が確認できれば安いものだと思いますし、バイヤーや営業マン達のマンパワーの効率化につながれば、プラスのスパイラルに入っていけるわけですから、ソフトウェアの購入を検討してみる価値はあると思います。
ただ、勘違いしてはいけないのは、システムはあくまで作業を効率化するための道具であり、それが答えを導き出してくれるものではないことは認識しておきましょう。答えを導き出すのは、システムではなく人間です。ですから、ソフトウェアを購入することも大切な一つの要因ですが、自分たちの考え方や発想力を鍛えることはそれに優先します。
今年は、計画の精度を上げてみることにチャレンジする1年としてみませんか。
では、皆様頑張りましょう。
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