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コラム・レポート

vol.9 マーチャンダイジング・サイクル

皆さん、こんにちは。

早いもので今年も10月にはいりました。秋冬の品揃え、棚割の提案はうまくいきましたでしょうか。予定していた新製品の導入状況はいかがでしょうか。

予定していた新製品が思ったとおりに採用された方は、まずはひと安心といったところでしょう。また、採用されたものの一部店舗での導入とか、不採用だった方はこれからどのように敗者復活戦に挑むか、どのように次の手を打つか、いろいろ作戦を考えていらっしゃる事でしょう。

そこで今回は、季節の品揃え変更後に、皆さんはどのようなアクションをすべきか、またバイヤーはどのような商談を望んでいるか、小売業側の立場で考えてみたいと思います。

マーチャンダイジング・サイクル

皆様が扱ってらっしゃる品種のMDサイクルはどうなってますでしょうか。半期に一度、四半期に一度、さまざまかと思いますが、一旦定番が決まってしまったら3ヶ月、6ヶ月じっと結果を待つ、というのでは少し頼りなさ過ぎます。

以前ご説明させていただいた事もあると思いますが、小売業と製造業での大きな違いは、数字を追っかけるサイクル、タイミングが全く違うというところにあります。

製造業・卸売業の皆様は、主に月次で数字を締めるというのが一般的だと思います。
ところが小売業では、毎日、毎週、毎月というサイクルで数字をチェックする習慣があります。
今では時間帯別売上もチェックして、店舗でのワークスケジューリングや、生鮮食品の時間帯別品揃えに反映させている小売業も珍しくはありません。

特に店舗では毎日、売上が集計され、売上予算との乖離をチェックしますので、店舗経験を経てくるバイヤーは、毎日、毎週、自分が担当するカテゴリーの数字をチェックする習性がついているのです。

データの見方

ではどのようにPOSデータを追っかけたらよいのでしょう。

品揃えや棚割を変更したばかりですから、総括した評価、カテゴリー全体の分析はあまり必要ありません。単品の動きを良く見ることが重要です。

その目的は、この半期、四半期の売上の核となっていく商品はどれなのか、早い時期に見分ける事にあります。また生産性の足を引っ張る不振商品に目印をつけ、早めに対策を立てられるように準備をする事にあります。

単品毎の比較と共に、店舗間・棚割のパターン間の比較もしておきましょう。 店舗間で、売れ筋商品の違いはないか、棚割のパターン間で商品動向に違いが見受けられないか、「気付き」をメモって置くことが重要です。

バイヤーから提供してもらうPOSデータも、出来る限り詳細(店別)のデータをもらうように働きかけてください。

そして、縦軸商品、横軸店舗で売れ数を比較したチャートでも作れば、容易に店別商品別の売れ数比較が出来るでしょう。

店舗の実態

そんな中、店別・単品別の商品動向を見つめていると、「どうやら売場変更の実施度合いに問題があるのでは?」、「ちゃんと品出しされているのか?」などの疑問が上がる店舗が見えてきます。

せっかく新製品が店に送り込まれても、きちんと陳列、補充されていなければ意味がありません。それどころか、売れている商品だったら深刻なチャンスロスに繋がります。
ですからデータの中から怪しい店が浮かび上がってきたら、実態調査をする必要があります。
それをバイヤーに提案し、一緒に店舗を巡回するか、あるいは許可をもらって店舗を訪問し、売場写真を撮る、店舗の担当者にヒアリングさせてもらうなど、現場現実を把握するアクションを取りましょう。

そしてその際に、何故正しく売場変更が実施されていないか、商品が露出されていないか、いくつか要因を整理しておく必要があります。

店舗でも、単に忙しくて売場を変えられない、面倒だから後回しにしている、という単純な理由だけではなく、本部から提供されてきた棚割図が自店の売場と合っていない、什器の本数、棚の枚数が違う、など計画レベルでの相違に起因している場合もあります。

目的は、計画した事が計画したとおりに、正しく実行される事ですから、店舗側に要因があるのか、本部の計画段階で食い違いがあるのか、問題点を正しく把握し、要因ごとに対策を立てて、出来るだけ早く修正できるように改善案を立てることが大切です。

それが出来ないと、せっかくバイヤーと協業して作った新しい品揃え、棚割も、結果として徒労に終わってしまいます。メーカー様の立場からすると、そこまでやらなくてはならないのか、と思われるでしょうが、結果的にご自分たちの数字として跳ね返ってくると考え、一歩踏み込んで頑張ってみましょう。

販促の影響度

さて、皆さんがPOS分析をする際に最も頭を悩ます一つの要因に販促、特売の影響があると思います。
単品動向を分析する時に、常にこの波動をどう捕らえるか、難しい問題です。しかし、品揃えが変わったこの機会に、しっかりと販促商品、企画をバイヤーから情報収集すれば、今後のPOS分析もやりやすくなります。

これを3ヶ月、半年溜めて、後から分析に加味しようとすると難しくなるのです。ですから品揃え、棚割が変わったこの時期は、販促も織り込んで分析する絶好の機会でもあるわけです。

皆様にとっては、販促の作る売上は無視できないと思います。ですから日々の提案の中では販促企画の提案が大きなウェイトを占めていると思います。

そんな中、なかなか説得力のある企画や提案書が作れず、商談で苦労する場面もあるでしょう。その一つの要因は、バイヤーにその企画のもたらすインパクトが正しく伝わらない事にあります。

ですから、どのタイミングで、どの程度の価格競争力を持たせた販促であるのか、また市場インパクト、お客様への訴求力をアピールできるようにするためには、出来るだけ正確に、過去に実施した販促の効果を捕らえて、次の企画に活かすことが重要です。 そのためにも、この品揃え切り替え時期をチャンスとして、販促の実績をトラッキングできるようなPOSの収集と分析手法を構築するべきだと考えます。

以上で、今回のコラムは終了とします。ではまた。

2006年10月 3日 17:56

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