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vol.42 『震災の影響について』

震災の影響について

RDS-POSデータを使って、この度の震災の影響について、震災直前の2週間(平均)、震災週を挟んで、週明け直後の1週間、最新の4/4週の1週間の時系列でまとめました。
JICFS/IFDBの主要な上位200の食品カテゴリーの販売金額の推移、前年比・寄与率、ランキングの上がり下がりの3つから、震災後約1ヶ月経過した時点の食品スーパーの状況をご報告したいと思います。
なお、ご報告するエリアは、全国、東北、京浜の3エリアといたしました。

※東北はもちろん分析対象とすべきと思いレポートしていますが、結論から言うと、未だに東北マーケットは明らかな異常値であり、参考程度に見る以上の価値はないかもしれません。東北地区は震災後の1ヶ月間、毎週8~14店がデータ入手できない状態が続いています。

1 上位200カテゴリー合計販売金額
※販売金額:各エリア単位で収集しているサンプルを加重平均化したものを、100店舗当り販売金額に換算したものです。

全国平均の販売金額の推移、同前年比の推移からは、震災直後の買いだめ、買い占めが落ち着いてきたといえます。とはいえ、全国では最新週で昨年同時期を7%上回っていますが、これは東北の異常値が引っ張り上げている可能性が高いと考えます。京浜においては、すでに一時期の買い占め騒動は落ち着き、逆に財布の引き締めが始まったとみてよいかもしれません。

trend_42_01_1.jpg trend_42_02_1.jpg 2 寄与率

※寄与率:比較期間からのマーケットの上がり(下がり)を、どのカテゴリーが牽引したか(引き下げたか)を表すもので、上昇分(下落分)の内訳といえる。


2.1 <全国>

震災直前の2週間平均から震災直後の1週間を比較したとき、市場は直前2週平均を100とすると、直後の1週間は125.6でした。全体が25.6%上昇したことになりますが、それを引き上げた内訳で言うと、1位は米で、寄与率は2.7%、つまり上昇分の約1割は米が寄与したということを意味します。全国の上位16カテゴリーは以下の通りです。(13位のチョコレートはホワイトデーの影響と、栄養価を期待したものの両面ではないかと考えています。)

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これらが、まさに非常時に販売額の高まるトップカテゴリーであるということができそうです。大きく3つのグループに分けてみました。

◆主食系グループ: 米、育児用ミルク、食パン、米飯加工品、菓子パン、乾麺、冷凍米飯加工品、水、半生菓子(バウムクーヘン、蒸しケーキなどの腹持ちの良さそうなもの)
◆即席食品グループ: カップ麺、冷凍調理、水産缶詰(マグロ・カツオ以外)、インスタント袋麺、調理済みカレー(レトルト)
◆その他グループ: 畜肉ソーセージ、チョコレート

特に、育児用ミルク、水産缶詰(マグロ・カツオ以外)、米飯加工品、水、乾麺などは、普段の4~5倍売れていました。
しかしながら、これらのうちの大部分は、4/4週には、多くのカテゴリーが震災前水準にほぼ戻っていることが分かります。依然として、震災前を大きく上回っているのは水ぐらいです(乾麺は季節性要因強い?)。
東北と、京浜の寄与率は以下の通り。


2.2 <東北>

米どころだからか、直後の寄与率は5位に止まっていましたが、全国的には震災前水準を下回っている米が、依然として高い水準に止まっています。また、畜肉ソーセージが高い水準にありますが、これも被災地に近いことで、精肉の物流が戻っていないことが理由かもしれません。また、調理自体難しかったことからか、和惣菜も上位にランクしています。

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<京浜>

京浜エリアではすでに震災前水準を下回っていることは、すでに述べましたが、震災直後に大きく全体の引き上げに寄与した上位カテゴリーのほとんどが震災前水準を下回っています。米にいたっては、前年比で46%と大きく下落しました。依然として強い売り上げを示しているのは、ここでも水だけです。
ちなみに、健康食品とはカロリーメイト、ウィダーインゼリーなどです。

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<京浜:ワースト>

京浜エリアにおける、寄与率ワースト10カテゴリーも触れておきたいと思います。
品薄となったヨーグルト、納豆、牛乳は想定の範囲内ですが、生野菜が敬遠された結果、ドレッシングも大きく落としています。また、お酒もマイナス寄与していたことが分かります。
ドレッシング、ヨーグルトは依然として、売り上げが戻っていませんが、牛乳、納豆は反発しています。

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3 ランキングから見る戻り状況

<全国>

全国合計でのランキングの変動からは、震災直後様々な理由で食べることが減っていたものが、反発している状況を表しています。計画停電明けの反動でのアイス、飲用を控えていた(物流の再開もあると思うが)お酒、パックされた安全安心なサラダ、焼肉のたれ(魚料理敬遠か?)などが上昇しました。

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<東北>   trend_4210.jpg
<京浜>

お酒、コーヒー、紅茶等のソフトドリンク類(物流の再開要因?)、アイス(計画停電)など震災後控えられていたものが活発化しています。また、納豆は品薄状態の改善によるものと思われます。

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まとめ

直後の買い占め購買が一段落して、財布のひもを締める段階に入っていると思われます。 どれぐらい続くかは今の時点では何とも分かりませんが、そんな中でもパックされたサラダ、焼肉のたれ(肉類)といった食材が安心安全な食への逃げ道として、また、物流の復活や控えめにしていた反動でのお酒や、嗜好飲料などが活発化しています。
安心安全はもちろん重要な要素ですのですでに対応されていると思いますが、元の生活に戻ろうとしている中で、気持ち的に控えていたちょっと贅沢なものといったポイントも是非店頭で喚起したいところではないでしょうか。こういうものは、まさについで買い。購買のきっかけ作りが重要になると思われます。



2011年4月27日 15:00

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