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コラム・レポート

vol.26 消費傾向、回復せず

 皆さん、こんにちは。

 全く今年の気温の変化はいったいどうなってしまったのでしょうね。もうGW前だというのに、冬と変わらぬ寒さだったり、暖かい日が続いたり、体をついていかせるのも着るものを考えるのも大変ですね。
 勿論、小売りの現場でも、やはりその季節に応じて商品、売り場を構成していますから、気温の変化には敏感にならざるを得ないのですが、だからといって予想外の寒さに即対応、というのもなかなか難易度の高いことで、頭を悩まされるものです。

 さてそんな中、我々のビジネスを取り巻く環境はどのように変化しているでしょうか。3月の景気は「着実に持ち直してきているが、なお自立性に乏しく、失業率が高水準にあるなど厳しい状況にある」と発表されているものの、その実感は湧いてきません。実際、2月の2人以上の世帯の消費支出は前年同月比で0.5%マイナス、261,163円となっているようで、財布の紐が固い状況は変わりません。
 またチェーンストアの販売統計を見ても、総販売金額は前年同月比で93.4%となっており、全く予断を許さない状況です。

 とはいっても、苦しき中でも業績を維持、成長させている企業もあることは事実です。それらの企業が何に取り組んで成功を収めているのかを研究することが今、特に重要だと思います。

ベンチマーク

 好調企業を研究すること、つまりベンチマークすることで、皆様が担当していらっしゃる企業、カテゴリーで何が不足しているのか、強み弱みを明らかにして提案内容を見直してみてはいかがでしょうか。
 提案書の内容は、必ずしも常に斬新なものでなくてはならないということはありません。例えば以下のようなSWOT分析でご担当されている小売業とその競合との比較をして、まず何をしなくてはならないのか、取り急ぎ着手しなくてはならない項目を明確にして提案することも大変有効だと思います。(SWOTそれぞれの解釈は私独自のものです) そしてカテゴリーの戦略戦術の修正とか優先順位の変更に使うのです。「忙しくてそんな分析している暇はない」と思われるかもしれませんが、ただやみくもに場当たり的に対策を打つよりも、一度立ち止まって冷静に研究して方向性を見定めるほうが、結果として後々楽になること間違いないと思います。

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 特に「弱み」の部分を具体的にして、優先取り組み項目の対応策、解決策を行動レベルまで(何を、いつまでに)落とし込んでバイヤーに提案してみましょう。

成長カテゴリーを見つけよう

 また昨今は「巣籠もり消費」、「家ナカ消費」といわれ、食品も住関連も家庭で完結するものに需要がシフトしています。つまり今まで外で食べていた味を自炊で実現して節約しようとしているわけです。あるいは、遊びや趣味も安価で家庭でできることが好まれる傾向にあります。また巣籠もりによってネット販売による購入が増えていることも見逃せません。
 よって以前とは売れているものが変わってきていることは間違いありません。

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 ですからPOS分析も、出来ればカテゴリーよりも一段深い階層(サブクラス)のデータを使って前年のデータと比較し、落ち込みが激しいカテゴリー、伸びが見込まれるカテゴリーをはっきりと把握する必要があります。御社の取扱商品の範囲に限らず幅広く消費傾向を調査し、関連販売や推奨販売のやり方も見直してみてはいかがでしょうか。

 そしてダウントレンドの商品やカテゴリーは大胆に縮小していかなくてはなりません。代わりに成長しているカテゴリーを発見して、品揃え、販促手法の見直しをしましょう。ちょっとした工夫でそのカテゴリーの売上は大幅に伸びる場合があります。現時点では小さい売上でも、継続して仕掛けを行うことによって侮れない売上に化けさせられる可能性もあります。そういったカテゴリーをいくつ作っていけるかによって業績は大きく変化します。

 また新しいカテゴリーの創造という視点も必要です。新しい商品の「括り」を売場で作ってお客様に提案するということです。例えば従来の商品の原料や製法、用途を基準とした売場の括りとは変えて、生活シーン、消費シーンに合わせて商品を集めなおし売場を作ってみるとか、消費頻度、購買頻度という軸で商品を括りなおしてみるとか、それぞれの商品特性に合わせて視点を変えて括りを考え直すということに挑戦してみる価値はあると思います。

 こんな時期ですから、成長が見込めるカテゴリーではトライアンドエラーの気持ちで、どんどん新しいことに挑戦してほしいと思います。

 異常とも思える日々の気温の変化に対応していくことは難しいかもしれませんが、お客様の消費行動に合わせて売場や商品を変更していくことは大変でもやらなくては生き残れません。

 皆さん、この苦しい時期を頑張って乗り切りましょう。

2010年4月26日 14:11

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