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コラム・レポート

vol.21 まもなく年末

 皆さん、こんにちは。

 さて、いよいよ2009年の年末がやってきます。もう既に年末向けの商談は済んでいるかとは思いますが、2009年の振り返りとともに、年末商戦の詰めを考えてみましょう。

 今年は昨年来の景気落ち込みを引きずり、前半戦は大変な苦戦を強いられたものの、ETC利用による高速料金の大幅値下げ、9月の大型連休など明るい話題があり、若干の上向き基調が見えてきたというところでしょうか。
 とはいってみたものの、個人消費はまだまだ回復したとは言い切れず、スーパーの店頭価格は下がる一方であり、またPBの露出拡大も停滞することがありません。そしてDS業態の台頭、ホームセンター業態の活躍、SPA型アパレル小売業の躍進など、商品単価は下がって当たり前のような1年ではなかったでしょうか。
 本来、小売業と製造業、卸が消費者視点でカテゴリーの活性化を目指し、WIN-WINの関係になることを目論んで取り組みを進めてきたはずなのに、残念ながら経済不況の影響を受け、目先の売上、利益を確保することに注力しなくてはならなくなってしまったわけです。
 確かに企業である以上、営利を追求することは何にもまして重要なことであり、いくらきれいごとを言っていても会社が危機的状況になれば、まずは手っ取り早く売上を得ることを考えざるを得ないのは致し方ないことなのかもしれません。

 しかしながら、せっかく培ってきた消費者視点でのマーチャンダイジング姿勢をすぐに諦めるというのも悔しいものです。苦しき中にもせっかく今までやってきたことを何か応用できないものか考えてみたいものです。
 今までご自分で取り組んできたこと、小売業の理解を得て売場を変えてきたことを振り返ってみましょう。そこに現在の環境を当てはめて、ちょっとアレンジできないか考えてみましょう。
 まずは今一度現状認識、現状把握をしてみましょう。皆さんが取り扱われているカテゴリーはどのようなトレンドにあるのでしょうか。減退? 横ばい? 微増? それも単価、販売点数、マーケットサイズなど、色々な角度でもう一度見直してみてください。
 縦軸に市場でのシェア、横軸に市場の成長性をとり、隣接するカテゴリーとポジショニングを比較できるような4象限バブルチャートを作ってみて、担当カテゴリーの位置を確認してみてください。
buyer0021_1.jpg  例えば、右の図のように簡単で結構ですから、今、優先的にやらなくてはならないことは何なのかを確認するためにも、また時間の無駄やロスを減らすためにも、一度カテゴリーの立ち位置を確認してアクションプランを考えましょう。
 それぞれがどの位置に属しているかによって、とるべきアクションは違ってくるはずです。同じ企画書を作るにしても、何のために、どうしたいのか、がはっきりした企画書が掛けると思います。特にまだ年末の企画が詰まりきっていない小売業に対して、間に合うのであればぜひこのような視点で企画書を再考してみてはいかがでしょうか。
 ただし注意点としては、もう既に年末は目の前ですので、企画は通ったが物量が確保できなかったなんてことにならないように、しっかり落とし込みも合わせてやっておくべきです。

 次に棚割です。従来であればこんな時期に陳列変更なんて全く考えられませんでしたが、環境を考えれば、わずかなチャンスロスでも小売り、メーカー双方にとって痛手になることは間違いありません。特に重点商品が品切れ、欠品を起こした場合など、悔やみきれないチャンスロスです。
 そこで再度年末の重点商品のフェーシングが現状どのようになっているかをチェックし、十分な在庫量を確保できる棚割であるかどうか確認をしてみてください。もし販売数量に見合わないフェーシング、陳列量であるならば、”勇気をもって”BCランク商品を一旦カットして重点商品のフェーシング、店頭在庫量を増やす提案をしてみてはいかがでしょうか。あくまでも年末の特別対応ということで。
buyer0021_2.jpg  この場合も、クリスマス前になると店舗も忙しくなってきますので、できるだけ早く店舗に連絡を流す必要がありますので、なるべく早いタイミングでバイヤーに意思決定してもらえるように早めの提案が大切ではないかと考えます。

 また年末は大規模な販促企画が多々入る予定があります。バイヤーとの商談が決着していても、現場への落とし込みが完璧か否かによって結果が大きく左右されます。つまり売る場所が決まっているか、予定したタイミングで売場作りがされるかどうかをチェックしなくてはなりません。予定通りに商品が展開されないと、まず商品は納品されるわけですから、メーカーさんにとって売上は立ちますが、販売データには上がらず、結果として年始の反省点として、『あの企画は失敗だった』、また翌年に『あの企画はもう必要ない』というありがたくない評価をされてしまいます。
 あるいは展開遅れによって、本来年末に売り切っていなくてはならない商品が年始までエンドに積まれ、年始に売らなくてはならない商品が店だしされないという状態になることも想定されます。
 このようなことはメーカーさんにとっては好ましくない事態です。出来るだけ現場を回って展開計画の落とし込みをされることをお勧めします。

来期の話

 さて年末といえば、そろそろ来年度のカテゴリー計画を策定し始める時期でもあります。年末の取組ももちろん重要であることは間違いないのですが、これも非常に重要な業務項目です。

 直近の商品動向、カテゴリーを取巻くビジネス環境、昨年(本年)同時期の状況、新規発売商品の傾向など、今から準備できるものは準備しておいてください。
 なにも提案書がないと商談が出来ないということはありません。バイヤーにカテゴリーの計画を立案するための基礎資料となるものをインプットしておくのも大切なコミュニケーションとなります。というより、いきなり背景の説明や前提の説明なしに『提案書』をプレゼンするよりも、何度も軽くコミュニケーションの意味で定性的、定量的情報を相手先と交換するのも有効な手段です。足しげく、まめにバイヤーとアポをとるように心がけましょう。
buyer0021_3.jpg  また年末はバイヤーも店舗を回る機会が増えますので、そんなときに一緒に店舗を回り、バイヤーが今どのようなことを考えているのか、また何を欲しているのかを聞き出すのにも良いチャンスです。

 こんな時代ですからこそ、小さな情報、見落としがちなチャンスをものにして、苦しき中にも少しでも成長が果たせるようにがんばりましょう。

 皆様のがんばりに期待しています。



2009年11月26日 18:19

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