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コラム・レポート

vol.47 52週マーチャンダイジング

 皆さん、お元気ですか。年が明けてからも大雪の影響や不採算店舗の閉店などがあり、消費動向は依然厳しい状況にあるようです。1月のスーパーマーケットの業績は、食品が前年比で0.5%増加だったものの、衣料品の不振が響き全体では前年対比で0.5%マイナスといった状況です。
 また高齢化社会の本格的な到来から、 海外へのシフトを本格的に表明する小売業も現れ、特に中国、他アジアへの進出を進めている話も聞こえてきて若干の寂しさを感じる今日この頃です。あるいは、商品の生産基地も、中国の人件費高騰を受け、ベトナムをはじめとした東南アジアへのシフトが急速に進んでいます。今まさにアジア全体を視野に入れた流通を考える時代になってきました。
buyer0047_1.jpg  これらのことは規格品を大量生産、消費することによって削減された商品コストを、今までどおりに維持していくためには必要不可欠な施策と考えることも出来ますが、年金問題や消費税の問題などを併せて考えると、現状の国内の消費環境をさらに改善していくことも流通業に携わる人々の大きな責務ではないかと感じます。
 最近では電子マネーを絡めた販促やネットスーパーなど、新しい技術を活用してお客様の利便性を追及したり、今までにない割引セールやEDLP施策を見直したりと、様々な打ち手を試行錯誤している段階だと思います。

 しかし忘れていけないのは、四季があり1年間にいくつものイベントがある日本では、52週マーチャンダイジングを基本として考えなくてはならないことではないでしょうか。季節や気温の変化に合わせ、生活スタイルの変化に合わせ、重点カテゴリー、重点商品を決め、週別に売価や提供方法に変化を与えていくことによって、消費者の生活に密着していくことが出来るのではないでしょうか。それは価格政策としてのハイアンドローでもEDLPとは違って、お客様のニーズをしっかり把握し生活に密着することの重要性を確認することです。

メーカーさんの立場からすると年間52週全てで店舗のプロモーションスペースを確保することはほぼ不可能に近いと思いますが、事前に年間・半期の計画を提示することによって昨年よりも自社商品の露出を高めることは可能ではないでしょうか。そのためには、・前年の実施事項と数値分析から改善すべき点をまとめ、・直近のトレンド、・相手先小売業の強み弱み、ポジショニング、・消費者の関心事(自社商品のカテゴリーにとらわれず)、等々を把握して、どのような商品を、どのように提供していくか(何をテーマに、どんな売り方で)をバイヤーと一緒に知恵を絞ることが必要です。加えて具体的な改善目標や達成目標まで落とし込めていれば言うこと無しです。
 少なくとも現時点では、上半期の計画についてバイヤーとある程度握っておくべきでしょう。特に各四半期、月間でセールスの山となる週のプロモーションを確保できるように提案し働きかけることが必要です。
 小売業側はある程度前年実績をもとに半期分の販促計画のベースは作成しています。そこに今年の特別な要因を加味してセールスプランを組み立てます。例えば今年なら昨年の震災や豪雨の時のマイナスや特需への対応をどのように考えているのかといったことになります。さらには先ほどの電子マネーやポイントカードを活用した販促などを付加して昨年のセールスに見直しをかけていきます。
 これらの昨年にないプロモーションの企画はぜひメーカーさんとしては取っていくべき企画と考えてください。なぜならば前年実績のない企画は小売業側もトライ・アンド・エラーであったり、チャレンジ企画的な位置づけのものが多く、想定する売り上げ目標は持っているものの、「まずやってみよう」的に捉えている場合が多いからです。ですから皆様が得意とするカテゴリーで新しい企画に乗っかれる販促計画はバイヤーとともに作り上げておくべきでしょう。

 52週マーチャンダイジングは、何も年間52回プロモーションスペースの商品を変えるという意味ではありません。 buyer0047_2.jpg 重点カテゴリーの売り方を週単位で計画し確実に実行することがその要です。ですからある程度長いスパンでカテゴリーの販売計画を考え、どのタイミング(週)で重点商品がどのような状態で売り場に並んでいなければいけないかを見極めてください。そのピーク時に向けて、前哨戦となる計画も必要ですし、ピーク後の収束の計画も必要です。それを考えていけば、売価の設定、投入数量なども従来よりも精度が高まってくるのではないでしょうか。無駄なロスが抑えられることになります。

 今すぐに春から初夏に向けての計画を見直してみませんか。担当の小売業が取り組もうとしている新しい企画に対して提案漏れがないか、自社の強みが活かせるカテゴリーの指数と販売サイクルを間違えていないか、少なくともピーク週の前後2週の商品計画、数量計画が最適なものになっているかチェックしてみてください。場合によっては小売り側も直前での計画修正が可能な場合もあります。バイヤーも当然1か月以上前に商品計画や数量計画の案を作成しているわけですから、直近の販売実績に応じて計画修正をするのは日常的なことです。

 スーパーの店頭は日々改善の繰り返しで成り立っています。昨年と違う新しい何かに挑戦しながら、一人でも多くのお客様の支持を得て、1個でも多くの商品を買っていただくことによって数字が作られています。考えてみれば意外と地味な活動でもあるわけです。
 ですから、バイヤーにとってお取引先様と客観的にカテゴリーを分析して52週のマーチャンダイジングにどのような変化を与えていくかということは、ルーチン業務として位置付けるべき項目なのです。

皆様、頑張りましょう。

2012年3月 6日 15:00

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