
コラム・レポート
vol.14 注目!リージョナルチェーン
リージョナルチェーンが熱い
皆さん、こんにちは。お久しぶりです。
今年の夏の商戦はどのような状況だったでしょうか。また秋冬の提案はうまくいきましたでしょうか。
食品、消費財を取り巻く環境変化、特に原材料をはじめとした値上げの影響、また小売業のPB戦略拡大等々、昨年と比べ、どのように商品構成を変え、特売企画の内容を変えてきたかが、今のように環境変化の激しい時期には問われることになります。当然次は年末年始の商戦をどのように攻略するかを考えなくてはなりません。前年の焼き直しみたいな企画では、なかなか厳しい状況となるのではないでしょうか。
さて、企画の提案とは直接関係はないのですが、最近全国各地の小売業店舗を見る機会があり、いろいろと感じるところがありました。
それはリージョナルチェーンの売り場、品揃えが面白くなってきたということです。
大手GMSの売り場は、そのスペースが広い分だけ品揃えの幅も十分広く設定してあり、ダイナミックでボリューム感のある陳列ができ、様々な取り組みを実施していますが、それとは対照的に、リージョナルチェーンでは地域密着型の品揃えに磨きがかかってきたように思えます。
大手組織小売業にはPBや開発商品、バイイングパワーといった強力な武器がありますが、リージョナルはそれに対抗すべく、より深い地域密着に動き出したようです。店舗を展開している地元に仕入れの本部を置いているからこそできるMD、品揃えの構築、仕入れルートの開拓など、大手との差別化が進んでいます。
一部のカテゴリーでは、地元のメーカーを主体とした売り場を作ることによって、そのメーカーとの密着度合いを深め、地域のお客様への提案力を高めているのです。また地場のメーカーが存在しないカテゴリーでも、マーケティングによって、NBメーカーのシェアを研究し、大手との差別化を図るよう、またより地元のニーズを反映するような商品構成を考えています。

昨今では、様々な原材料の値上げ、ガソリン価格が不安定であることなど、流通業を取り巻く環境が変化している中、必ずしも大資本、大規模の小売業が有利とはいえない状況です。
大手組織小売業は、価格高騰の対抗手段としてPB強化の路線をとりましたが、ガソリン価格の高騰により郊外型大規模店舗の客足減少を引き起こしました。また気温の不安定さから衣料品が不振となり、GMSという業態の足場が揺らぎ始めています。
リージョナルチェーンへのアプローチは
では、元気のよいリージョナルチェーンとの商談の進め方はどのようにしたらよいのでしょうか。
まず、味噌や醤油に代表される地場の文化を象徴するようなカテゴリーでは、やはり地元のメーカー、商材を中心にした品揃え、棚割を肯定せざるを得ません。それはそのブランドの商品が売り場に並んでいなかったら、地域のお客さまからの支持は得られませんから当然のことです。長年その地域で生活してきたお客様の文化を否定するようなことをしてはいけません。
そんな中どのようにNBを活かしていくかが問題です。そのために活用して欲しいのが、商品のポジショニングマップとか商品構成グラフといった、品揃えを客観的に評価するツールです。ローカルブランドの商品と真っ向勝負しても、最初から勝負はついているわけですから、あえて品揃えの幅、奥行きを醸し出すような、ポジション(テイスト、原材料、シーン、機能で差別化できる)やサイズ、価格の違う武器で戦ってみることでしょう。まずは定番に1品でも採用されるようにすべきです。
ただし難しいことは、リージョナルチェーンの売り場は、大手の売り場ほど大きくはありませんので、SKUはあまり増やせないことに注意することです。ですから定番商品として提案する「この1品」で確実にバイヤーを説得できるように準備しておかなくてはなりません。そして販促や商品改廃のチャンスを狙って次の1品の商談を進めることがよいのではないでしょうか。バイヤーとしても受け入れやすいアプローチです。
では、飲料や洋風菓子のようにNB商品が主体のカテゴリーではどのようにアプローチすべきでしょうか。
基本的には大手に対する商談と大きくは変わらないと思いますが、やはり限られたスペースで最大の効果、効率を追求しなくてはならない売り場ですから、絞り込まれたSKUと勝負できる価格で提供できるような提案が必要になると思います。
大手小売業と戦うためには、コアとなる品揃えを明確に抑え込むことと新製品のいち早い導入をシステム化(仕組みを作る)することです。
販促や企画、キャンペーンについては、定番内で実施できる範囲は狭いので、催事スペースやエンドをとるためには、できるだけ早く、半期四半期単位で商談をして、スペースを確保してしまうことが重要だと思います。
あと地場の野菜や、魚、肉とのクロスMDもかなり重要です。リージョナルチェーンである以上、当然生鮮食品は地場商材中心であり、大手との差別化の武器となっています。地場野菜を使ったメニュー提案、地元の魚と相性の良い食材の提案など、クロスMDの提案はシェアの拡大にとって大切な販促手段となると思いますので真剣に考えるべきです。
また、もう一つ重要なファクターとして、リージョナルチェーンで働く人々は、大手チェーンの転勤族と違い、地元出身で地域の生活習慣や行事に精通している場合が多いので、提案する側も、その地域の文化、習慣をよく研究し、提案の中に生かしていかなくてはならないということです。つまり皆様の会社の本部企画に、少し味付けした提案が必要になるということです。
提案にもバリエーションを
今回はリージョナルチェーンについて考えてみましたが、大手小売業も当然今のままでよいと思っているわけではありません。本部集中のバイイングシステム、PB開発システムを構築しつつ、既存店の活性化を進めるためのエリア戦略も考えているはずです。
また最近は、新業態(DS業態)の模索も始まっているようです。先にも申し上げましたが、GMSが今までの延長線では戦えなくなってきているので、小売企業としての新たな生き残り戦略を策定しています。
当然その中には、地域でも勝つリージョナルチェーン対策も含まれているわけです。ということは、大手小売業に対する提案も、商圏ごとの提案やローカル商材を加味した品揃えと棚割の提案も重要になってくるので、提案にもバリエーションを持たせる準備を進めてください。

世の中の環境変化とともに、売り場作り、競争対策が難しく、複雑化しています。しかし、チェーンストアの原理原則は、簡素化、標準化です。さまざまな業態やチェーンに対応すべく、メーカー様の提案も複雑化してくるとは思いますが、できるだけそれをパターン化し雛形を作っていくことをお勧めします。そのためにはITの活用もポイントになってくると思います。
いずれにしても小売のバイヤーは「痒いところに手が届く」提案を待っているのですが、その痒いところが、複雑化しているという現状を踏まえて、客先の特徴別の提案を纏め上げることが必要になってくるでしょう。
取り巻く環境の複雑化をうまく乗り切り、勝ち組となりましょう。
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