
コラム・レポート
vol.41 環境変化とカテゴリー再構築
厳しい変化
皆様お元気ですか。今年の夏は昨年と違い中々猛暑といえるほどまで暑くなりませんね。エコ、省エネの今年はちょうど良いのかもしれませんが、今年の夏は平年並みの夏といったところでしょうか。変化に対して機敏に動かなくてはならない流通業としてはなかなか厳しいところでもあります。つまり昨年作った売上を何でカバーするのか、新しい取組みとして何が出来るのか、すばやい対応が迫られます。
変化といえば、原発問題の世の中への波及が大変なことになっています。食品をはじめ様々なところに影響が出て、安心した消費生活が送れない状況となっています。これは消費する側のみならず生産者サイドも深刻な問題となっているので、政府、政治家に頼るだけなく、我々も少しでも改善に向け努力できることを考えなくてはならないのではないでしょうか。
そういえば外食産業の世界でも「お一人様」が増えてきて、焼肉屋さんでもお一人様用の席の用意がある店が出てきたと聞きました。色々な意味で消費環境はどんどん変化していくものですね。
カテゴリー再構築手順

さて、そんな環境変化の厳しき中、我々現場サイドはもう秋冬の品揃えを構築する時期に入ってしまいました。
カテゴリーを取り巻く環境与件を考慮しながら、カテゴリー政策、品揃え政策、価格政策、販促政策、等々考えなくてはなりません。上期の反省も踏まえて戦略、戦術の修正が必要です。上期の当初目標と着地の予定との差異、年間の目標を達成するための下期目標の修正など、数値が思うように動かないときは、兎角仕事が増えてしまいます。
戦略、戦術を考えるにあたっては、3C分析(市場・顧客、自社、競合)とSWOT分析(強み、弱み、機会、脅威)は必須です。全体的な方向性、我々が戦う土俵を間違えないようにするためです。
それといつも言うように、品揃えマトリックス、商品構成グラフの見直しです。環境が変わり、売れ筋が変わり、機会損失を最小限にするためには、何を、どのように変えなくてはならないか、この段階でストーリーを決めておくべきです。また同時に店舗のクラスタリングを見直すことも重要です。店舗タイプ(ショッピングモール型、箱型、SM等々)、ロケーション(駅前、郊外、ロードサイド等々)の要素を考慮して、どのような品揃えを当てはめていくかを検討すべきです。
品揃えを再構築することに慣れていなかったり、時間がなかったりすると、落とし所を決めて棚割作成から始め、後付けで説明を考えるバイヤーもいないことはありません。しかしこれは大きな間違いです。なぜなら仮説がないから後で実績検証をしても、何故数値が良かったのか悪かったのか反省が出来ないことになるからです。
品揃えや棚割を再構築するということは、カテゴリーの収益構造を変えるということにほかなりません。売上、売れ数、荒利を構成していたSKUとスペース配分を変更し改善を加えるということです。今までは売り上げ至上主義的な考え方もありましたが、今後は粗利重視の考え方に移行するでしょう。なぜならば完全に従来の常識が通用しなくなり、消費に新しい価値観が生まれつつあるからです。そうなると右肩上がりに売上を伸ばすことよりも、目標とした利益を確保できたか否かが企業全体の努力の成果であり、お客様から支持されたことのバロメーターになり、投資家の皆様への貢献度合いとして測られるからです。さらに言えば、バイヤーレベルでは荒利が指標になりますが、最終的に営業利益がどれだけ残せたかによって評価される時代といえるでしょう。ですから店舗も労働生産性や労働分配率が重視されることでしょう
そうなるとPB戦略の見直しという言葉も重要性を帯びてきます。戦略といっても、SKU数をどうするのか、スペース配分をどうするのか、ソーシング先をどうするのか、等々色々な要素があります。競合との差別化が出来なければ意味はありません。その時NBメーカーさんはどのように対応すべきかを今後の提案の中には盛り込んでおく必要があるでしょう。つまりPBと共存できるNBとしてどのようなストーリーを構築するか、共存させる方法、裏付けを明確にさせておくべきでしょう。例えば、ポートフォリオやポジショニングマップを使ってわかりやすく表現し説明できる準備を進めておいてください。
あるいはブランドのロイヤリティを再確認することも重要ではないでしょうか。お客様からロイヤリティをいただいている真のNBブランドならまだしも、自社の中だけでブランドとして位置づけられているような商品は説得力に欠けてしまいますので、その商品のブランディングについて再確認が必要です。もし社運をかけて売り込まなくてはならないブランドであれば、近視眼的な考え方ではなく中長期的な育て方をバイヤーに提案すべきです。
品揃えを変え、棚割を変え、収益構造を変えることによって、再度カテゴリーの活性化を目論むわけですが、そこにはお客様ニーズの充足が達成されたかどうかの基準も必要です。昨今の消費者は無駄と思われること、必要以上のことには中々お金を使ってもらえません。故に余計な憧れ商品や見せ筋商品の品揃えを充実させたところで棚の非効率を生みだすだけで、品揃えの豊富感を醸し出していることにはならないと思います。業種業態を問わず、繁盛店ではどのような品揃えや提供方法を実践しているのかを研究し続けたいものです。先ほどの3C分析を通じて本当のニーズは何かに当りをつけることは大変重要だと思います。
なでしこジャパンの「あきらめない気持ち」ではないですが、仮説-実験-検証を繰り返して、商品、品揃え、売り場をどんどんブラッシュアップしていかなくてはなりません。
たとえ環境は悪くとも、あきらめずに頑張りましょう。
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