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コラム・レポート

vol.40 バイヤー・問屋・メーカー、チームとしての働き方とは

マネジメントについて

 皆さん、お元気ですか。暑さも本格化してきた様子ですが、世のトレンドとしては省エネ、節電対応が大きな流れとなっていますので、今年は暑さに体をあわせていくべきでしょう。同時に我々の仕事の仕方も商品も、省エネ・節電にあわせた対応を考えることが必須となってきています。

 さて、話はガラッと変わりますが、私が最近読んだ本の中に、マネジメントにはビジネススクールや経営学の本に書いてあるようなセオリーや公式は通用しない場合が多いとあり、なるほどなと思いました。といいますのは、私の部下や周囲にはバイヤーの肩書きを持つ人間がたくさんいますが、正直十人十色であり、なおかつ個性豊かな人間ばかりなので、一筋縄ではマネジメントできないことは実体験として肌で感じております。
 その本には、相手の長所短所を良く見て、マネジメントを変えるべきであり、結局のところ、ビジネスは同じ価値観を持ちゴールを共有して、ひとつのチームとして機能することが成功の秘訣であるということです。ゆえにゴールに向かって進むに当たっては、全員をひとつの箱に押し込めることが重要なのではなく、個人個人の長所(個性)を活かしながら、短所をカバーしあって進むべきだということです。勿論、社会にはある一定のルールは必要ですが、仕事に取り組むに当たって、特にプロジェクトのように期限を切ってチームを編成するような場合には、既存のルールを見直しながら、チームの価値観の中からルールを策定しながら目標に向かって走っていくことが大切なのではないでしょうか。

チームとしての働き方とは

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 それでは我々の仕事環境に当てはめて考えてみると、バイヤー、問屋さん、メーカーさんはあたかもひとつのチームのように活動しているはずです。特にカテゴリーマネジメントの考え方を取り入れている企業、カテゴリーではそれぞれの役割分担が明確になっている(丸投げバイヤーでないことを前提として)はずですから、各人がそれぞれの役割を果たすことによって年間の目標数値を達成できるわけです。
 その場合チームリーダーは立場上バイヤーということになるのでしょうが、先ほど申したようにバイヤーにも長所短所、得手不得手があります。問屋さん、メーカーさんでも同じことが言えるでしょう。

 本来バイヤーに必要とされる資質とは何でしょうか。それは人によって様々な答えが返ってくるでしょう。声が大きく、机をバンバンたたいて安い原価を引き出せる人が凄いバイヤーとか言われていましたが、それは以前の話しで、私は次のような資質が必要ではないかと思います。

1.1年先(出来ればそれ以上)までの成長戦略が描ける
2.コスト管理、収益管理の意識が高い
3.新しい商品、売場、売り方に対する挑戦意欲が高い
4.社内、社外の関係者を巻き込む、束ねる力が強い(うまい)
5.判断、意思決定を自分で出来る
6.数字に執着心が強い
7.何事にも興味津々、研究熱心
8.スケジュール管理とスピード感

 それぞれをもう少し細かく説明すると、例えば成長戦略が描けるということは、将来のあるべき姿から現在を投影して、今あるべき姿と現実とのギャップを把握し改善行動が起こせるということです。
 また、コスト、収益の管理能力があるということは、ロスや値下げによる影響をシミュレーションできるということだけではなく、在庫過多が財務的にどのように影響を与えるのか、理解したうえでMDをしているということです。
 3の挑戦意欲は、誰もやったことが無いことに対する貪欲さと、リスクを犯したその先にある先行者利益を把握する力のことを言います。
 次の巻き込む力、束ねる力は、普段から社内外の関係者とどのような付き合い方をしているか、アンテナを長く広く張り巡らしているかであって、腕力の強さではなく、人としての魅力を磨いているかどうかということです。
 判断、意思決定を自分で出来るというのは、責任感の強さだと思います。最終的に自分が決めた、責任は私にある、という意識で仕事に向かっている証拠だと思います。
 数字への執着心は、諦めない気持ちと常に改善意欲に燃えていることの現われだと思います。
 何事にも興味をもち、研究熱心というのは意外と重要だと思います。バイヤーの仕事は既成概念の延長線上には存在しません。初めて見るもの、初めて聞くことに触覚を震わせ、それが自分の担当範囲にどう影響するかを思い描く思考回路の持ち主であってほしいと思います。
 最後のスケジュール管理とスピード感ですが、スケジュールを意識的に自己管理できないと、目先の仕事に流され、いついつまでに、このレベルまで達するという目標と実績を一致させる行動力に欠けるということになります。また何か実験的に取り組む場合にも、ズルズルとやっていると適切なタイミングを逃して、本来得られる結果の半分以下の成果しかえられなかったということが往々にしてありますので、やると決めたら速やかに実験、検証するスピードが重要です。

buyer0040_2.jpg  全てを兼ね備えているバイヤーはレアでしょう。言葉を変えると、頭脳>勇気・行動力の人か、頭脳<勇気・行動力のどちらかが一般的でしょう。ですからチームとしての仕事が重要になってくるのです。先ほど申しましたように、バイヤーと営業マン(問屋、メーカー)はチームとして仕事をする機会が増えていますから、チームリーダーたるバイヤーの長所短所を理解したうえで、お互いにカバーしあって目標達成に向け機能していけばよいのです。勿論バイヤーも営業マンの不得手な部分をカバーするように立ち回ることが必要ですし、それでないとチームを率いることは出来ないでしょう。口下手な人もいれば、パソコンが苦手な人もいます。

 結果としてチームが年初に立てた目標が達成できれば、その達成感は何よりの喜びではないでしょうか。その結果は翌年のチーム活動にも大きく影響します。そうした考え方で取り組んでいれば、製造、物流、仕入販売の垣根を越えて、目標、価値観の共有が出来るはずです。そして最強チーム、ドリームチームの完成です。チームとして活動していくに当たって、お互いの資質に大きな欠落がある場合、チームとしての活動に支障が出そうな場合には、はっきり言い合う場面も必要ではないかと思います。なかなか言いにくい場合でも、仕事の場を離れて意見を出し合える関係を作りたいものです。

 お互い違う会社に所属し、いずれは異動でチームを離れてしまうのですから、せめて一緒に仕事をしている期間は切磋琢磨できる仲間になり、思い出に残るチームとしたいものです。

 より質が高い、お互いが成長し合える仕事をしていきましょう。

2011年7月 4日 15:00

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