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コラム・レポート

vol.18 新たな潮流

新たな潮流

 皆様、こんにちは。いよいよ梅雨もあけ、本格的な夏到来です。今年は入梅遅く、梅雨明け早目の傾向でしたが、天気や気温の変動の対応した提案、取り組みは出来ていますでしょうか。流通業は変化対応業です。一瞬の変化も見逃さないようにして、大きなビジネスチャンスをつかむように心がけてください。

 さて、ここ最近また今までの既成概念を打ち破るような動きが起こりました。
 一つ目は大手酒類メーカーさんと大手小売業の共同開発による、価格インパクトの強いPBが発売されました。PBの拡大、消費者への浸透は、昨年来、加速度的に上昇カーブを描いてきましたが、メーカーさん、小売の最大手同士の共同開発PBは、価格のみならず、業界としてもかなりのインパクトです。この商品をきっかけとして、新たなコラボレーションの形が構築されていくのではないでしょうか。メーカーの営業の皆様も商談、棚割、提案の方法論を見直す機会が来たのかもしれません。仮に売場の4~6割の商品が、PBもしくは共同開発商品で埋め尽くされた場合を想定したとき、自社のNB商品をどのように差し込んでいくか、あるいはどこに陳列するか、どのような販促プランが必要か、説得力ある理論武装を準備しておくべきかと思います。

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 次に大手メーカーさん同士の経営統合です。長く業界に携わっている人間にとって、正直『衝撃』と『驚異』です。統合される両社さんにとっては、グローバルな販売力、マーケティング戦略や商品開発力などが視野に入ってくるでしょうし、投資や管理費の効率的運用、重複コストの削減が実現できるでしょう。おそらく今はもてはやされている小売りのPBを凌駕するような商品が誕生してくるのではないでしょうか。またグローバルな販路拡大を狙った営業戦略なども可能になってくることでしょう。2年後、3年後には流通業界の構図が根本的に書き換えられているかもしれません。両社の良い面が相乗効果を生み、結果として消費者にとって有益な商品が送りだされ、小売業にも良い意味でのインパクトが与えられることを期待したいものです。

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 最後は、またしてもユニクロさんです。この夏本番に、冬物の下着のネット販売を始めました。この背景には、昨年、冬物の新素材として発売したヒートテックなる肌着が、あまりに好評なため、早期に欠品してしまったことをうけ、今年は早めに販売を開始し、できるだけお客様にご迷惑をおかけしないように策として講じた販売だったと聞いております。流石です。
 とはいえ以前から、一見季節外れと思われる商品に仕掛けをして大きく売り上げを伸ばした例は幾つかありました。例えば、夏のカレー、真冬のアイスクリーム、等々。昔と比べて生活様式の変化、特に家電製品の普及によって、室外と室内では、全く違う生活環境となったことを商機としてとらえた結果です。

 しかしユニクロさんに感心するのは、ネットを使っての販売だったことです。今は夏なので、しかもこれからまだまだ夏物が売れる時期であり、売り場は当然夏物で埋め尽くされています。そこに冬物を展開しようとしても、売り場はスペース的に余裕がなく十分に展開できないので、ネットというバーチャルなスペースに売り場を広げたことが、流石だと思うわけです。
 要は、既成概念にとらわれない販売方法、時流に乗ったアイデアを実行に移したという勇気ある戦術ではないでしょうか。あるいは真の意味でお客様視点の仕掛けのように思えます。私たちも自分たちが扱っている商品の売り方を考えるにあたって、常に創意工夫が必要ということを胸に刻んでおくべきです。

『欠品』は罪悪

 ここで一つ、言葉の勉強をしておきましょう。上に「欠品」という言葉が出てきましたが、一言で欠品といっても幾つかの意味がありますので、用途を間違えないようにしましょう。

欠品 その1; 品揃え上の欠落

 これは、品揃え計画を立案する際に、商品構成グラフ、品揃えマトリックス上本来必要な商品が品揃えに欠落してしまっている状態、またはその欠落した商品のことを指します。お客様から見て乏しい品揃え、魅力のない品揃えに映ることがあり、買い上げ率低下につながることがありますので要注意です。

欠品 その2; 発注ミス、漏れ、需要予測・数量予測ミスによる品切れ

 『品切れ』といわれる場合もあります。小売業が最も注意しなければならないことの一つです。機会損失(チャンスロス)につながること(売り上げの喪失)、お客様の信頼低下(献立に必要な食材や特定の目的に使うための材料、道具が品切れしていた場合、お客様は当初の予定を諦めなくてはならない)、みすぼらしい売り場など、マイナス要素は数えきれません。

欠品 その3; メーカーさん、問屋さんの在庫枯渇による供給不足、品枯れ

 小売業では取引先欠品とも言います。急に需要に火が付いた商品、急な大量発注による場合など、理由は様々ですが、小売業からは最も嫌われる事象の一つです。欠品率(反対が納品率)などと称して、お取引先様ごとに管理している小売業もあるようです。限りなく100%に近いレベルで出荷できるように努力してください。

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 いずれにしても、欠品には最大の注意を払ってオペレーションしなくてはなりません。どんな場合でもお客様の失望に直接つながるからです。欠品が頻発している小売業はいずれお客様を失います。競争に負けていくでしょう。皆様の担当する小売業ではいかがでしょうか。欠品が多いようでしたら、それを削減、防止するための提案をするだけでも、かなり大きな貢献になると思います。

 欠品をさせないための売り場、棚割、商談、セールスプランなど、提案書の要素に取り込んでみてはいかがでしょうか。逆にいえば、欠品の多い小売業から欠品をなくすだけで、売り上げは上がるということです。つまり変な言い方ですが、商品的な魅力が少々低い売り場でも、欠品削減のオペレーションによって売り上げが改善したように見えることもあるのです。これを使わない手はないと思います。

 それではみなさん、暑さに負けず、競争相手に負けず、夏を乗り切りましょう。

2009年8月 6日 13:15

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