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コラム・レポート

vol.44 基本の徹底と新たな取組み

不安定な気温

 皆様、こんにちは。 暦だけはもう10月中旬ですが、気温は一向に秋にならない日々が続いています。寒いときは寒くなってくれないと、小売もメーカーも大変です。既に秋冬商品への品揃え変更はとっくに終わっているというのに、生活実感としての秋冬は未だ到来せずでは、商品動かずという悲しい状況になります。特に回転日数の長い商品群、作りこみ型で1シーズンの販売予定数量を既に生産してしまっている商品は戦術の変更を余儀なくされます。そうすると当初予定していた売上、利益の計画も達成できなくなるので、商品計画自体も見直しということになり、追加で商品を投入する必要性が出てくるということになります。これがうまくはまれば言うこと無いのですが、そうはうまくいかないのが世の常で、在庫が膨れ上がり、財務体質が悪化するという結果を招く要因となりかねません。予定の利益は確保できず、在庫は多いという最悪の状態です。(しかし売価還元法という数字のマジックを使って高値入商品で在庫を増やすという小手先技もありますが・・・)

基本に立ち返る

 さて気温の影響はさておき、チェーンストア協会の発表によると、9月の店舗調整後の前年同月比売上は、食品が93.2%、衣料品92.5%、住関連91.5%となっており、国内の消費は未だ低迷です。震災による自粛や台風の影響など様々なマイナス要因があり、このような結果になっているのでしょうが、それを言い訳にして何も手を打たなかったらビジネスは萎んでいくばかりです。
 私が思うに、今やらなければならないことは、基本の徹底と環境認識に基づく新しい取組みの2つを同時に行うことではないでしょうか。
 基本の徹底とは、3現主義(現場、現実、現物)という言葉があるように、今店頭で起きていることを正確に把握し、間違ったことをしている場合は、基本に立ち返り修正してみることでしょう。基本というのは業界の先輩たちが知恵と経験をつんで体系化された理論ですから、概ね間違ってはいないはずです。つまり店頭で今何が起きているのか、お客様と日々接している店舗従業員は何を感じているのか、商品はどのような売り方をされているのか、また売れている商品は何故売れているのか、それらをPOSデータだけで判断するのではなく、最前線に行って確かめること、そこから計画の修正を進めることが大切ではないかと思います。そして、そこから見えてきたことに基づいて、消費を取り巻く環境を加味して新しい取組みを始めること、もたもたせずにまずやること、これが重要だと思います。

チャンスを発見するために

 消費を取り巻く環境という意味で、一番大きいのは、前回も触れましたが、やはり高齢化の問題ではないでしょうか。60歳以上の方々の生活スタイルを研究し尽くして、商品、品揃え、売場作りが今のままで良いか考えて見ましょう。シニアの方々にフォーカスしたマーケティングをし、売場の括り(ゾーニングやカテゴリーの隣接、商品分類横断的な品揃え)を直したり、ゴールデンゾーンの位置も変わるでしょうから、棚割における陳列位置を変更してみたり、実験することは山ほどあります。
buyer0044_2.jpg  またメーカーさんにとって大きなビジネス環境の変化といえば、拡大し続けるPBの商品開発でしょう。小売のPB開発によりNB商品の間口が狭くなっていることは間違いありませんが、ここでも今一度品揃えの基本的な考え方を復習してみて、自社NB商品にチャンスは無いか見直して見ましょう。

 例えば右図のように、我が主力とするカテゴリーや商品とその競合を比較し、そのカテゴリー、商品の強みを強調できるような戦略を考え、品揃えを再構築する提案を出すという手段を考えてみてください。縦軸、横軸にとるのは対象カテゴリー、商品群の嗜好性や購買動機や使用シーンなど特徴が浮き彫りになる基準でよいでしょう。これは小売のバイヤーもぜひ一度は実施すべきことと思っています。もし自社NB商品が小売のPBとカニバリを起こしているようならば、その商品の戦術を根本的に見直していくか、マーケティング手法を変更するか、スタッフ部門のメンバーと調整をすべきでしょう。

 また最近思うのは、環境変化によって用途や使用シーン、対象顧客ターゲットが変化しているかもしれないので、今までと違う視点で評価してみると、商品の売り方、くくり方にも変化が生じるのではないかということです。さらには仕掛ける側からシーンメイキングを行って、新しい取組へと発展させることも出来るのではないかと思います。
buyer0044_1.jpg  商品の位置づけを変えれば品揃えも変わる、品揃えが変われば売り方も変わる、売り方が変われば売れ数も変わるでしょう。それが何かの起爆剤になればイニシアチブをとっていけるはずです。
 一人で考えていては時間も労力もかかるでしょうから、誰かを巻き込んでいろんな意見を出しながら、手際よくやってみてください。何もせずに後悔するより何かにチャレンジして反省するほうがよっぽど未来につながります。

基本に立ち返り、現実を精査し、環境与件を加味して、新しい売り方に知恵を絞りましょう。

2011年10月27日 15:00

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