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コラム・レポート

vol.36 視点や発想を変えて

皆さん、こんにちは。2011年もあっという間に2月下旬となってしまいました。年始商戦、小売りの決算はいかがでしたでしょうか。流通全体で厳しい状況が続いているのは相変わらずだと思いますが、小売り各社の決算状況(まだ小耳にはさんだレベルですが)は、意外と優劣がついてしまったような様子ではないでしょうか。特に業種業態によっては公表値ですら前年の95%程度のところもあれば、しっかり105%以上の成長をしている企業もありと明暗を分けています。

さて前回はこんな状況下では戦略とマーケティングの見直しが重要ではないかと申し上げましたが、皆様の会社ではいかがでしょうか。戦略の定義は色々あって何が正しいのかわかりませんが、結局は中長期的な視野に立って、人・物・金・情報という経営資源を、どこにどのように傾斜配分して継続的な差別性、優位性を確保するかが、いわゆる戦略の定義らしいです。つまりもっと身近に引き寄せて考えてみれば、金と時間をどこに集中的に投資するかを決めることだと思います。皆様の活動にも当てはめられるのではないでしょうか。
buyer0036_1.jpg どの企業に、どの売り場に、どのカテゴリーに、どの商品に力を注いでいくのか、明らかに昨年とは違う動き方をしなければ、新しい売上や市場を見出していけないということです。言い換えれば、カテゴリーの見直しや、商品構成グラフの見直し、品揃えマトリックスの見直しなくして、これからの店頭は語れないということになります。昨年の延長線上では勝負にならないということです。

その為に今一度環境認識をしてみてはいかがでしょうか。皆様がご担当されている企業、カテゴリー、お店のポジショニングを再確認することです。そしてその企業、店にとって、お役立ちとなる新たな提案を考えてください。当然その前に、相手先企業が、またはバイヤーが考えている方針をヒアリングすることを忘れないでください。それをしないと全く違う方向性の提案してしまうことになる危険性があることと、最悪の場合、丸投げされてしまい、責任まで追及されてしまいますから、そのあたりのすり合わせは必須です。
一つの事例として、地域密着というキーワードがあると思います。つまりエリア特性を熟知し、戦略を見直すということです。大手小売りチェーンが出店してもビクともしないリージョナルチェーン、ローカルチェーンはいくつもあります。これらのチェーンの強みは完全にそのエリア特性を熟知していることにあります。会社の創業も地元なら、そこで働く従業員も大半が地元の人であり、食文化にしろ、生活様式にしろ、生きたマーケティングが手元にあるから強いのです。裏を返せば、商品のマス化を目指して割り切った(ドライ商法)マーチャンダイジングを進めてきた大手の全国チェーンの弱みともいえるでしょう。関西から転勤してきた人が東北の文化を理解し、品揃えに反映させるには少々時間がかかります。但し大手の強みはマーチャンダイジングに関する基礎知識を叩き込まれているバイヤーが多いことで、一旦自分の品揃えに反省点を見出したら改善のスピードはかなり早いということです。しかしながら本音で言うと、全バイヤーがその通りというわけではありませんから、そのスピードには個人差はあるとお考えください。
ですから皆様が『お役立ち』といえる提案を出すチャンスはそこにあるのです。そのエリアにおける担当企業のシェアや消費者のもつイメージ、店舗ごとのシェアや競合の状況、その地域における各ブランドのシェア率、気温の変化と季節商品の展開時期、季節の催事等々、地域に軸足を置いた品揃えと売場づくり、セールスプランに見直しを掛けること、今までとりこぼしていた売上をきっちり取っていくことで地域密着度合いを上げる取り組みを強化してはいかがでしょうか。
反対にリージョナル、ローカルチェーンに対しては、ローカルブランドを中心とした荒利ミックス型の関連販売方法や在庫負荷を軽減させる企画や什器の提案、TVCM等をうまく活用した販促の提案などをして利益率の向上に寄与するような取り組みを強化しナショナルチェーンに対抗してはいかがでしょう。マス化されたNBは仕入原価では間違いなく大手チェーンに勝てません。ワンショットでメーカーさん、問屋さんの支店、拠点から販促費が出たとしても通年で考えれば大手の仕入原価を下回ることは難しいでしょう。ですから安い売価で対抗しても刹那的な対応になってしまいがちです。

今後、日本は少子化による人口減に加え、 buyer0036_2.jpg 高齢化社会に突入していくわけですから、既に過去の成功事例は使えないものと考えたほうがよいわけです。その為に小商圏高占拠率を目指した店づくりとマーチャンダイジングを製配販の協業で考えていく必要があります。それを実現するためには、お客様から見て価値の高い売り場、品揃えが具現化されていなくてはならないと思います。地域密着だけではなく、商品情報の提供や新しいメニュー提案とか商品の機能を優しく説明したPOP等も、お客様からすればそのお店の付加価値といえるのではないでしょうか。
それと同時にあらゆる原資を集中投下して地域ナンバー1の価格を実現する方法も考えなくてはなりません。これは集客手段の一つであるだけでなく、販売点数アップと客単価アップにつなげるためには、どうしても必要なことです。これも製配販の協業で考えていかなくてはならないことです。

色々難しいことはたくさんありますが、従来と発想を変えて皆様の仕事の仕方も変え、新しい取り組みを進めることによって新しい売上を作っていきましょう。

皆様の頑張りに期待しています。

2011年3月 3日 10:00

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