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コラム・レポート

vol.42 カテゴリーマネジメントにおける「属性」の見直し

上期振り返り

 皆さん、こんにちは。さて多くの小売業が8月決算を迎え、上期が終わりました。皆様の担当小売業の成績はいかがなものでしたでしょうか。
上期は、3月の東日本大震災に始まり、未だその復旧、復興が急務で、加えて原発事故による被害も現在進行形で深刻なものとなっています。我々流通業者は、東北が元気を取り戻すべく、我々に出来ることをがんばり、日本全体が活力を取り戻せるように消費生活を活性化させるために、努力を継続しなくてはなりません。さらに政治が不安定なことも考えると、国民生活を明るくするために何が出来るか、視点を変えて仕事に傾注することが大切ではないでしょうか。

 そんな思いも込めて、今一度上期を振り返り、やり残したことはないか、そして下期に実現したいことは何か、自分自身の頭の中を整理してみる必要があると思います。上期の大半は、震災の対応に多くの時間が割かれたことは事実であり、しかしそれは致し方ないことなので後悔する意味もないのですが、日本の中の消費環境に大きなパラダイムシフトが生じたことは事実です。このパラダイムシフトを今後のノーマルと捉えて、商品、品揃え、売場、売り方を考え直して、新しいことにチャレンジして、新しい現実をノーマルと捉えているお客様に対応していかなくてはなりません。

下期でのチャレンジ

 以前にも書きましたが、今のキーワードは間違いなく、エコ、省エネです。 そこに焦点を当てると、今までと違う売れ筋が見えてくるはずです。アナログへの回帰ということもあるでしょう。例えば、今年の夏、扇風機が良く売れたことを見てもそれがわかります。今まで見落とされていた品種品目が再び脚光を浴びる要素は多々含まれているのです。あるいはアパレルの世界では、おしゃれなステテコが登場したり、(今年からではありませんが)速乾素材の肌着に注目が集まったり、環境の変化に対応した新しいカテゴリーが成長しています。消耗品、消費財、食品の世界でも当然その傾向があるはずです。特に食品は安心・安全は絶対に担保されるべき要因となるでしょう。
buyer0042_1.jpg  またサマータイムも今年から始まり、生活のリズム、パターンに大きな変化が生じました。家族と過ごす時間が増え、今まで出来なかったことに挑戦するサラリーマン、料理や弁当を作るなどといったことも増えたはずです。または家族の絆を再認識できたのも、この夏の特徴といえます。
 いまひとつは、製造業の工場稼動シフトが変わったことも大きなインパクトです。工場城下町にある小売の店舗ではその影響は顕著に表れています。

 さてさて、このような振り返りをどのようにマーチャンダイジングに活かしていくか、それが我々の大きな課題です。まずは商品の見直しからはじめなくてはなりませんが、その前にぜひやっていただきたいのが、商品を括るための「属性」の見直しです。小売業で言う商品分類とは、その企業の商品の管理体系であり、簡単には大きく変更することは出来ませんが、同じ品種内の商品の括り方を決めるのは、商品属性の変更で出来るはずです。出来れば、カテゴリーマネジメントで出てくるCDT(コンシューマーデシジョンツリー)を組み立てなおし、それを属性に当てはめられれば一番良いでしょう。消費環境を踏まえてお客様がどのように購買意思決定のプロセスを経ていくか、見直してみることが大切ではないでしょうか。ひょっとしたら品種によっては省エネ度合いで階層を組み立て、棚割に反映させることも可能かもしれません。
 商品の括り方が決まったら、次はSKUの構成比を属性ごとにどの程度にすべきかを決め、大まかな売上構成比と荒利の相乗積でスペース配分とロケーションを決めていきましょう。環境を考慮した新しい括りは、出来れば最低でも棚板1枚は設置してほしいものです。それで初めて品揃え、棚割が変わったと感じるはずです。またその新しい括りが他社との差別化にもなるはずです。
 しかし差別化といっても単に他企業と違うことをするのが目的、手段ではありません。わが社、わが店舗をご利用いただけるお客様に対して、どのようにより深くかかわっていけるかを重視した差別化でなくてはなりません。つまりお客様がどのような目的で店舗にご来店いただけるのか、ご利用していただけるのか、それがわかっていないと間違った差別化をしてしまうことになります。わかりやすく言うと、ベーシックカジュアルの衣料品店が、競合との差別化を目的として高級ブランド品を品揃えしても、それには誰も期待していないでしょう。GMSのお酒売場に、何十万円もするレアなワインがあっても単なる装飾品にしかならないでしょう。やはり自社の位置づけを理解し、来店客調査をし、そこに求められる商品構成や価格帯を明確にした上でのマーチャンダイジングでなくてはならないのです。ですから商品属性も重要ですが、その前に来店客分析、顧客属性なども今一度確認してみてください。店舗のクラスタリングも非常に大切です。わが社、わが店舗にお客様がどのような期待をされているのか、それをわかったうえでの商品属性と考えるべきではないでしょうか。

buyer0042_2.jpg  今のPOSシステムは非常に便利に出来ていますから、会社で決めている商品分類とカテゴリーごとに決める商品属性が必ずしも一致しなくても、JANコードや独自の商品コードで売上を属性から分類に変換することは容易です。出来れば属性を活用してカテゴリー横断的な品揃え、売場が構築できれば、さらに良い結果が生まれてくるでしょう。クロスマーチャンダイジングという言葉が使われだして久しくなりますが、中々定着しないのは、単品の動きがどうだこうだ、部門間の損得が良くわからんといった議論に集中してしまって、全体に対して買い上げ点数がどう伸びたかの評価が乏しかったからではないでしょうか。また売上だけではなく利益面での変化はいかがなものだったのか、そこも評価の指標に入れるべきだと考えます。そして単品大量に売る商品と属性によって括られた商品群をミックスすることによって、適正な荒利を確保するという構造に挑戦したいものです。

 消費環境の大きな変化と変化への対応、皆様にはチャレンジングな時代となってきました。がんばりましょう。

2011年9月 1日 13:30

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