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コラム・レポート

vol.33 シニアシフト

皆さん、お元気ですか? 少し寒くなってきたようですが、平年よりも気温は高いようです。やはり寒いときには寒くなってもらわないと、売るべきものが売れないという嫌な状況になってきますよね。
9月の消費動向調査では消費者態度指数が41.2と3カ月連続で悪化となってはいますが、10月に入り、食品が若干持ち直してきた感があります。今まで低迷していた食品が、10月は衣料品や住関連品よりも頭ひとつ出た数字を残しています。中食傾向の表れでしょうか。

シニアシフト

さて2011年はどのような商品が売れるのでしょうか。直近の動向や識者の意見などをまとめてみると、キーワードはシニアへのシフト(衣食住とも)、エコ(特に自動車)、電子マネー(拍車がかかる)、フリー飲料(ビールだけでなく)、コメ・米粉(ケーキ、パンなど)などが有望視されているようです。
特にシニアへのシフトは間違いなく世の中の潮流となっていることは皆さんもご認識されていると思います。団塊の世代が高齢の世代にシフトしていくことによって新たなマーケットが誕生しつつあります。シニアマーケットへの対応は商品、売場作り全てに影響を及ぼします。

・健康志向であること(低カロリーであること)
・安心安全であること(これはシニアに限ったことではありませんが)
・親切でわかりやすい売場や演出であること(見やすいPOPや文字のサイズ)

buyer0033_1.gif この基本をはずすことは出来ません。これにプラスして売場で仕掛けをすることがシェア獲得には必要でしょう。勿論仕掛けを考案するにはシニアの皆さんの関心事や楽しみを研究しなくてはなりません。難しそうに思えますが、実際には身近で生活されている方々なので本気になれば意外と短時間で調査できるかもしれません。

またこのトレンドを活用して新しいカテゴリーを提案してみてはいかがでしょうか。商品部門の横断的な売場作りや、健康を意識した商品には決まったアイキャッチャーをつけたり(当然見やすくわかりやすいもの)、行動的なシニアの方向け商品とか、「予防」と「維持」を使い分けたり、アイデアはどんどん出てきそうです。あるいは逆にシニアから教わる食材や食べ方、使い方を「ゆとり世代」(いよいよ社会人になります)に伝えていくコーナーとか発想を広げることも出来ます。まさに新しい売上の固まりを作るチャンスでもあるのです。
さらにはマイ農業も注目されているようです。ちょっとした家庭菜園や畑で野菜を作ることも流行ってきているようです。ここも攻めどころかと思います。

buyer0033_2.gif 一方、デジタル関連も大いに伸びてきている領域です。地デジ化によるBS、CSの普及やブルーレイの普及により、家庭内で何かを楽しむ、家に人が集まるなどによって新しい需要が生まれてくることも考慮に入れたほうがよいでしょう。
あるいはスマートフォンの普及がネット上のマーケットを飛躍的に広げることも考えられます。それは物販のみならず、情報の伝達スピードが速まり、ブームが形成されるスピードが向上することを意味しています。つまり話題になってからピークに達するまでのスピードが想像以上に速くなると思われます。イコール、売場の変革を実現する力が明暗を分けるということになるのです。よって棚割は少ない人時で素早く実施できるように、かつわかりやすく指示できるようにしなくてはなりません。メーカーさんも問屋さんも小売りもスピード力で優劣がつくようになるのではないでしょうか。

ネットの世界では単品訴求が主流ですが、単に商品を宣伝しているだけでは差別化はできませんから、使用方法の訴求であったり、メニューの提案だったり、体験談であったり、商品の付加価値が理解できる訴え方が重要になります。しかしリアル店舗では、それらを商品構成という形にし、売場で表現してあげるのがお客様にとって付加価値になり、その店舗に対する満足度の向上ということになるでしょう。ネットでの販売とリアル店舗のコラボと連動がうまくかみ合うように販促を仕掛けていけば新しい売上の取り方が見えてくるような気がします。

足元も見て

2010年には「食べるラー油」や「朝ラー」・「朝カレー」、「電子レンジで簡単にできる食品」など従来の商品でありながら新しい食べ方、使用方法によってブームとなった商品も出てきました。その反対に「銀座の活性化」や「日本伝統の食品」など原点回帰の傾向も若干ではありましたが見受けられました。
よく経営者の本とかイノベーションに関する本とかを読んでいると、「常識を疑う」とか「非常識の時代」というフレーズを見かけますが、これらの例のように意外と身近なものを見直すだけで新しいカテゴリーの創造につながるのではと思う時があります。確かに革新を起こすためには、誰もやっていないこと、やろうとしないことに挑戦する必要はあると思いますが、それは一朝一夕にできることではありません。それよりもポテンヒット、シングルヒットを積み重ねて、ちゃんと球が前に飛ぶようになってから長打を狙うほうが確実なのではないでしょうか。

いずれにしても、お客様からの支持を得ていくためには、単品で売場や売り方を語っていてはだめな時代です。環境認識、カテゴリーの動向チェック(1カテゴリーではなく関連する複数のカテゴリーを)、お客様の関心事の調査など、マクロからミクロに落とし込んでいくプロセスでアプローチする癖をつけたほうがよいと思います。

頑張りましょう!

2010年12月 3日 14:21

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