コラム・レポートのアイコン

コラム・レポート

vol.8_1 バイヤーと営業マンの座談会(前編)

みなさん、こんにちは。『バイヤーの独り言』の編集担当です。更新が遅くなり申し訳ありませんでした。

実は先日、某大手メーカーの営業マンお二人に来社して頂き、バイヤーさんと対談をして頂きました。今回・次回の『バイヤーの独り言』はスペシャル企画として、その対談の内容を2回に分けてご報告させていただこうと思います。

参加者の紹介を軽くさせていただきます。(編集担当の主観です。)

営業マン1…少し天然か?と思える不思議なキャラクター。話が脱線しがちな方でした。

営業マン2…営業マン1の良き相方。話が脱線しそうな時に頑張って軌道修正していらっしゃいました。

バイヤー…当コラムの執筆をお願いしています。気さくな方ですが、仕事に対する姿勢は真面目だということが良く分かりました。
※以下、営業マン1→ 営業マン2→ バイヤー→ 編集担当→とさせていただきます。

:本日はお忙しい中お集まりいただきありがとうございます。 こちらがお二人がお会いしたいとおっしゃっていた『バイヤーの独り言』を書いていただいているバイヤーさんです。

:はじめまして、本日はよろしくお願いいたします。

:こちらこそよろしくお願いします。

:はじめまして、よろしくお願いいたします。いつも『バイヤーの独り言』を読ませていただいています。社内では若手にも読むように薦めてますよ。

:いやぁ、恐縮です。今日はよろしくお願いします。

:まぁ、挨拶の方はそれくらいにしていただいて、本日はお二人がバイヤーさんに対し、日頃から疑問に思っていること等、忌憚の無い意見をお願いします。バイヤーさんはそれらに対し、できるだけ本音のところをお願いします。それではお願いします。


:では、さっそくよろしいでしょうか?我々メーカーが自社商品を全面的にたくさん売りこみたいという本音はバイヤーさんも分かっていると思うのですが、その本音を伝えた上でバイヤーさんに「良い提案しますよ」と売り込む方が良いのか、自社のエゴはオブラートに包んで「バイヤーさんの為、御社の為に良い提案をしますよ」というのとではどちらが良いのでしょうか?

:それは言わなくても分かっている事だからあえて言う必要はないね。A社の営業マンがB社の商品を一生懸命売りたいと思うわけは無いからね。自社商品を売る為、売らんが為の商談なんだからさ。良い提案をしてくれた上で、小売側からのアドバイスを聞いて修正をかけるといった具合の方がいいよね。

:提案自体の内容に重きがあるということですよね?

:目的が分かる提案がいいね。「自社の○○という商品を売りたい」というのではなく、「夏休みの行楽シーズンに合わせた売場作り、販促計画としてこの提案はどうですか?そこで自社の○○は最適だと思います」という具合で目的があり、それに合う販促計画、商品があるといった流れがいいよね。
メーカーさんは「どの商品をいくつ売って、という『単品』」で考えるけど、バイヤーの場合は「このカテゴリーの売上目標という外枠、『カテゴリー』」で考える」。それからどの商品を引っ掛けるかと『単品』にブレイクダウンしていくんだよね。
メーカーさんとバイヤーは考え方が逆だから、そこら辺を考えた提案をしてくれたほうが受け入れられやすいよね。

:単品のお願いではなく、カテゴリー全体を考えたり、イベントに絡めた提案をしてくれた方がいいってことですよね?

:そうだね。酒類で例えれば、「酒類全体の中でビールはこういった具合です。だからビールにこれこれこういうテコ入れをすれば、酒類全体が活性化されるし、ビールの売上も大幅に上がると思うのですが」といった提案をしてくれるのが良いよね。

:メーカーとしては、カテゴリーで考えなくてはいけないという問題意識はあるものの、なかなか変わらないのが現状なのですが、バイヤーさんから見てなぜだと思います?

:メーカーさんはカテゴリーに対する取り組みが営業部門だけで終わっているからだと思うよ。もの作りをしている人達は単品感覚で考えているから、工場で商品を効率よく作り続けたほうが利益になるって思っているんじゃないかな? だから営業の人達がカテゴリーの話をしても、もの作りをしている人達は取り合ってくれないんだと思う。
薬品会社で働いている知り合いから聞いた話だと、商品開発優先で営業マンなんか使いっパシリみたいだよ。「俺たち(商品開発)が良い薬を作るからおまえら(営業マン)はそれを多くの店舗、病院においてくれば良い」って扱いらしいからね。たしかに物の無い時代ならそれでも問題無いだろうけど、現在では競合も多いし、業態もさまざま。24時間営業しているコンビニなんかに行けばある程度の必要な物は揃っちゃうしね。

:私は、売り方の提案って実はシンプルで、「どうしてこの商品、この価格、この時期、そしてこの品揃えなのか?」だけだと思っていて、実際に実践しているつもりなのですが、その考え方は基本的に間違っていないですよね? そして実際にそういうスタイルの営業マンって他にもいるものなんですか?

:小売側からだとそういう考え方の営業マンは良いね。だけどそういう営業マンはほとんどいないね。いたとしても1割くらいかな? ほとんどの営業マンはメーカーさんの考え方、単品での提案をするほうが多いよ。

:1回の商談は、卸がいて、それに絡んだメーカー等がいて、という具合だと思うのですが、大体何社くらいと会っているのですか? また、1社に割く時間はどれくらいですか?

:大体30~40社くらいかな。時間的には5分もかからないで終わるところもあれば30分くらいかかるところもあるね。実際、資料貰って終わっちゃう様なところもあるからね。

:その時間の差はなんですか?

:提案の内容、そしてタイミングだね。基本的にバイヤーって数ヶ月先の売場のことを考えてるじゃない? そのタイミングに合わせた面白い内容の提案をしてくれれば、バイヤーは興味を持つよ。

:自分(バイヤー)が今、やらなくちゃいけないことにマッチした提案を持っていけば話をきちんと聞いてくれるという事ですね?

:そういうこと。他のバイヤーはどうしているかは知らないけれど、私は、「いついつにこれこれこういう企画をしたい」、「これこれこういう商品がほしい」、「だからこんな感じの提案をしてね」ということを相手に宿題として投げておくよ。そうしておけば無駄な商談が省かれるからね。
自分では何もしないのに「お前等の提案は本当に駄目だな」みたいな横柄な感じのバイヤーにはなりたくないんだよね。だけど、そういうことを分かってくれない人間がたまにいて「そういったお話はお伺いしていましたが、どうしても今回ご挨拶だけでもさせていただきたいのですが…」とか言い出すところとかもあって困っちゃうよね…。

:メーカーの規模はどうですか?やはり大手メーカーの方が長い時間話を聞いたりしますか?

:ネタをいっぱい持っているから聞くよ。単品(小さい)メーカーは同じ単品の話の繰り返しが多かったりするけど、大手メーカーは情報量が多いから手を変え品を変えて提案してくるから自然と聞く時間は長くなりがちだよね。

:単品(小さい)メーカーの話はほとんど聞かないということですか?

:そうでもないよ。単品(小さい)メーカーでも自社商品がいかに差別化されているかということを分かりやすく説明してくれるところなんかは、バイヤーが逆に引き込まれちゃうよ。大手メーカーは商品数が豊富だけど、とある単品(小さい)メーカーでは同じ物なのにサイズや形態を変えて、それらを業態毎に違う売り方で展開していて、それらの事例を紹介しながら、SMの為の違った売り方を提案してくれるんだよね。そうするとバイヤー側も「それならこうした方がいいんじゃない?」、「それならこれはどうですか?」とキャッチボールが出来る。バイヤーもそういう話は興味があるからね。

:単品(小さい)メーカーは同じものでも形態を変え、業態ごとに違う展開方法を提案すれば、上手い商談が出来るってことですね。

:そういうことだね。

:私なんかは商談のたびに結構な量の資料を作成しているのですが、バイヤーさんから見れば膨大な資料を用意されるとどうなのでしょうか?

:さっきも言ったけど、大手メーカーはネタが多くて資料も多いことが多いよね。資料が多く用意できるのはいいことなんだけど、説明の仕方が悪い営業マンが多いんだよ。その資料の1ページ目から順番に説明されても、バイヤー側からすれば時間の無駄なんだよ。知りたかった事は最後のページだけだったってことも多いしさ。目的→結論→それに至るプロセスを明確に説明してくれるだけで良いんだよ。それで興味があったらこっちから「ちょっと待って、それはどういうこと?」って聴くから。そうしたら営業マンはチャンスだよね。その時に用意した資料の説明をしてくれればいいんだよ。やはり説明の仕方をもっと勉強したほうがいいと思う営業マンが多いね。

:1回の商談で30〜40社くらいと会うってことは、年に何千回も商談しているという事ですよね? で、どれくらいの割合で「こりゃ、いい!」と思ったりします?

:1パーセントもないくらいかな。

:それだとほとんどの商談が無駄という事になっちゃいますね?

:まぁ、そうだね。だけど、それはメーカーさんの責任というよりも、日本には問屋さん制度があるからだと思う。問屋さんもバイヤーと商談する時間が欲しいわけじゃない? それで適当にメーカーを数社集めて、自分の時間を作るような問屋さんもいるからね。なんか自然に商談の場が多くなってしまう。

:無駄なのかも知れないけど、バイヤーさんと多く商談するという事は、バイヤーさんと多くの時間を共有するという事ですよね。私なんか、少しでも共有した時間が長くなることによってバイヤーさんに気に入られるんじゃないかと思ってしまって、人間関係の強化みたいな努力をしてしまうのですが、そういうのはどうなのでしょうか?

:それはバイヤーのキャラクターによるよね。話し好き、人間好きのバイヤーだったらそういうことも無駄じゃないと思うけど、自分の仕事にのめりこむようなバイヤーだとグダグダ無駄話っぽいことには時間を割きたくないと思う。私の場合だと営業マンの人柄が良くても提案が悪ければ採用しなかったし、逆に人柄が悪くないって言うか普通の人でも提案が良ければ普通に採用するからね。

:それならば、競合メーカーA社とB社が同じ様な商品力の商品の提案をしてきた場合、A社の営業マンとは仲が良く、B社の営業マンとはそれほどでもないといった場合、A社の商品を優先的に採用するってことはないんですか?

:A社の営業マンと仲が良いからって、A社の商品を採用するってことを意識的にすることは私は無いね。実際にそんなことで採用していたら他の人間から「あのバイヤーはおかしい」って思われちゃうからね。そんな事で採用されるならばいくらでも接待すれば良い訳だから簡単でしょ?

:でも、そういったバイヤーさんはいまだにいるんですか?

:まだいると思うよ。手足のように使えるメーカーさんの商品ばかりいれるとかさ、パソコン操作が苦手なバイヤーが「ちょっとこれやっといてくる?」っていわれると「はい!よろこんで!」みたいにやってくれるメーカーさんの商品が入りやすいっていう傾向はなくならないんじゃない?


次回に続く。

:ちょっとお酒も入っていた関係で、結構みなさん本音のところを話されていました。まだまだ対談は続いているのですが、長くなりますので今回はここまで。
近いうちに、続きを掲載させていただきますので、どうぞお楽しみに。

2006年7月27日 16:51

お問い合わせ

    • ご購入前のお問い合わせ   :
    • 03-6908-7878
    • 保守契約に基づくお問い合わせ:
    • 03-6908-7817

受付時間 9:00-18:00
(土日祝日・年末年始・当社休日を除く)

ページトップへ