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コラム・レポート

vol.24 2月決算期です

 皆さん、こんにちは。

 さて、ご存知のように2月は多くの小売業が決算月です。決算月といえば、売りの追い込み、収益の確保、在庫の調整など様々なことで小売業は八面六臂の忙しさです。そしてお取引先様にも色々と『ご相談』の多い季節でもあるかと思います。またこのご時世ですから『ご相談』も毎年大変なものになってきているのではないかと思います。そしてこの後、3月末~4月中旬にかけて小売り各社の決算発表が続きますが、大体皆さんも予想は付いているかと思いますが、勝ち負け、明暗のはっきりした決算発表となるのではないでしょうか。必ずしも大手、大資本、ナショナルチェーンだから業績好調とはいかないでしょう。

勝敗の分け目

 では、昨今の勝ち負けを分かつ要因は何なのでしょうか。幾つか考えられますが、一番大きい要因としては、『コスト・コントロール力』ではないでしょうか。つまり売上が伸びない低成長の時代にあって収益を上げるために、いかに固定費を下げ、変動費をコントロールする努力をしたか、出来たか、が勝敗を分けたといえるでしょう。

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 小売業は低収益、労働集約の傾向が強いので、コストに占める人件費の割合や販促費用の割合が他の産業と比較して高いという特徴があり、小売業を立地型サービス産業という人もいるように、坪当たり売上、荒利、坪当たり販管費がどのように改善されたかによって、業績が大きく左右されます。あるいは従業員一人当たりの生産性、持ち坪数など、効率指標を常に管理して改善を実施できた企業が今期業績を伸ばしたと言えるでしょう。

 勿論コスト・コントロールという点で、商品原価、調達コストの削減に成功した企業も業績を維持することができたのではないでしょうか。NB商品の場合、単に商談するだけでは原価の低減にも限界があります。ですから物流や調達の仕組みを改善してコスト削減に取り組んだ企業、あるいはPB商品の開発に成功した企業が、何とか業績を確保できたように見受けられます。

 しかしながら、PBの開発方針や導入品種によっては、狙い通りにカテゴリーの活性化のけん引役となっていないPBも見受けられるようになってきました。PBの開発や導入に焦点が当たり、本来PBに求められる機能、役割を失い、ただ価格訴求だけの役割を果たしているようなPBがそれに当ります。またPB導入を優先するがあまり、品揃えの幅が減り、お客様の選択肢が狭くなっている状態の売り場も見受けられるようになってきているように思えます。PBはNBとの比較購買ができて初めて評価されるものであり、品種を減らさずSKUの削減ができて初めてPBの効果が高まるものだと考えます。近い将来PBが再検討される時期が来るかもしれません。

 また、販売点数が前年を割る時代となっても、(売価還元法上の)値入率の確保や年間契約達成のための仕入れ、作り込み商品の引き取りなどにより、在庫が膨れ上がり、回転を悪化させている企業は一様に業績を落としています。必要以上に在庫高が増える、回転日数が低下するということは小売業では命取りです。よって不振在庫や特売の残を多く抱える企業では、非定番商品や企画品のスポット投入ができなくなり、さらに負のスパイラルに陥ってしまいます。皆様も店舗を訪問される際、バックルームに不振在庫を抱えていないかをチェックしていただき、もし自社の、あるいは担当カテゴリーの在庫が多く眠っていたら、処分を優先的に考えることをバイヤーに提案し、一緒に知恵を出してみてはいかがでしょうか。他社の商品であろうと在庫過多の状態では、自社の商品を投入していくことが難しくなります。

提案も視点を変えて

 皆様のご担当企業様では、これらの課題はいかがでしょうか。商談、雑談の中で、バイヤーからコスト削減の取り組みについて話が出たり相談されたりしたことはありませんか。商品原価で協力できる部分には限界があっても、今までメスを入れていなかった範囲で、コスト削減可能か否かの相談をバイヤーからされたら、ぜひ前向きに話を聞いてあげてください。それが一つのきっかけとなって新しい取り組みの体制につながる可能性もあるでしょうし、何よりもそれがインフラとなってカテゴリーの活性化に繋がれば、売上の底上げにつながってくるはずです。
 前にも言いましたが、カテゴリーが活性化すれば単品商談に割く時間は減り、取り組み商談に時間を使えるようになるのです。両社にとって無理のないコスト削減なら、どんどん実行すべきだと考えます。特に在庫削減が優先順位のトップに来ているような小売業であれば、当面の重要課題として一緒に知恵を絞ってあげて欲しいものです。

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 さて、そんな中でも今は2010年の春夏の棚割作業が終盤を迎えている時期ではないかと思います。手っ取り早くコスト・コントロールや在庫削減に貢献するためには、今一度品揃えをマトリックスに落とし込んで、ムリ・ムダ・ムラが生じていないか、非効率になっていないかを検証してみることが重要です。そしてSKUを削減し(品種を削減してはいけません)、売り場でフェーシングの拡縮がし易い柔軟性のある棚割が提案できているかどうかをチェックしてみてください。
 今はメーカーさんも小売りも厳しい時代です。棚割も無駄を排除したスリムでスペース効率を重視した内容に、あるいは変化に対してスピード感をもって対応できる棚割になっている必要があるのではないでしょうか。

 一方、お客様も無駄な出費は一切しないご時世で、『巣籠もり』と言われ、お金の使い道が変わってきているという事実を正面からとらえ、それに対応した売場提案ができれば、他社との差別化になることは間違いないと思います。つまりお客様は、自分にとって本当に必要なもの、自分が楽しいと思えるもの、家で楽しめるものに支出がシフトしているということを理解して、生活シーンに合わせた提案を膨らませることが活路となるのではないでしょうか。

 変化はチャンス! 苦しみぬいて、考えぬいて発想はブレークスルーするものです。
 皆さん、頑張りましょう!

2010年2月26日 14:50

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