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コラム・レポート

vol.17 現場から考える

低迷、なかなか抜け出せず?!

 皆様、こんにちは。 元気にお仕事されてますでしょうか?商談、取り組みは順調に進んでいますか?昨今景気も下げ止まりの様相を呈してきましたが、依然として私の業界(小売業)は、定額給付金の恩恵も少なく低迷を脱出できません。それどころか、ETCでの高速料金減額、新型インフルエンザによる外出抑制などなど、良いんだか悪いんだかわからない状況です。
 またほとんどの小売業が第2四半期に突入し、多くの会社では第3四半期、早いとこでは第4四半期の計画を練っている時期でしょう。上期、うまく企画のはまらなかったメーカーさんは今が大切な時期でもあります。下期の復活に向けて先方バイヤーと中期的な取り組みの話をすべきです。
 さらには、低価格競争も第2ステージを迎えたような状況で、各種ディスカウントストアが堅調、PB製品がラインを拡大など、競争環境はカオスの状態で、考慮すべき項目も増えているといわざるを得ません。

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 とは言え、小売としても目先のことも考えなくてはならないので、色々な仕掛けを試してみるも、お客様に響く企画になかなかならない、つらい日々を過しております。
 しかし溜息ばかりをついていても何も改善しないので、こんなとき私はあえて外に出て、アンテナを張り巡らし、現場を見て、何かヒントやアイデアにつながるものが落ちていないか、時間を作って歩き回っています。
 そのときには企画書、POSデータを必ず手元に携え、計画と実行の乖離、数値と現場の因果関係を特定するつもりで現場を回っています。あるいは苦しき中にも異彩を放つ商品、地味だが確実に成長している品種はないか、発見できるのもデータと現場がリンクして初めてできることです。
 また、異業種や異なる商品分野の状況を観察することも実行しています。これは意外なヒントが転がっているときがありますので、なかなか楽しいと思います。自社製品のマーケティングだけではなく、世の中全体がどのようなものを欲しているのかを探索することによって、今まで商談の場に乗せていなかった既存商品にもチャンスを見出すこともできるはずです。

実績データ、計画書を持ち歩く

 現場を訪問するときの心がけとして、必ず数字や当初の計画を持ち歩くことをお勧めします。POSデータはあくまで実施したことの結果であり、大切なのは何故その結果が出たのか、その結果を発生させた要因を確認することだからです。商品の販売方法、提供方法、陳列方法に計画との差異はないか、フロア全体の中でどこに、どのように展開されているのか、その店舗の競合ではそのとき何をしていたのか、そんなことを確認しつつ現場を回ってみてください。そこから反省事項や成功事例などが見えてきます。次の提案に役立つ事実も発見されるはずです。

 スーパーの人間がどこで何を販売しようかと考えるときには、・価格のインパクト ・商品の話題性 ・季節、旬の商材 ・量的、額的に期待される商品 ・商品の関連性、隣接性 などなどを考えながら優先順位を決めて売場作りをしていきます。
 関連用語として覚えておきたいのは『磁石』という言葉です。『磁石』とは来店されたお客様を、店舗の奥まで引き込み買上点数を上げてもらうために、魅力的な商品を配置する場所のことを言います。通常スーパーマーケットなら第1~第4磁石までを設定するのが基本といわれています。磁石売場に何を配置するかによって、お客様の回遊性が変わってきます。磁石売場は店舗のレイアウトによっても左右されますが、概ね、下記のような感じです。

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 生鮮食品との関連販売を提案する場合でも、旬の食材は生鮮の第1磁石に配置されているので、旬の食材との関連販売ならば必然的に商品は第1磁石に配置されるということになるでしょう。
 またPOSデータと売場を見比べて、もしももっと優位な場所に展開されていたら実績はどのように変化するか、仮説を立てて次の提案に生かしていくこともできるはずです。
 そして展開場所の確保、変更の仮説立案には、PI値という指標を使ってみてはいかがでしょうか。

PI値=売れた数÷客数
→来店客数1,000人当たり何個買われたか。
(または1人あたり・・企業によって使う数値に違いあり)

 このPI値を複数店舗で比較してみる、または過去の販促と比較してみることによって、店舗内の狙っていくべき展開場所が浮き彫りになってくるはずです。ぜひ提案書に中に盛り込んでみてください。

意外なところにヒントが・・・・・・・

 また、調子の悪いときには、特に好調といわれる異業種、多品種に注目して、何故消費者から指示されているのかを考えてみるのも面白いと思います。
 例えばユニクロさんが何故、量販店の衣料品不振の中、一人勝ちをしているのか?ユニクロさんのプライスポイントは他社と比較しどの程度違うのか?品質、デザインは?提供方法、什器の使い方は? などなど研究してみると、いつもは自分の取り扱う世界の中だけで発想して苦心しているところを、ブレークスルーできる可能性があります。ユニクロさんが採用している方法の良いところを自分の仕事や業界に置き換えて考えてみると、何が改善できるのか、ということです。
 私はユニクロさんの店舗を見学して一番に感じることは、単純に「わかりやすい」ということです。品揃えもある程度絞り込まれ、提供方法、陳列方法も「わかりやすくする」ということが伝わってきます。「わかりやすい」ということはお客様にとってメリットがあるばかりではなく、従業員にとっても陳列のメンテナンスがしやすいということになり、売場管理も容易、生産性も高く維持できるということになります。まさしく今チェーンストアに求められていることではないかなと思います。では食品では、雑貨では何ができるのかな、と考えてみましょう。

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 同様にニトリさんの売場を拝見して、我々の売場に置き換えてみると参考にしなくてはならないことがたくさんあります。しまむらさんでもそれがいえます。
 また、それらのお店、商品を支持している消費者層が求めている製品とは、価格帯とは、買場、売場のあり方とは、と考えて、現状のチェーンストアとの取り組み、皆様の提案内容の修正点を見出してみてください。

 皆さん、がんばりましょう!

2009年6月11日 13:58

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